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第6章 神様が棲むネットショップ〈神棚〉、営業中
70.俺を探す人達とじっと息をひそめている俺。協力者も探す?枯れ葉を踏みしめる複数の足音。見つかった?見つかっていない?
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俺は、息をひそめて、耳を澄ます。
近づいてくる足音はしないけれど、山の怪と離れている俺は、見つかったら、自力で逃げ切らないといけない。
庭が騒がしくなった。
俺を探しに、歩き回っていた人達が、庭に戻ってきた。
「いねーな。」
「隠れたか。」
「隠れる場所なんてあるか?」
「探していない場所なら、あるだろ?」
懐中電灯が、次々に山に向けられた。
見つからないように。
俺は、じっとしている。
「正気か?」
「暗い中でも、足さばきに問題なく、山の中に逃げていったんなら、山に慣れているよ、その子。山育ち?」
「いや?都会の裕福な家で育ったはずだ。」
「見かけによらず、バイタリティーあるぞ。」
「こんな出会いじゃなかったら、鍛えて使ってみるのも考えたのに。」
「使って、なあ?」
ギャハハと笑う声。
「夜目がきいて、根性すわっているんだろう?
適職じゃないか?」
適職が、暗殺者の仕事に聞こえる。
「逃げていただけだぞ?」
「命の危険がなかったからだろう?」
「死体に話は聞けねーよ。」
「いやー。本当に残念だよね。可能性のある若者の未来を摘んでしまうことが。」
「残念かよ。」
「残念だよ?聞いていたより、随分、骨のある子じゃないか。」
「その骨のある子が、気合い入れて、逃げ回ってんだ。
ロッキングチェアーを持ち込んで座ってないで、動けや。」
「あれえ?とっ捕まえるのは、そっちの仕事じゃなかったっけ?」
「捕まえるまで、茶すすって、読書している気か?
ケツが決まってんだ。
やることやって、とっとと引き上げるぞ。」
「せっかちだなあ。まあ、いいか。手こずっているみたいだから、手伝ってあげるよ。」
「うぜー。恩着せがましいやつは、嫌われるぞ。」
「恩着せがましいんじゃなく、恩を着せているんだよ?分からないかなあ?」
「さっさとしろ。元気があるうちに、捕まえてやらねーと、話す前にくたばるぞ。」
「ええ、心配してあげているんだ、優しいねー。」
「特に鍛えていないなら、体力の限界が先に来るだろう。
一晩中、山の中を逃げ回るほどの体力はねえ。
捕まえる前に喋らなくなってりゃ、世話ないぞ。」
「ああ、はいはい。そこまで言うなら、働くよ。」
「言われる前に、働けや。」
「うるさいなー、もう。」
音声だけでも、めちゃくちゃ怖い。
俺、こんな人達を相手にしているんだ。
スマホを握る手が震える。
俺を捕まえてどうにかしようという内容を、笑い話にしている。
怖い、怖い。
なんで、こんな怖い目に。
じっとしていないといけないのに、歯がかたかた鳴りそうだ。
「やみくもに探してもなあ?」
「タイパだろ?」
強風でもないのに、庭の木の枝が揺れた。
山の怪が、木の枝を揺らしている。
俺が、怖がったから、話を終わらせた?
「木の枝を揺らしているやつがいるぞ?」
木の周りに、懐中電灯の明かりが集中する。
「いねーな。」
「ふうん。その子さあ、本当に、一人っきり?
協力者がいそうだよ?」
「協力者か。納得した。ツラ拝んどくか。」
「協力者がいるとは聞いていなかったぞ。
単独行動だっただろ?
いつ協力者を集めた?」
「ネットで募集かけたんじゃないすか?」
「ネットで集まるのかよ!」
「趣味の集まりなんて、興味があれば、そん時だけ来て、終わったら解散する感じで十分しょ。」
「お手軽か?」
俺は、腹の底が冷えていくのを感じた。
「山の怪がやりおる。
志春(しはる)は、捕まらなければよい。」
と神様。
捕まらなければ。
本当にそうだ。
害意を平気で垂れ流しにできる人達は、俺をどうにかすることについて、落ち葉を掃くくらいにしか、感じていないのかもしれない。
俺がすることは、震えて隠れていることじゃない。
あの人達の動きを見ながら、捕まらないようにすること。
神様、山の怪、俺。
三者三様、自分のできることをする。
次、あの人達は、何をする?
俺は、耳を澄ました。
話し声が、聞こえなくなった。
「協力者を警戒して、話すのを止めたのであろう。」
と神様。
ヘッドライトが消えた。
「明かりを消して、暗闇にまぎれるのだろう。」
と神様。
明かりを消すなら、懐中電灯も使わない?
足音を忍ばされて、包囲されたら、気付くのが遅れる。
近くにいると気づいても、山の中で、俺だけの足で逃げ切れる?
「山の怪は、山の怪で動いている。
志春(しはる)は、言う通りに動くがよい。
志春(しはる)は、よく考えて行動できる小童。」
と神様が励ましてくれる。
「うん。よろしく。」
俺は、神様の合図を待ちながら、山の怪を応援する。
俺は、枯れ葉を踏みしめる複数の音を聞いた。
「うお、何かにつまずいた。」
「一分も静かにできないのかよ。」
「木の根じゃね?」
「隠れていないで、出ておいでー。怖くないよー。」
「顔が見えないから、怖くはないのか?」
「怖い顔の人なんていませんよー。皆、優しいよー。」
「顔だけな。」
「そう、顔だけ。」
ギャハハと笑い話が響く。
俺を探しに何人か、山に入ってきた。
何人かじゃ、足りない。
全員、山に足を踏み入れてくれないと。
辛抱して待つ。
恐怖で、音を立てて自滅しないように。
落ち着け、落ち着け。
俺の方に向かってきているという確証はない。
懐中電灯で、照らしながら歩くことはしていないのか、話し声と枯れ葉のカサカサ音は聞こえるけれど、姿は見えない。
「あ、あれじゃね?」
「見つけた?」
ギャハハと笑う声。
「楽勝!」
「お待ちかねのご対面だよー。」
声は、聞こえる。
でも。
すぐ隣には、来ていない。
俺の視界に入る距離、お互いの姿が確認できる距離には、いない。
どこにいる?
どこから、見ている
見つかった?
本当に?
近づいてくる足音はしないけれど、山の怪と離れている俺は、見つかったら、自力で逃げ切らないといけない。
庭が騒がしくなった。
俺を探しに、歩き回っていた人達が、庭に戻ってきた。
「いねーな。」
「隠れたか。」
「隠れる場所なんてあるか?」
「探していない場所なら、あるだろ?」
懐中電灯が、次々に山に向けられた。
見つからないように。
俺は、じっとしている。
「正気か?」
「暗い中でも、足さばきに問題なく、山の中に逃げていったんなら、山に慣れているよ、その子。山育ち?」
「いや?都会の裕福な家で育ったはずだ。」
「見かけによらず、バイタリティーあるぞ。」
「こんな出会いじゃなかったら、鍛えて使ってみるのも考えたのに。」
「使って、なあ?」
ギャハハと笑う声。
「夜目がきいて、根性すわっているんだろう?
適職じゃないか?」
適職が、暗殺者の仕事に聞こえる。
「逃げていただけだぞ?」
「命の危険がなかったからだろう?」
「死体に話は聞けねーよ。」
「いやー。本当に残念だよね。可能性のある若者の未来を摘んでしまうことが。」
「残念かよ。」
「残念だよ?聞いていたより、随分、骨のある子じゃないか。」
「その骨のある子が、気合い入れて、逃げ回ってんだ。
ロッキングチェアーを持ち込んで座ってないで、動けや。」
「あれえ?とっ捕まえるのは、そっちの仕事じゃなかったっけ?」
「捕まえるまで、茶すすって、読書している気か?
ケツが決まってんだ。
やることやって、とっとと引き上げるぞ。」
「せっかちだなあ。まあ、いいか。手こずっているみたいだから、手伝ってあげるよ。」
「うぜー。恩着せがましいやつは、嫌われるぞ。」
「恩着せがましいんじゃなく、恩を着せているんだよ?分からないかなあ?」
「さっさとしろ。元気があるうちに、捕まえてやらねーと、話す前にくたばるぞ。」
「ええ、心配してあげているんだ、優しいねー。」
「特に鍛えていないなら、体力の限界が先に来るだろう。
一晩中、山の中を逃げ回るほどの体力はねえ。
捕まえる前に喋らなくなってりゃ、世話ないぞ。」
「ああ、はいはい。そこまで言うなら、働くよ。」
「言われる前に、働けや。」
「うるさいなー、もう。」
音声だけでも、めちゃくちゃ怖い。
俺、こんな人達を相手にしているんだ。
スマホを握る手が震える。
俺を捕まえてどうにかしようという内容を、笑い話にしている。
怖い、怖い。
なんで、こんな怖い目に。
じっとしていないといけないのに、歯がかたかた鳴りそうだ。
「やみくもに探してもなあ?」
「タイパだろ?」
強風でもないのに、庭の木の枝が揺れた。
山の怪が、木の枝を揺らしている。
俺が、怖がったから、話を終わらせた?
「木の枝を揺らしているやつがいるぞ?」
木の周りに、懐中電灯の明かりが集中する。
「いねーな。」
「ふうん。その子さあ、本当に、一人っきり?
協力者がいそうだよ?」
「協力者か。納得した。ツラ拝んどくか。」
「協力者がいるとは聞いていなかったぞ。
単独行動だっただろ?
いつ協力者を集めた?」
「ネットで募集かけたんじゃないすか?」
「ネットで集まるのかよ!」
「趣味の集まりなんて、興味があれば、そん時だけ来て、終わったら解散する感じで十分しょ。」
「お手軽か?」
俺は、腹の底が冷えていくのを感じた。
「山の怪がやりおる。
志春(しはる)は、捕まらなければよい。」
と神様。
捕まらなければ。
本当にそうだ。
害意を平気で垂れ流しにできる人達は、俺をどうにかすることについて、落ち葉を掃くくらいにしか、感じていないのかもしれない。
俺がすることは、震えて隠れていることじゃない。
あの人達の動きを見ながら、捕まらないようにすること。
神様、山の怪、俺。
三者三様、自分のできることをする。
次、あの人達は、何をする?
俺は、耳を澄ました。
話し声が、聞こえなくなった。
「協力者を警戒して、話すのを止めたのであろう。」
と神様。
ヘッドライトが消えた。
「明かりを消して、暗闇にまぎれるのだろう。」
と神様。
明かりを消すなら、懐中電灯も使わない?
足音を忍ばされて、包囲されたら、気付くのが遅れる。
近くにいると気づいても、山の中で、俺だけの足で逃げ切れる?
「山の怪は、山の怪で動いている。
志春(しはる)は、言う通りに動くがよい。
志春(しはる)は、よく考えて行動できる小童。」
と神様が励ましてくれる。
「うん。よろしく。」
俺は、神様の合図を待ちながら、山の怪を応援する。
俺は、枯れ葉を踏みしめる複数の音を聞いた。
「うお、何かにつまずいた。」
「一分も静かにできないのかよ。」
「木の根じゃね?」
「隠れていないで、出ておいでー。怖くないよー。」
「顔が見えないから、怖くはないのか?」
「怖い顔の人なんていませんよー。皆、優しいよー。」
「顔だけな。」
「そう、顔だけ。」
ギャハハと笑い話が響く。
俺を探しに何人か、山に入ってきた。
何人かじゃ、足りない。
全員、山に足を踏み入れてくれないと。
辛抱して待つ。
恐怖で、音を立てて自滅しないように。
落ち着け、落ち着け。
俺の方に向かってきているという確証はない。
懐中電灯で、照らしながら歩くことはしていないのか、話し声と枯れ葉のカサカサ音は聞こえるけれど、姿は見えない。
「あ、あれじゃね?」
「見つけた?」
ギャハハと笑う声。
「楽勝!」
「お待ちかねのご対面だよー。」
声は、聞こえる。
でも。
すぐ隣には、来ていない。
俺の視界に入る距離、お互いの姿が確認できる距離には、いない。
どこにいる?
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