いなくなって、若返ったお父さんは、私のヒーローになって、永遠の共犯者になった。

【永遠不変のものは、あるの?】

お父さんは、私が中学生になる前に、仕事に行けなくなった。

休職して、退職して家にいたお父さんは、変わりたいと言って、ある日、お金を持って家からいなくなった。

私が物心ついたときから、お父さんは、私の面倒をみて、お母さんは妹の面倒をみていた。

お父さんがいなくなっても、その関係は変わらない、なんて思わなかった。

高校生になった私は、お父さんによく似た男の人に会った。

学校から家に向かう方向とは逆方向にある公園で、私達は出会った。

その男の人は、仕事に行けなくなる前の元気でいたお父さんにそっくり。

私が最後に見たお父さんの姿に比べたら、十歳近く若い見た目。

私達は、薄暗くなる公園のベンチで話をするようになった。

話をすればするほど、お父さんと話をしている錯覚に陥った。

でも、お父さんなら、娘と会って、知らんぷりなんて、しないよね?

ある雨の日、危ない目にあっていた私を助けにきてくれたその人は、初めて私の名前を呼んだ。
『もう大丈夫だよ、きーちゃん。』

いなくなったお父さんだけが、呼んでいた呼び方で。

お父さんは、私に、したいことしたい、欲しいものを欲しいと言わせてくれる。

私は、もうずっと叶えたい望みがある。
私の家族は、お父さん、お母さん、妹。

私は、家族に、私を愛して大事にしてほしい。

だから、私と生きるために、変わってもらうね。

大人しく待っているだけのお姉ちゃんはもういないの。

※物語が進むにつれて、ホラー要素の比重が増えます。
24h.ポイント 0pt
1
小説 194,365 位 / 194,365件 ホラー 6,991 位 / 6,991件

あなたにおすすめの小説

孤悲纏綿──こひてんめん

クイン舎
ホラー
ある日、一人の男の元に友人から日記帳が届く。その日記帳は、先ごろ亡くなったある女性高校教師のもので、そこには約四十年前に彼女が経験した出来事が事細かく書き記されていた。たった二日間の出来事が、その後の彼女の人生を大きく変えることになった経緯が……。

甘いマスクは、イチゴジャムがお好き

猫宮乾
ホラー
 人間の顔面にはり付いて、その者に成り代わる〝マスク〟という存在を、見つけて排除するのが仕事の特殊捜査局の、梓藤冬親の日常です。※サクサク人が死にます。【完結済】

【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド

まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。 事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。 一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。 その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。 そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。 ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。 そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。 第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。 表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。

深淵界隈

おきをたしかに
キャラ文芸
普通に暮らしたい霊感女子咲菜子&彼女を嫁にしたい神様成分1/2のイケメンが、咲菜子を狙う霊や怪異に立ち向かう! 五歳の冬に山で神隠しに遭って以来、心霊や怪異など〝人ならざるもの〟が見える霊感女子になってしまった咲菜子。霊に関わるとろくな事がないので見えても聞こえても全力でスルーすることにしているが現実はそうもいかず、定職には就けず悩みを打ち明ける友達もいない。彼氏はいるもののヒモ男で疫病神でしかない。不運なのは全部霊のせいなの?それとも……? そんな咲菜子の前に昔山で命を救ってくれた自称神様(咲菜子好みのイケメン)が現れる。

彷徨う屍

半道海豚
ホラー
春休みは、まもなく終わり。関東の桜は散ったが、東北はいまが盛り。気候変動の中で、いろいろな疫病が人々を苦しめている。それでも、日々の生活はいつもと同じだった。その瞬間までは。4人の高校生は旅先で、ゾンビと遭遇してしまう。周囲の人々が逃げ惑う。4人の高校生はホテルから逃げ出し、人気のない山中に向かうことにしたのだが……。

八尺様

ユキリス
ホラー
ヒトでは無いナニカ

うまなちゃんはもっと感じたい

釧路太郎
ホラー
 天才霊能力者栗宮院午彪と天才霊能力者栗宮院奈緒美の娘である栗宮院うまなは生まれる前から期待されていたのだが、残念なことに霊能力を持つことはなかった。  霊能力はないものの、持ち前の明るさと努力することを苦ともしない根性で勉強も運動も人並み以上にこなせており、人望も厚く学級委員長を任されるほどでもあった。  栗宮院うまなは両親からの寵愛を一身に受けすくすくと育ってはいたのだが、天才霊能力者である両親から生まれた事もあり、外野からの期待は栗宮院うまなにとって重いプレッシャーとなって圧し掛かっていき、家に帰ってくると自室へ閉じこもりふさぎ込むようになってしまった。  そんな彼女の様子を見かねた両親は信頼出来る友人である清澄真名のフォトスタジオでアルバイトとして働かせることで彼女に秘められた力を育てようとしたのであった。  清澄真名が代表を務めるフォトスタジオ零楼館は通常の写真とは別に心霊写真を収集して調査し、場合によっては除霊までを行う業務を行っているのだ。  栗宮院うまなは清澄真名のもとで修業し、一流の霊能力者になることが出来るのだろうか。  彼女にかかっているプレッシャーが軽くなることはあるのだろうか。

なにかいる

ariya
ホラー
しがない内科医がバイト先で感じた何とも言えない現象。