184 / 257
第184話「既に陛下は、中でお待ちになっております!」
しおりを挟む
「ああ、但し、協力をして貰うから、いろいろ相談をさせてくれたまえ」
何か『策』を考えていたらしいグレゴワール様は、
俺に向かって「にやり」と笑った。
「協力……ですか?」
「おお、いろいろ協力して貰う。頼むぞ!」
「はい」
「うむ! 良い返事だ。さて、フレデリクと話す前に、アレクサンドル陛下へこの喜ばしい吉報を伝え、ご安心させたい!」
「成る程。そりゃそうですね。お疲れ様です」
納得。
宰相として、グレゴワール様が、大破壊の収束を、陛下に報告されるんだろう。
一方俺は、このままスタンバイって事か。
まあ、国王陛下へのご対応は、お任せしましょう。
ひと休み、ひと休みっと。
すると、俺の心の中を見抜いたように、グレゴワール様は、
「ははは、ロイク君。お疲れ様とか、何、人ごとみたいに言っているんだ。君も私と一緒に陛下の下へ伺うんだよ」
はい~?
俺も一緒っすかあ?
「え? そうなんですか?」
「何を言っている。私の『預かり』とはいえ、本来は組織上、君は陛下の直属なんだぞ」
「ああ、そう言えばそうでした」
「ははは! 君はほぼ徹夜明けで激戦をこなし、疲れていると思う。そういうコンディションなのに大変申し訳ないが、私とともに、陛下へお会いするんだ。お願いしたい事もあるしな!」
「陛下へお願いしたい事……ですか?」
「ああ、悪いようにはしない。上手くいけば、全てが丸く収まるはずだ」
俺の心の中に、グレゴワール様の言葉がリフレインする。
「はははははははは!! ロイク君!! 私に任せておけ!! オーガどもを全て君が倒してしまう。こうなる可能性があるのではと、私は想定し、シミュレーションをしていたよ」
グレゴワール様は、いろいろな事態を想定し、シミュレーションしていたらしい。
俺がオーガどもを全て倒してしまう事も想定内だったって事だ。
全てが丸く収まるはず……か。
ここは、グレゴワール様を信じよう。
「分かりました! お供致しましょう」
「うむ、では早速、陛下の下へ伺おう」
俺は王国宰相執務室の壁にかかる魔導時計を見た。
既に日付は変わり、午前1時近い。
思わず俺は尋ねる。
「グレゴワール様」
「おう」
「この時間でも……陛下は起きていらっしゃるんですか?」
「うむ、既にご就寝されておられるかもしれないが、非常事態宣言中だし、事が事だ。万が一の場合は、起こしても構わないと、陛下からは、ご了解を頂いておる」
おお、さすがグレゴワール様。
抜け目がない!
否、手ぬかりがない!
という事で、俺はグレゴワール様とともに、国王陛下の下へ向かったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王宮の奥にある、王族専用の専用の広大なプライベートエリア。
そのプライベートエリア内にあるプライベートルームのひとつ、
特別応接室付きの国王専用書斎で、
俺はアレクサンドル陛下にお会いしている。
あの時もグレゴワール様と一緒だった。
さてさて!
グレゴワール様と俺は、王国宰相秘書室長、アルフォンス・バゼーヌさん、
そして、王国宰相専任の護衛騎士と、シルヴェーヌさんの兄バジルさんとは違う、
たくましい男子騎士に先導され、王宮内をゆっくりと歩いて行く。
王国宰相執務室へ来た時もそうだったが、深夜の王宮は凄く静かだ。
15分ほど歩き、王族プライベートエリアまで来た。
夜中だというのに、騎士が数十人詰める受付があり、
その横には、待合室みたいな場所があった。
グレゴワール様は騎士のひとりに何か指示をした。
アレクサンドル陛下を起こす事、謁見へ赴いた旨を伝えたようだ。
指示を受けた騎士は、いずこともなく消えて行く。
一方、すぐには通されず、グレゴワール様と俺は少々待つ事に。
30分以上待っただろうか、先ほどグレゴワール様が指示をした騎士が戻って来た。
謁見の準備が出来たという。
ここでアルフォンスさん、王国宰相専任の護衛騎士さんとは一旦お別れ。
王国宰相執務室へ戻って待機するらしい。
王族プライベートエリア専任の護衛騎士さんに先導して貰う。
この王族プライベートエリアも、しん!と静まり返っている。
ところどころ、いくつかの部屋には人の気配がし、魔導灯の明かりも漏れていた。
非常事態宣言が発令され、不安な夜を過ごしているのだろう。
だが……
オーガ5千体が現れた国境付近までは約1,000㎞もある。
国王陛下以下、王族の方々も王宮内に留まり、
「まだまだ避難などしない」という事らしい。
まもなく、グレゴワール様と俺は国王陛下の専用書斎へ到着した。
入口には、やはりというか騎士が2名、護衛として立っていた。
まずは、俺達を先導して来た騎士さんが護衛の騎士達へ敬礼。
「王国宰相、グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿をお連れした!」
続いて、グレゴワール様が、声を張り上げる。
「このような時間だが、緊急事態につき、お願いし、お時間を頂いておる! 陛下にお会いしたい!」
すると、騎士のひとりが、びしっと敬礼。
「かしこまりました! 既に陛下は、中でお待ちになっております!」
と言い放ち、更に書斎へ向かい、
「陛下! 王国宰相グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿がいらっしゃいましたあ!」
とひときわ大きな声で言い放った。
対して、
「うむ!! 待っていたぞ! 大儀である!! すぐ中へ通してくれ!!」
と、ファルコ王国第81代国王、アレクサンドル・ファルコ陛下の声が、
大きく大きく響いていたのである。
何か『策』を考えていたらしいグレゴワール様は、
俺に向かって「にやり」と笑った。
「協力……ですか?」
「おお、いろいろ協力して貰う。頼むぞ!」
「はい」
「うむ! 良い返事だ。さて、フレデリクと話す前に、アレクサンドル陛下へこの喜ばしい吉報を伝え、ご安心させたい!」
「成る程。そりゃそうですね。お疲れ様です」
納得。
宰相として、グレゴワール様が、大破壊の収束を、陛下に報告されるんだろう。
一方俺は、このままスタンバイって事か。
まあ、国王陛下へのご対応は、お任せしましょう。
ひと休み、ひと休みっと。
すると、俺の心の中を見抜いたように、グレゴワール様は、
「ははは、ロイク君。お疲れ様とか、何、人ごとみたいに言っているんだ。君も私と一緒に陛下の下へ伺うんだよ」
はい~?
俺も一緒っすかあ?
「え? そうなんですか?」
「何を言っている。私の『預かり』とはいえ、本来は組織上、君は陛下の直属なんだぞ」
「ああ、そう言えばそうでした」
「ははは! 君はほぼ徹夜明けで激戦をこなし、疲れていると思う。そういうコンディションなのに大変申し訳ないが、私とともに、陛下へお会いするんだ。お願いしたい事もあるしな!」
「陛下へお願いしたい事……ですか?」
「ああ、悪いようにはしない。上手くいけば、全てが丸く収まるはずだ」
俺の心の中に、グレゴワール様の言葉がリフレインする。
「はははははははは!! ロイク君!! 私に任せておけ!! オーガどもを全て君が倒してしまう。こうなる可能性があるのではと、私は想定し、シミュレーションをしていたよ」
グレゴワール様は、いろいろな事態を想定し、シミュレーションしていたらしい。
俺がオーガどもを全て倒してしまう事も想定内だったって事だ。
全てが丸く収まるはず……か。
ここは、グレゴワール様を信じよう。
「分かりました! お供致しましょう」
「うむ、では早速、陛下の下へ伺おう」
俺は王国宰相執務室の壁にかかる魔導時計を見た。
既に日付は変わり、午前1時近い。
思わず俺は尋ねる。
「グレゴワール様」
「おう」
「この時間でも……陛下は起きていらっしゃるんですか?」
「うむ、既にご就寝されておられるかもしれないが、非常事態宣言中だし、事が事だ。万が一の場合は、起こしても構わないと、陛下からは、ご了解を頂いておる」
おお、さすがグレゴワール様。
抜け目がない!
否、手ぬかりがない!
という事で、俺はグレゴワール様とともに、国王陛下の下へ向かったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王宮の奥にある、王族専用の専用の広大なプライベートエリア。
そのプライベートエリア内にあるプライベートルームのひとつ、
特別応接室付きの国王専用書斎で、
俺はアレクサンドル陛下にお会いしている。
あの時もグレゴワール様と一緒だった。
さてさて!
グレゴワール様と俺は、王国宰相秘書室長、アルフォンス・バゼーヌさん、
そして、王国宰相専任の護衛騎士と、シルヴェーヌさんの兄バジルさんとは違う、
たくましい男子騎士に先導され、王宮内をゆっくりと歩いて行く。
王国宰相執務室へ来た時もそうだったが、深夜の王宮は凄く静かだ。
15分ほど歩き、王族プライベートエリアまで来た。
夜中だというのに、騎士が数十人詰める受付があり、
その横には、待合室みたいな場所があった。
グレゴワール様は騎士のひとりに何か指示をした。
アレクサンドル陛下を起こす事、謁見へ赴いた旨を伝えたようだ。
指示を受けた騎士は、いずこともなく消えて行く。
一方、すぐには通されず、グレゴワール様と俺は少々待つ事に。
30分以上待っただろうか、先ほどグレゴワール様が指示をした騎士が戻って来た。
謁見の準備が出来たという。
ここでアルフォンスさん、王国宰相専任の護衛騎士さんとは一旦お別れ。
王国宰相執務室へ戻って待機するらしい。
王族プライベートエリア専任の護衛騎士さんに先導して貰う。
この王族プライベートエリアも、しん!と静まり返っている。
ところどころ、いくつかの部屋には人の気配がし、魔導灯の明かりも漏れていた。
非常事態宣言が発令され、不安な夜を過ごしているのだろう。
だが……
オーガ5千体が現れた国境付近までは約1,000㎞もある。
国王陛下以下、王族の方々も王宮内に留まり、
「まだまだ避難などしない」という事らしい。
まもなく、グレゴワール様と俺は国王陛下の専用書斎へ到着した。
入口には、やはりというか騎士が2名、護衛として立っていた。
まずは、俺達を先導して来た騎士さんが護衛の騎士達へ敬礼。
「王国宰相、グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿をお連れした!」
続いて、グレゴワール様が、声を張り上げる。
「このような時間だが、緊急事態につき、お願いし、お時間を頂いておる! 陛下にお会いしたい!」
すると、騎士のひとりが、びしっと敬礼。
「かしこまりました! 既に陛下は、中でお待ちになっております!」
と言い放ち、更に書斎へ向かい、
「陛下! 王国宰相グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿がいらっしゃいましたあ!」
とひときわ大きな声で言い放った。
対して、
「うむ!! 待っていたぞ! 大儀である!! すぐ中へ通してくれ!!」
と、ファルコ王国第81代国王、アレクサンドル・ファルコ陛下の声が、
大きく大きく響いていたのである。
1
お気に入りに追加
953
あなたにおすすめの小説
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる