愛情を注ぐ兄は愛される

ゆうな

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もぞもぞ…もぞ…もぞもぞぞ…

うー…ん

俺は母様の腕の中で目を覚ました。

「あら、ユリウス、目が覚めたのかしたら?」

「カータマ(むぎゅっ)」

俺はまだ眠かったので、母様に抱きついたのだが…

「寝起きでメリアに抱きつくユリウスも可愛いなぁ。」

父様の顔が気持ちわる…だらしなくなってるのはスルーしようと思う。

母様もほら…呆れた顔をして父様を見ているよ。

「もう!あなたが今からそんなだったら、ユリウスにきょうだいができたらどうなっちゃうんですか?」

まてまて…きょうだいができるのか?
俺は父様への注意よりきょうだいの方が気になってしまう。

「何のことだ?私はユリウスが大切だから、そして、可愛いと感じたから言っただけだが…?」

父様には伝わってないようだ。

「あなたの優しいところが好きだけれども、時には父親らしい顔もして欲しいと言う意味です。」

母様は若干呆れつつ、ちゃんと好きと伝えていた。(←注目するところはそこじゃない)

「あぁ、それなら安心していい。ユリウスが大きくなれば俺も立派な父親になるさ。」

父様は楽観主義のようで優しい笑顔で母様に笑いかける。(イケメンずるい!!)

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 

しばらくの間があり、会話がひと段落したようだ。


なので、俺は気になっていることを聞いた。

「カータマ、『ちょうだい』できりゅの?」

母様が一瞬間の抜けた顔をした。
そりゃそうだ。

母様、きょうだいできるの?

と聞きたかったのに、「ちょうだいできるの?」と言ってしまったから…くそ、幼児言葉はむずしいぜ!!

「…きょうだいって聞きたかったのかしら?」

俺は勢いよくうなづく。(決して恥ずかしかったからではない)

「そうねぇ。ユリウスは弟や妹ができたらどう思う?」

うーん…どうなのだろうか?
改めて聞かれると難しい。いたら楽しそうだと思うけれど、今の生活も楽しいのだ。
それにイケメンな弟や美人な妹だったら、俺はいじめられる可能性があるかも知れない…だって、俺かっこよくない…(←かっこよく育つ予定ですby作者)

あと、異世界転生系はイケメン(美人)だと、ハイスペックなのはお決まりだから、少し怖い…

俺はいろんな考えを巡らしていたのだが、父様のせいでその考えが中断された。

「たしかに、弟や妹がいた方が楽しいよな。それに、きょうだいでの助け合いも大切だ。俺もたまに弟や妹に助けてられてる。」

うんうんとうなづく父様。

「たまにじゃなくて、毎回の間違いじゃないの?」

母様が愉快そうに笑っている。

「なっ、そんなことないだろう。俺だって住民のために…」

「住民のために頑張っているのは、十分わかります。もう少し貴族相手にも頑張ってもらえると嬉しいのです。」

「うっ…それはシュディアやルークがやってくれるから俺には…」

父様が顔を伏せてしまった。

ちなみにシュディアは父様の妹。ルークは父様の弟である。2人にはまだ会ったことはないが、母様達の話によるととても優秀らしい。

「まぁ、あなたの人柄の良さを慕ってくれる貴族が多いのも事実ですから、そんなに落ち込まないで。」

父様が落ち込んでしまったのを、母様が宥めている。さすが母様優しい。

「あぁ。」

「それで、ユリウスはきょうだいが欲しいかしら?」

いろいろと迷ったのだが、やはり欲しい。
継承問題うんぬんもあるとは思うが、きょうだいがいた方が楽しい気がする。

前世の俺にも妹がいたが、性格の不一致により全く喋らなかった。だから、今回は弟がいいと思っている。

なので、母様に笑顔で答えた。

「うん、おとーとがいい!」
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