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第6章 神様が棲むネットショップ〈神棚〉、営業中
77.山の怪(け)スペシャルの成果を見にいこう!同級生だった人に仕事論を語ったら、エア仕事を疑われた。同級生だった人に自首を勧めてみた。
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山の怪(け)は、俺を捕まえにきた人達を、山の反対側まで引きずっていって、もう俺を狙いにこないようにしてくれた。
空が白み始めた頃。
完成したから、見にこい!と、山の怪が、俺を現場に案内してくれた。
言葉は分からないから、影のジェスチャーで。
山の向こうに見に行くついでに、ぐるぐる巻きのナイフの人とナイフも運びたかったけれど、山の怪じゃなく、神様がしたことだから、山の怪には運べないと分かった。
山の反対側の様子を見に行く間は、放置することになる。
ナイフだけは、誰かが様子を見にきて持ち帰ると危ない、と神様に言われて、あの人達の車が、折った枝に突き刺しておいた。
神様が、志春(しはる)以外は、ナイフを抜けないようにしておくと言っていたから、ナイフはその状態にしてある。
山の怪に連れて来てもらった山の反対側。
落ち葉雪崩での移動中、体勢を崩したときに、顔からこけても、顔は地面のままで進んだ。
変形はしていなかったけれど、皮はむけていた。
尻もちついたひとは、ズボンの尻をついたまま。
尻の方がマシだと思えないくらいに痛い思いをしたのは、まだ起きる予定がなかった生き物が目を覚まして絡まりにきていたから。
蛇が。
俺は、初めてアオダイショウをじっくり見た。
マムシがいなくて良かった。
落ち葉雪崩から逃げ出そうと体をひねったり、跳びはねたりして、体勢を崩した状態で引きずられていたため、全員、何かしらの傷を負っている。
一人だけ、ほぼ外傷なしなのは、俺と同じ大学の同級生だった人。
「警察に自首して、捕まえてもらえば?」
俺は、同級生だった人に自首を勧めた。
「は?」
同級生だった人は、虚ろな眼差しで俺を見つけた後、目が覚めたように、びっくりした。
同級生だった人は、最初から最後まで、落ち葉雪崩の中で暴れたり、逃げ出そうとしたり、という抵抗をしなかったから、落ち葉雪崩による外傷は負っていない。
逃げ出そうとしなかったんじゃなく、逃げられるという考えが浮かばなくて、未来を諦めていたから。
「諦めて何もしないくらいなら、罪を償いに行ってきたらいい。
俺の件がなければ、金儲けに失敗しなかった、と原因が分かっているんだから、人の褌で相撲を取る稼ぎ方を変えたらいい。」
俺は、同級生だった人に、俺の考えをぶつけてみた。
通じるか、分からないけど、ウヤムヤにしたくなかったんだ。
「寝言、言ってるんじゃねえよ。」
同級生だった人の声に、元気はなかった。
俺のワンルームを無断で又貸ししていた母さんと、母さんをそそのかしたと思われる、俺の同級生だった人。
「母さんも、そちらも、二人は、同じ穴のムジナだと俺は思う。
他人のもので、金儲けすることに罪悪感がない、というが似ている。
今回、二人の立ち位置の違いが、行く末を分けた。
母さんは、警察へ連れて行かれた。
そちらは、人殺しを強要されて、抜き差しならないところまで堕ちる直前。
母さんに、警察へ行く選択肢があったなら。
そちらにも、警察に行く選択肢があっていいと俺は、思う。」
同級生だった人は、びっくりまなこで、俺を見つめている。
「母さんのこともそちらのことも、助ける意図がない、ということだけは覚えていてほしい。
母さんのしたことも、そちらのしたことも、俺は嫌だと思うし、二人のしたことを許そうとは思わない。」
同級生だった人は、うんともすんとも言わないで、考えている。
「そちらが自首しなくても、俺は平気だ。
他人だから。
今回、相手が俺だったから、そちらは人殺しにならずに済んだ。
今後も、自首しないで、同じ場所にいるなら。
手を汚さない仕事とは、いつまで無縁でいられる?
仕事って、自分の限界にぶつかって、苦労して、つかみ取るものだと俺は思う。」
「ああ。仕事、決まったのか?エア仕事じゃなく。」
同級生だった人は、俺が仕事について語ったことに、一番驚いていた。
なんだ、エア仕事って。
「人を見る目がなさすぎだ、と言いたいけれど、俺も色々あったんだ。
俺はいい出会いをして、仕事について、真剣に取り組んでいる。」
同級生だった人は、ぽつんと言った。
「やり直せるなら、やり直したい。こんなことになるなんて思わなかった。」
「仕事に対する考えの甘さを引きずったら、また同じ失敗すると思う。」
あとは、同級生だった人が、自分で決断すること。
俺は、今いる場所、我が家と山を挟んで、反対側の場所をマップで確認した。
俺は、一人を除いて、ボロボロになっている団体様から、離れて、深川さんに電話をかけた。
「深川さん、おはようございます。
勝利の朝日が、気持ちいい朝です。」
空が白み始めた頃。
完成したから、見にこい!と、山の怪が、俺を現場に案内してくれた。
言葉は分からないから、影のジェスチャーで。
山の向こうに見に行くついでに、ぐるぐる巻きのナイフの人とナイフも運びたかったけれど、山の怪じゃなく、神様がしたことだから、山の怪には運べないと分かった。
山の反対側の様子を見に行く間は、放置することになる。
ナイフだけは、誰かが様子を見にきて持ち帰ると危ない、と神様に言われて、あの人達の車が、折った枝に突き刺しておいた。
神様が、志春(しはる)以外は、ナイフを抜けないようにしておくと言っていたから、ナイフはその状態にしてある。
山の怪に連れて来てもらった山の反対側。
落ち葉雪崩での移動中、体勢を崩したときに、顔からこけても、顔は地面のままで進んだ。
変形はしていなかったけれど、皮はむけていた。
尻もちついたひとは、ズボンの尻をついたまま。
尻の方がマシだと思えないくらいに痛い思いをしたのは、まだ起きる予定がなかった生き物が目を覚まして絡まりにきていたから。
蛇が。
俺は、初めてアオダイショウをじっくり見た。
マムシがいなくて良かった。
落ち葉雪崩から逃げ出そうと体をひねったり、跳びはねたりして、体勢を崩した状態で引きずられていたため、全員、何かしらの傷を負っている。
一人だけ、ほぼ外傷なしなのは、俺と同じ大学の同級生だった人。
「警察に自首して、捕まえてもらえば?」
俺は、同級生だった人に自首を勧めた。
「は?」
同級生だった人は、虚ろな眼差しで俺を見つけた後、目が覚めたように、びっくりした。
同級生だった人は、最初から最後まで、落ち葉雪崩の中で暴れたり、逃げ出そうとしたり、という抵抗をしなかったから、落ち葉雪崩による外傷は負っていない。
逃げ出そうとしなかったんじゃなく、逃げられるという考えが浮かばなくて、未来を諦めていたから。
「諦めて何もしないくらいなら、罪を償いに行ってきたらいい。
俺の件がなければ、金儲けに失敗しなかった、と原因が分かっているんだから、人の褌で相撲を取る稼ぎ方を変えたらいい。」
俺は、同級生だった人に、俺の考えをぶつけてみた。
通じるか、分からないけど、ウヤムヤにしたくなかったんだ。
「寝言、言ってるんじゃねえよ。」
同級生だった人の声に、元気はなかった。
俺のワンルームを無断で又貸ししていた母さんと、母さんをそそのかしたと思われる、俺の同級生だった人。
「母さんも、そちらも、二人は、同じ穴のムジナだと俺は思う。
他人のもので、金儲けすることに罪悪感がない、というが似ている。
今回、二人の立ち位置の違いが、行く末を分けた。
母さんは、警察へ連れて行かれた。
そちらは、人殺しを強要されて、抜き差しならないところまで堕ちる直前。
母さんに、警察へ行く選択肢があったなら。
そちらにも、警察に行く選択肢があっていいと俺は、思う。」
同級生だった人は、びっくりまなこで、俺を見つめている。
「母さんのこともそちらのことも、助ける意図がない、ということだけは覚えていてほしい。
母さんのしたことも、そちらのしたことも、俺は嫌だと思うし、二人のしたことを許そうとは思わない。」
同級生だった人は、うんともすんとも言わないで、考えている。
「そちらが自首しなくても、俺は平気だ。
他人だから。
今回、相手が俺だったから、そちらは人殺しにならずに済んだ。
今後も、自首しないで、同じ場所にいるなら。
手を汚さない仕事とは、いつまで無縁でいられる?
仕事って、自分の限界にぶつかって、苦労して、つかみ取るものだと俺は思う。」
「ああ。仕事、決まったのか?エア仕事じゃなく。」
同級生だった人は、俺が仕事について語ったことに、一番驚いていた。
なんだ、エア仕事って。
「人を見る目がなさすぎだ、と言いたいけれど、俺も色々あったんだ。
俺はいい出会いをして、仕事について、真剣に取り組んでいる。」
同級生だった人は、ぽつんと言った。
「やり直せるなら、やり直したい。こんなことになるなんて思わなかった。」
「仕事に対する考えの甘さを引きずったら、また同じ失敗すると思う。」
あとは、同級生だった人が、自分で決断すること。
俺は、今いる場所、我が家と山を挟んで、反対側の場所をマップで確認した。
俺は、一人を除いて、ボロボロになっている団体様から、離れて、深川さんに電話をかけた。
「深川さん、おはようございます。
勝利の朝日が、気持ちいい朝です。」
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