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第230話「上手い話には裏がある」
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俺ロイクとルクレツィア様が創世神大聖堂で、婚約、結婚確定の発表をした後、
間を置かず、その場で、俺とジョルジエット様達の婚約、結婚確定の発表をする事となった。
ルクレツィア様は、家族として、
7人一緒にスタートを切りたいという気持ちなのだろう。
俺としても、一気に発表してしまった方が良いと思った。
よくよく考えたら、その方が、嫁達……嫁ズにも迷惑がかからない。
もしも、俺が叩かれたら、嫁ズは落ち込むだろうし。
そして、ものは考えようだ。
一気に発表してしまった方が、俺に対する、やっかみ、そねみ、怨嗟の声が上がっても、一度で済む。
発表の都度、ねちねち責められないで済むと考えよう。
そして、アレクサンドル陛下は俺に対し、
深い感謝の気持ちを述べてもくれた。
俺の想像以上に、アレクサンドル陛下は、ず~っと悩んでいたに違いない。
国益の為とはいえ、可愛がっている妹君ルクレツィア様を、
遥か遠き他国の王族へ、嫁にやるという事を。
しかし俺と結婚する事が決まり、ルクレツィア様は、とても明るく、
そして人生に対し、前向きとなった。
元気なルクレツィア様のお姿を見て、
葛藤、悩みがなくなり、アレクサンドル陛下は、心がだいぶ軽くなったようだ。
傍らで話を聞いていたグレゴワール様は、俺への援護射撃だと考えたのか、
昨夜の合同連絡会議にて、俺が告げた事をアレクサンドル陛下へも話す。
「陛下」
「うむ、何だ? グレゴワール」
「はい、昨夜ロイクがジョルジエット達へ話した事を思い出しましてな」
「昨夜ロイクがジョルジエット達へ話した事か、申してみせい」
「はい、ロイクはこう言いました。我々家族にこれから必要になるものとは、3つの徹底を行う事。その3つとはまず金儲け、つまり蓄財、次に人……つまり人脈の構築と良好さの維持、更なる発展、最後に情報……つまり情報の収集と取捨、有効活用だと」
「ふむ、なるほど、ロイクの言う事はシンプルだが、的を射ている」
「はい、私もそう思います」
「ははは、まず金儲けを徹底するというのが気に入った!」
「ええ、私も同意です。ロイクは世の根本は、経済力だとはっきり認識しております。今回はロイクのお陰で、大破壊収束の経費がだいぶ節約出来ました」
「うむ、今回は助かった!」
アレクサンドル陛下の機嫌が良い今この時が、タイミングだと考えたのだろう。
「陛下、この度、ロイクは伯爵にもなった事ですし、陛下から恩賞を下賜されれば と思います」
「おお、私からロイクへ恩賞を下賜 とな」
「はい、つきましては私に良きご提案がございます」
「何? グレゴワールから、良き提案とな」
「はい!」
アレクサンドル陛下から問われ、グレゴワール様は微笑み、
張りのある声で返事をしたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺の前で、アレクサンドル陛下とグレゴワール様が話している。
グレゴワール様の提案を聞き、アレクサンドル陛下は、おおいに大いに納得。
前向きに検討する気になったようだ。
このグレゴワール様の提案、俺も事前に聞いている。
「ふむ、王国直轄地の数か所と、後継ぎが不在で、当主が引退、断絶した貴族の旧領地を、大破壊を収束させた恩賞及び、ルクレツィアの持参金の一部として、ロイクへ割譲するという事だな?」
「はい、ルクレツィア様のご持参金という名目なら、王国直轄地を割譲しても、うるさい反対派は少ないかと」
「うむ、その通りだ。しかしな……ロイクの恩賞の中へ、トレゾール公地を入れて、活用するというのは本当に大丈夫なのか? 王国にとっては良い話だが、一度行っているとはいえ、竜などに襲われ、いたずらにロイクを危険にさらし、ルクレツィアに恨まれたくはないぞ」
「ははは、陛下、心配は無用です。ロイクとは充分に話し、了解を得ていますので、なあ、ロイク」
「はい、陛下。グレゴワール様のおっしゃる通り、ご心配は無用です」
「本当かね、ロイク」
「はい、大丈夫です、陛下。それに、大破壊を収束させる任務とは違い、最初から討伐目的ではありません。何体倒すという、どれくらい宝石を採集するという、ノルマもありません。だから、準備は万端にし、危なかったら無理をせず、すぐに撤退します」
そう、グレゴワール様の提案とは、ロイク・アルシェ伯爵へ、大破壊を収束させた恩賞として、アレクサンドル陛下から、領地を下賜するというもの。
割譲するのは、王国直轄地の数か所と、
後継ぎが不在で、当主が引退、断絶した貴族の旧領地。
王国直轄地は王家、王国が直接治める領地。
断絶した貴族の旧領地は、王国に返却。
こちらも、基本的に王国の直轄地になる。
アレクサンドル陛下が割譲を決めた、それらの領地を伯爵となった俺が引き継ぐという事。
王国直轄地、断絶した貴族の旧領地は豊かな土地から、不毛な土地までいろいろ。
リヴァロル公爵家内から、俺の職務を代行する管理官と部下を送る形で政務を行う。
つまり、管理官に政務を執って貰い、お任せで領地運営をしながら、
俺の裁量で各所を豊かにしろという王国からのお達し。
ここで問題となるのが、財政的な問題。
何事も先立つものがなければ始まらない。
そこで、グレゴワール様の提案、俺に摩訶不思議な境地、
トレゾール公地を割譲。
俺が宝石を採取し、魔物を倒し、領地の運営資金を稼ぐという算段。
ケルベロスとともに無双すれば、宝石ざっくざく、ドラゴンばったばた。
楽勝で大儲けだろう。
大量の資金をゲット。
領地運営もばっちりに違いない。
最初にグレゴワール様から話を聞いて、やった!とガッツポーズをしてしまった。
だが、上手い話には裏がある。
ドラゴン等の魔物が出現するなど、とんでもなく危険ではあるが、
金銀宝石も大量に出る、このように上質な領地を王国が簡単に手放すはずはない。
グレゴワール様の提案には、アレクサンドル陛下を説得できる理由がちゃんとあった。
俺がトレゾール公地で、頑張れば頑張るほど、王国も潤う仕組み。
収穫した物に応じて、これまで通り、王国へ相当な手数料を支払う事となったのである。
間を置かず、その場で、俺とジョルジエット様達の婚約、結婚確定の発表をする事となった。
ルクレツィア様は、家族として、
7人一緒にスタートを切りたいという気持ちなのだろう。
俺としても、一気に発表してしまった方が良いと思った。
よくよく考えたら、その方が、嫁達……嫁ズにも迷惑がかからない。
もしも、俺が叩かれたら、嫁ズは落ち込むだろうし。
そして、ものは考えようだ。
一気に発表してしまった方が、俺に対する、やっかみ、そねみ、怨嗟の声が上がっても、一度で済む。
発表の都度、ねちねち責められないで済むと考えよう。
そして、アレクサンドル陛下は俺に対し、
深い感謝の気持ちを述べてもくれた。
俺の想像以上に、アレクサンドル陛下は、ず~っと悩んでいたに違いない。
国益の為とはいえ、可愛がっている妹君ルクレツィア様を、
遥か遠き他国の王族へ、嫁にやるという事を。
しかし俺と結婚する事が決まり、ルクレツィア様は、とても明るく、
そして人生に対し、前向きとなった。
元気なルクレツィア様のお姿を見て、
葛藤、悩みがなくなり、アレクサンドル陛下は、心がだいぶ軽くなったようだ。
傍らで話を聞いていたグレゴワール様は、俺への援護射撃だと考えたのか、
昨夜の合同連絡会議にて、俺が告げた事をアレクサンドル陛下へも話す。
「陛下」
「うむ、何だ? グレゴワール」
「はい、昨夜ロイクがジョルジエット達へ話した事を思い出しましてな」
「昨夜ロイクがジョルジエット達へ話した事か、申してみせい」
「はい、ロイクはこう言いました。我々家族にこれから必要になるものとは、3つの徹底を行う事。その3つとはまず金儲け、つまり蓄財、次に人……つまり人脈の構築と良好さの維持、更なる発展、最後に情報……つまり情報の収集と取捨、有効活用だと」
「ふむ、なるほど、ロイクの言う事はシンプルだが、的を射ている」
「はい、私もそう思います」
「ははは、まず金儲けを徹底するというのが気に入った!」
「ええ、私も同意です。ロイクは世の根本は、経済力だとはっきり認識しております。今回はロイクのお陰で、大破壊収束の経費がだいぶ節約出来ました」
「うむ、今回は助かった!」
アレクサンドル陛下の機嫌が良い今この時が、タイミングだと考えたのだろう。
「陛下、この度、ロイクは伯爵にもなった事ですし、陛下から恩賞を下賜されれば と思います」
「おお、私からロイクへ恩賞を下賜 とな」
「はい、つきましては私に良きご提案がございます」
「何? グレゴワールから、良き提案とな」
「はい!」
アレクサンドル陛下から問われ、グレゴワール様は微笑み、
張りのある声で返事をしたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺の前で、アレクサンドル陛下とグレゴワール様が話している。
グレゴワール様の提案を聞き、アレクサンドル陛下は、おおいに大いに納得。
前向きに検討する気になったようだ。
このグレゴワール様の提案、俺も事前に聞いている。
「ふむ、王国直轄地の数か所と、後継ぎが不在で、当主が引退、断絶した貴族の旧領地を、大破壊を収束させた恩賞及び、ルクレツィアの持参金の一部として、ロイクへ割譲するという事だな?」
「はい、ルクレツィア様のご持参金という名目なら、王国直轄地を割譲しても、うるさい反対派は少ないかと」
「うむ、その通りだ。しかしな……ロイクの恩賞の中へ、トレゾール公地を入れて、活用するというのは本当に大丈夫なのか? 王国にとっては良い話だが、一度行っているとはいえ、竜などに襲われ、いたずらにロイクを危険にさらし、ルクレツィアに恨まれたくはないぞ」
「ははは、陛下、心配は無用です。ロイクとは充分に話し、了解を得ていますので、なあ、ロイク」
「はい、陛下。グレゴワール様のおっしゃる通り、ご心配は無用です」
「本当かね、ロイク」
「はい、大丈夫です、陛下。それに、大破壊を収束させる任務とは違い、最初から討伐目的ではありません。何体倒すという、どれくらい宝石を採集するという、ノルマもありません。だから、準備は万端にし、危なかったら無理をせず、すぐに撤退します」
そう、グレゴワール様の提案とは、ロイク・アルシェ伯爵へ、大破壊を収束させた恩賞として、アレクサンドル陛下から、領地を下賜するというもの。
割譲するのは、王国直轄地の数か所と、
後継ぎが不在で、当主が引退、断絶した貴族の旧領地。
王国直轄地は王家、王国が直接治める領地。
断絶した貴族の旧領地は、王国に返却。
こちらも、基本的に王国の直轄地になる。
アレクサンドル陛下が割譲を決めた、それらの領地を伯爵となった俺が引き継ぐという事。
王国直轄地、断絶した貴族の旧領地は豊かな土地から、不毛な土地までいろいろ。
リヴァロル公爵家内から、俺の職務を代行する管理官と部下を送る形で政務を行う。
つまり、管理官に政務を執って貰い、お任せで領地運営をしながら、
俺の裁量で各所を豊かにしろという王国からのお達し。
ここで問題となるのが、財政的な問題。
何事も先立つものがなければ始まらない。
そこで、グレゴワール様の提案、俺に摩訶不思議な境地、
トレゾール公地を割譲。
俺が宝石を採取し、魔物を倒し、領地の運営資金を稼ぐという算段。
ケルベロスとともに無双すれば、宝石ざっくざく、ドラゴンばったばた。
楽勝で大儲けだろう。
大量の資金をゲット。
領地運営もばっちりに違いない。
最初にグレゴワール様から話を聞いて、やった!とガッツポーズをしてしまった。
だが、上手い話には裏がある。
ドラゴン等の魔物が出現するなど、とんでもなく危険ではあるが、
金銀宝石も大量に出る、このように上質な領地を王国が簡単に手放すはずはない。
グレゴワール様の提案には、アレクサンドル陛下を説得できる理由がちゃんとあった。
俺がトレゾール公地で、頑張れば頑張るほど、王国も潤う仕組み。
収穫した物に応じて、これまで通り、王国へ相当な手数料を支払う事となったのである。
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