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第6章 神様が棲むネットショップ〈神棚〉、営業中

71.俺と母さんと、犯罪に関わっていて、俺を探す人達。母さんと犯罪が結びつくきっかけは、俺の大学?

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俺は、びくびくしながら、その場にじっとしている。

神様が何も言わないから揺かない。

俺は、神様の言う通りに動く。

俺を探す人達は、まだ俺を探している。

「いないじゃん?」

「こっちにいるんじゃねえのかよ。」

見つけた、はハッタリ?

「テメェじゃなく、犬でも放った方が良かったんじゃね?」

「ばーか。犬がいたら、気づかれるぞ。

人が隠れる場所を、人が見つけられねーわけねーだろ。
探せや。」

「母ちゃんがアレなのに、息子は、賢いなんて不憫。」

母ちゃんって、俺の母さんのこと?

母さんと面識あるんだ?

「思ってねーだろ。不憫とか。」

「あまりにも不憫で、不憫で、笑うわ。」

「母ちゃんは、年季が明けたら、お外に出してもらえるけどよー。

息子は、ジ・エンドっぷー。」

「賢い息子は、賢さのせいで、長生きできないのかー。そりゃあ、不憫だ。」

ギャハハと笑う声が響く。

「あの母ちゃんは、自分が働かないで稼ぐことに一生懸命だったからな?

息子ちゃんのもので、自分は楽に稼げるってんで、最初からウハウハしていたぞ。」

「どこで、見つけたんだよ?けっこう稼げたんだろ?」

「息子は大学にいた。

使えそうなやつをピックアップしていたうちの一人だったんだけど、途中から顔を見なくなってな。

探りにいったら、本人留守で母ちゃんがいた。

いけるんじゃね?と思ったら、いけたわけ。

母ちゃんは、食いつきが違ったね。

母ちゃんは、目に金寄越せ、と書いてあった。」

「金の亡者かよ。金持ちだったよな?」

「息子に使う金がなければ、もっと娘に使えるのに。と、息子の同級生に話しちゃう頭の持ち主に聞いてやれ。」

「息子ちゃんの額に『ザ・不憫』のハンコを押してやろう。」

余計なお世話だ。

「大学にいたんなら、息子もテメェの顔、分かるんじゃねーの?」

この人達、俺の知り合いにいた?

「大学にいる間は、ピックアップしかしてねーよ。
面が割れやすい場所で、接触したら、すぐにアシがつくだろーが。」

俺が、一方的に知られていただけなんだ。

「賢いねー。」

「うぜぇ。」

俺は、腑に落ちた。

理由が分かったことで、冷静になれた。

頭の中でハマるピースが、怖さをひっこめさせた。

最初に、目をつけられていたのは、母さんじゃなく、俺だった。

母さんから聞いていた話もあったんだろうけど。

俺についての情報が早いのは、大学卒業後に、話をしにこようと、事前に調べてあったから。

「うまくいっていたのに、しくじっちゃったねー?」

「「ねー?」」

「やめてやれ、もう一人の不憫なやつを追い詰めるなよ。」

馬鹿にするような、見下すような声が同調している。

「大学で姿を見ていたときは、賢さとは無縁ぽかったんだ。

姿を見せたと思ったら、騒ぎを起こしやがって。」

俺を賢くないって評価するのは、父さんと同じ。

一度、俺を賢くないと評価する点を聞いてみた方がいいのかもしれない。

「帰ってきた部屋に、異変があったら、持ち主は気づくっしょ?

気づかせた母ちゃんが管理不足なのが、悪いんじゃん。」

「あの母ちゃんは、息子のものは自分が好きにしていい、と真剣に思っていたから、部屋の又貸しに抵抗なかったんだよ。

息子の持ち物は、母ちゃんが金出しているものなんだから、母ちゃんに権利があるってやつ。」

「うええ。」

「母ちゃんと同じ思考回路にならねーと、息子だけ苦労するやつだ。」

「だから、不憫なんだろ?これから、不憫の名に恥じない可哀想な目にあうんだよ。」

「違いねー。」

ギャハハと笑う声。

山の怪(け)は、どうしている?

俺は、パニックになる代わりに、冷静になった。

俺は、まだ平気。

俺は、神様と隠れるのを頑張る。

山の怪の方も、順調だといいんだけど。
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