フィリス・ガランの近衛生活

第1章 フィリス23歳、16歳の男子高校生の異世界人に会いにいく

4.本場の厨二病患者さんに会う前に、自称異世界人の正体が分かったよ

ハンティア王国を移動中、フィリスは、ニア・トリスと名乗った自称異世界人の女の調査報告を受けている。

「身体的特徴から、ハンティア国籍のミドリン・パーマーである可能性が高いです。」

「まず、どんな経歴？」

「ハンティア王国の商家、パーマー家の娘ですが、ハンティア王国の王立学院在学中に、不特定多数の男子学生と親密な関係が噂になりました。その男子学生のうちの何人かが、高位貴族の子弟で婚約者持ちだったため、パーマー家は、ミドリンを退学させて、放逐しています。およそ2ヶ月前ですね。身一つで放逐されたミドリンは、誑し込まれた高位貴族子弟の家や、その婚約者の家の者が手を回して、監視していましたが、突然姿を消したため、密かに捜索しています。」

「姿を消した日時と、発見された日時に差はある？」

「1時間ほどです。」

「異世界人の転移の影響を受けたのか、無関係だけど、たまたま転移トラップを踏んだタイミングが近かったのか、だね。」

フィリスはすぐ結論を出した。

「ハンティア王国の民はハンティア王国に。うさぎ団は2人が互いの動向に気付かないように分ける。ボクは異世界人のみ対応する。ニア・トリスを偽称したミドリン・パーマーにはこちらの情報が漏れる前に、ハンティア王国内で放流。」

「かしこまりました。そのように。」

「本場の厨二病患者さんに会うの、初めて。楽しみ。」
フィリスはふわふわと微笑んだ。