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「はい、二見、遅刻ー」
「え、ダメっすか、これ…」
「チャイム鳴り終わってるからアウト。今日で夏休み前最後の登校だぞー?しっかりしろー」
次の日、寝坊を全くしない俺が初めて寝坊をしてしまい、学校を遅刻した。今日で夏休み前最後の登校だというのに。
「それにしても二見が遅刻は珍しいな。寝坊か?」
「はい…なんかめっちゃいい夢見てた気がします」
「それは知らん。席つけー」
俺は先生にそう言われ、渋々と席へ着いた。
「おはよ。伊吹が寝坊は珍しいな笑」
「俺も焦った…でもさめっちゃいい夢見てた気がするんだよ」
「それは知らねえよ笑」
「茉白まで先生と同じこと言うなよ」
実際、本当に俺は良い夢を見ていたと思う。夢の内容は忘れてしまったけれど、何だか甘美な夢を見ていたような気がする。
「どうせ遥の夢でも見てたんだろお前は笑」
「だったのかなあ…どんな夢だったか忘れた…」
「多分そうだよ笑」
俺は、俺の席の前に座っている茉白と朝のホームルーム中にこっそりと雑談をしていると、先生が黒板になにやら文字を描き始めた。
「一時間目はこのままホームルーム続けます。皆さんは夏休み明けに文化祭があるのを知っていますか?」
俺は文化祭、という言葉に思わず目を丸くした。
「文化祭だってさ、伊吹」
「文化祭…!?いや楽しみだけどカップル大目立ちイベント…」
去年の文化祭はカップルが目まぐるしい程おり、そのせいか文化祭イコールカップルイベントというイメージがついている。
「ちなみに文化祭実行委員が前々から出してくれていた案はカフェなんだが、普通のカフェではつまらないよな?」
先生は黒板に板書していた手を止め、俺達生徒の方を見て尋ねた。
「うん!!なんか面白いカフェがいい!!」
「俺たちが考えます!!」
自称一軍女子、男子達がガヤガヤと話を始めた。
「マジか…! まあでもカフェっていっても何かプラスはしたいよな、茉白」
俺は文化祭などのイベントごとが好きであるから、真剣に様々な案を出すべく色々と考えてみる。
「文化祭のカフェって何やるのが普通なんだろうなー」
茉白も俺と同じく案を考え始めた。
「先生!メイドカフェがいいです!!」
一軍女子が席を立ち、挙手して発言した。
「メイ…えっ、本気か…!?」
そして後に他の女子、男子も重ねてメイドカフェがいいと言い出した。俺は面白いカフェの案出しと言っても、メイドカフェという案は一切思い付かなかった。戸惑いが隠せない。
「おー希望者多いな。なら多数決を取る」
ここで先生が多数決を取ると、なんとクラスの半数以上が挙手したのである。
「半数以上か…ならメイドカフェでいいか?そうと決まれば男女関係なくメイドやることになるけどいいのか?」
「大丈夫です!メイドやらない人は受付とか、その他会計とかに回れば!」
クラスの一軍達はどんどんと話を進めていく。とはいえ俺もいい案が思いつかないため文句は言えない。
「マジかよ笑笑 伊吹せっかくだしメイドやれば?笑笑 」
「は!? やんねーよ!」
茉白は俺を揶揄ってそう言うが、俺は意地でもメイドはやりたくない。
「つーか、メイドなんて女子がやるもんだろ…あと可愛い系の男とか」
「は?お前可愛い顔してんのに?」
茉白は俺の頬をやわやわと触りながら言う。
「は?可愛くねえから!」
「ドS王子にも顔幼くて可愛いって言われたんだろ?」
「か、可愛いまでは言われてねえよ!!」
(そういえば電車で遥に顔が幼いと言われたな…)
遥の声が自然と脳内で再生され、一人でについ恥ずかしくなる。
「じゃあ今役柄決めちゃおうぜ!!」
「メイド役の人はじゃあ推薦にする?」
(えっ待って今なんて言った?)
俺が遥を思い返しており、意識を異なる方へ向けていた数秒の内に、なんとメイド役の役柄を決めるという流れになっていた。
「メイド役十人ぐらい欲しいから、男女5人ずつ推薦しまーす」
文化祭実行委員が教卓へ出た。
この授業内でメイド役が決まるのか。
(いやでも何十人もいる男の中で五人の内に選ばれる確率の方が少ない…)
「んーじゃあ二見、メイド役やらないか?」
「えっ」
今一番聞きたくなかった言葉が俺の耳に入ってくる。
(待てよ嘘だろ…!?)
「二見顔可愛いし似合いそうじゃん!あと今日遅刻したから」
これは罰ゲームか何かなのか…!?
「伊吹マジで推薦されてやんの笑笑 お前ついてんな!」
茉白はまるで他人事のように欣喜している。
「マジで…?俺マジでメイドやんの…?」
「文化祭の二日間だけだし、シフト制だぜ」
(…まあ別に遥に見られるわけでもなんでもないし…このメイドカフェも高校生活の思い出になるだろうしな)
「じゃあ…俺、やります」
「マジで!?ありがとう!!じゃあ二見で決定!!」
俺は勢いに乗ってつい承諾してしまった。
「伊吹!!よくやった!! やべえ俺が楽しみ」
「そんな期待すんなよ…笑笑」
そうしてメイド役の一人は俺で決定し、その後も順調に二人、三人と決まっていきクラスのメイド役は全て決定した。
そしてその後、タイミング良く一時間目終了のチャイムが教室へ鳴り響いた。
「授業終わりのチャイムも鳴ったし、一時間目のホームルームはここまで。あとは夏休み中にでもクラスLIMEで役割等決めておいてくれ。じゃあ休み時間ー」
先生はそう言って授業を締めた。
(はあ…マジで俺本当にメイドをやるのか…)
こんな事を毎時間思いながら、その後も俺は夏休み前最後の授業を順に終わらせて行ったのである。
「え、ダメっすか、これ…」
「チャイム鳴り終わってるからアウト。今日で夏休み前最後の登校だぞー?しっかりしろー」
次の日、寝坊を全くしない俺が初めて寝坊をしてしまい、学校を遅刻した。今日で夏休み前最後の登校だというのに。
「それにしても二見が遅刻は珍しいな。寝坊か?」
「はい…なんかめっちゃいい夢見てた気がします」
「それは知らん。席つけー」
俺は先生にそう言われ、渋々と席へ着いた。
「おはよ。伊吹が寝坊は珍しいな笑」
「俺も焦った…でもさめっちゃいい夢見てた気がするんだよ」
「それは知らねえよ笑」
「茉白まで先生と同じこと言うなよ」
実際、本当に俺は良い夢を見ていたと思う。夢の内容は忘れてしまったけれど、何だか甘美な夢を見ていたような気がする。
「どうせ遥の夢でも見てたんだろお前は笑」
「だったのかなあ…どんな夢だったか忘れた…」
「多分そうだよ笑」
俺は、俺の席の前に座っている茉白と朝のホームルーム中にこっそりと雑談をしていると、先生が黒板になにやら文字を描き始めた。
「一時間目はこのままホームルーム続けます。皆さんは夏休み明けに文化祭があるのを知っていますか?」
俺は文化祭、という言葉に思わず目を丸くした。
「文化祭だってさ、伊吹」
「文化祭…!?いや楽しみだけどカップル大目立ちイベント…」
去年の文化祭はカップルが目まぐるしい程おり、そのせいか文化祭イコールカップルイベントというイメージがついている。
「ちなみに文化祭実行委員が前々から出してくれていた案はカフェなんだが、普通のカフェではつまらないよな?」
先生は黒板に板書していた手を止め、俺達生徒の方を見て尋ねた。
「うん!!なんか面白いカフェがいい!!」
「俺たちが考えます!!」
自称一軍女子、男子達がガヤガヤと話を始めた。
「マジか…! まあでもカフェっていっても何かプラスはしたいよな、茉白」
俺は文化祭などのイベントごとが好きであるから、真剣に様々な案を出すべく色々と考えてみる。
「文化祭のカフェって何やるのが普通なんだろうなー」
茉白も俺と同じく案を考え始めた。
「先生!メイドカフェがいいです!!」
一軍女子が席を立ち、挙手して発言した。
「メイ…えっ、本気か…!?」
そして後に他の女子、男子も重ねてメイドカフェがいいと言い出した。俺は面白いカフェの案出しと言っても、メイドカフェという案は一切思い付かなかった。戸惑いが隠せない。
「おー希望者多いな。なら多数決を取る」
ここで先生が多数決を取ると、なんとクラスの半数以上が挙手したのである。
「半数以上か…ならメイドカフェでいいか?そうと決まれば男女関係なくメイドやることになるけどいいのか?」
「大丈夫です!メイドやらない人は受付とか、その他会計とかに回れば!」
クラスの一軍達はどんどんと話を進めていく。とはいえ俺もいい案が思いつかないため文句は言えない。
「マジかよ笑笑 伊吹せっかくだしメイドやれば?笑笑 」
「は!? やんねーよ!」
茉白は俺を揶揄ってそう言うが、俺は意地でもメイドはやりたくない。
「つーか、メイドなんて女子がやるもんだろ…あと可愛い系の男とか」
「は?お前可愛い顔してんのに?」
茉白は俺の頬をやわやわと触りながら言う。
「は?可愛くねえから!」
「ドS王子にも顔幼くて可愛いって言われたんだろ?」
「か、可愛いまでは言われてねえよ!!」
(そういえば電車で遥に顔が幼いと言われたな…)
遥の声が自然と脳内で再生され、一人でについ恥ずかしくなる。
「じゃあ今役柄決めちゃおうぜ!!」
「メイド役の人はじゃあ推薦にする?」
(えっ待って今なんて言った?)
俺が遥を思い返しており、意識を異なる方へ向けていた数秒の内に、なんとメイド役の役柄を決めるという流れになっていた。
「メイド役十人ぐらい欲しいから、男女5人ずつ推薦しまーす」
文化祭実行委員が教卓へ出た。
この授業内でメイド役が決まるのか。
(いやでも何十人もいる男の中で五人の内に選ばれる確率の方が少ない…)
「んーじゃあ二見、メイド役やらないか?」
「えっ」
今一番聞きたくなかった言葉が俺の耳に入ってくる。
(待てよ嘘だろ…!?)
「二見顔可愛いし似合いそうじゃん!あと今日遅刻したから」
これは罰ゲームか何かなのか…!?
「伊吹マジで推薦されてやんの笑笑 お前ついてんな!」
茉白はまるで他人事のように欣喜している。
「マジで…?俺マジでメイドやんの…?」
「文化祭の二日間だけだし、シフト制だぜ」
(…まあ別に遥に見られるわけでもなんでもないし…このメイドカフェも高校生活の思い出になるだろうしな)
「じゃあ…俺、やります」
「マジで!?ありがとう!!じゃあ二見で決定!!」
俺は勢いに乗ってつい承諾してしまった。
「伊吹!!よくやった!! やべえ俺が楽しみ」
「そんな期待すんなよ…笑笑」
そうしてメイド役の一人は俺で決定し、その後も順調に二人、三人と決まっていきクラスのメイド役は全て決定した。
そしてその後、タイミング良く一時間目終了のチャイムが教室へ鳴り響いた。
「授業終わりのチャイムも鳴ったし、一時間目のホームルームはここまで。あとは夏休み中にでもクラスLIMEで役割等決めておいてくれ。じゃあ休み時間ー」
先生はそう言って授業を締めた。
(はあ…マジで俺本当にメイドをやるのか…)
こんな事を毎時間思いながら、その後も俺は夏休み前最後の授業を順に終わらせて行ったのである。
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