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第149話「シャルロットさんへ、いろいろお伝えした上で、ご相談があります」
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「「「宜しくお願い致します!」」」
と、俺達3人が言葉を返した後、
はい!っと、俺は挙手をした。
初見であるシャルロット・ルナールさんの素性を尋ねようと思ったのである。
「シャルロットさん」
「はい」
「初めてお会いしますが、ルナールという姓は? もしかして、セドリック会頭のお身内の方なのですか?」
すると、端麗な顔をほころばせ、シャルロットさんは、にっこり。
肩まで伸びた綺麗な栗色の髪が、ふわっと揺れる。
オーバンさんが呼ぶ通り、上品なお嬢様って感じだ。
「はい! 私シャルロット・ルナールは、セドリック・ルナールの孫娘でございますわ」
おお!
やっぱり身内!
というか、シャルロット・ルナールさんは、セドリック会頭の孫娘かあ。
「そうなのですか」
「はい、私は去年の春、ロジエ女子大学を卒業し、今までは、祖父が親しくしている他の商会で、商人見習い、そして、秘書見習いをしておりました」
「成る程。商人見習い、秘書見習い……ですか」
……すぐにピンと来た。
シャルロットさんは、ゆくゆくはルナール商会を継ぐ後継者なんだ。
それまで、「可愛い子には旅をさせよ」というセドリック会頭の考えで、
他家のメシを食い、商人と秘書の修行をしつつ……
頃合いが来たら戻り、ルナール商会へ入社し直し、祖父の秘書になる。
そして、どこからか、婿を取って次期会頭へ……という話に違いない。
「予定では、その商会にてもう少し修行という事でしたが、祖父からロイク様の秘書として仕えるようにと命じられました」
ええっと……
でも、シャルロットさんのご両親は?
彼女は、セドリック会頭のお孫さんだけど、
社会人になりたてだし……
本来、後継者になるのはセドリック会頭のお子さんだよなあ。
何か事情がありそうだ。
う~ん、そうか。
これまで、セドリック会頭のお子さんの事とか、
プライベートな事を聞いた事はなかった。
疑問は残る。だが、まあ、状況は理解した。
詳しい事情は後々判明するだろうし。
シャルロットさんが、この場で告げないのなら、今、尋ねるべきではない。
改めて思う。
セドリック会頭のお孫さん、シャルロットさんは、とりあえず俺の秘書となり、
いずれ、ルナール商会の後継者になるべく修行をするのだろう。
ならば!
俺は、シャルロットさんへ、
シルヴェーヌさん、トリッシュさんにしたのと同じ、
リヴァロル公爵家別棟の『住み込み』の話をしなければならない。
もし、シャルロットさんが不承知ならば、彼女だけ特別扱いは出来ないから、
改めて人選をしなくてはならないかも。
「シャルロットさんへ、いろいろお伝えした上で、ご相談があります」
と、俺が言い、全員が着席。
打合せをする事となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「まず、ひと通り話しますから、もしもご存知でも、最後まで聞いて貰えますか」
俺が言えば、シャルロットさん、オーバンさんは、頷いた。
ここから、俺はトリッシュさんへしたのとほぼ同じ話を繰り返す。
「オーバンさんは、ご存知ですが、俺の現住所はルナール商会のホテルです。だけど王国執行官に就任するにあたり、引っ越しする事になりました」
「………………」
「新たな住所は、リヴァロル公爵家別棟。国王陛下直属となりますが、グレゴワール様の預かりという形で実際には仕事をします。ちなみにホテルは、別宅という形で商会がキープしてくれる事になりましたね」
「………………」
「仕事の割合としては、申し訳ないのですが、王国執行官の仕事が多くなると思います。ちなみに、ロイク・アルシェの勤務スケジュールは、月曜日から木曜日の4日間です。金土日は基本休みの週休3日制。月曜日、火曜日は王宮の宰相執務室で王国執務官の事務仕事他、水曜日の午前は冒険者ギルドで顧問の事務仕事他、午後はこのルナール商会へ出勤し、打合せ他。木曜日は予備日となります」
「………………」
「但し、このスケジュールはあくまで基本で、目安にすぎません。随時確認を取りながら、王国執行官、冒険者ギルド、ルナール商会、各仕事の優先順位をつける事にあります」
「………………」
「この優先順位をつける為、王国執行官秘書のシルヴェーヌさん、冒険者ギルド顧問秘書のトリッシュさん、ルナール商会の秘書であるシャルロットさんの3人とは、毎日、全員で情報をすり合わせし、共有したいと考えています」
「………………」
「前振りが長くなりましたが、ロイク・アルシェの秘書は、居住する別棟に住み込んで貰い、毎日情報を共有しながら、勤務先へ通勤して貰おうと思います。シャルロットさんなら、別棟に住み込み、毎日このルナール商会へ通う形です」
「………………」
「シルヴェーヌさん、パトリシアさんには、既に住み込みを了解して貰っています。そうだよな?」
俺が尋ねると、シルヴェーヌさん、トリッシュさんは、
「はい!」
「はい!」
と、ふたりとも力強く答えた。
「シャルロットさんは? どうしますか?」
俺が、シャルロットさんへ尋ねると、
「勿論! 私シャルロット・ルナールも、住み込みをさせて頂きますわ」
と即答した。
そして更に、
「ロイク様の秘書となり、王国に尽くす事で、当商会も発展し、私も将来に向け、貴重な経験を積む事が出来ますから!」
柔らかく微笑み……
シャルロットさんは、きっぱりと言い切ったのである。
と、俺達3人が言葉を返した後、
はい!っと、俺は挙手をした。
初見であるシャルロット・ルナールさんの素性を尋ねようと思ったのである。
「シャルロットさん」
「はい」
「初めてお会いしますが、ルナールという姓は? もしかして、セドリック会頭のお身内の方なのですか?」
すると、端麗な顔をほころばせ、シャルロットさんは、にっこり。
肩まで伸びた綺麗な栗色の髪が、ふわっと揺れる。
オーバンさんが呼ぶ通り、上品なお嬢様って感じだ。
「はい! 私シャルロット・ルナールは、セドリック・ルナールの孫娘でございますわ」
おお!
やっぱり身内!
というか、シャルロット・ルナールさんは、セドリック会頭の孫娘かあ。
「そうなのですか」
「はい、私は去年の春、ロジエ女子大学を卒業し、今までは、祖父が親しくしている他の商会で、商人見習い、そして、秘書見習いをしておりました」
「成る程。商人見習い、秘書見習い……ですか」
……すぐにピンと来た。
シャルロットさんは、ゆくゆくはルナール商会を継ぐ後継者なんだ。
それまで、「可愛い子には旅をさせよ」というセドリック会頭の考えで、
他家のメシを食い、商人と秘書の修行をしつつ……
頃合いが来たら戻り、ルナール商会へ入社し直し、祖父の秘書になる。
そして、どこからか、婿を取って次期会頭へ……という話に違いない。
「予定では、その商会にてもう少し修行という事でしたが、祖父からロイク様の秘書として仕えるようにと命じられました」
ええっと……
でも、シャルロットさんのご両親は?
彼女は、セドリック会頭のお孫さんだけど、
社会人になりたてだし……
本来、後継者になるのはセドリック会頭のお子さんだよなあ。
何か事情がありそうだ。
う~ん、そうか。
これまで、セドリック会頭のお子さんの事とか、
プライベートな事を聞いた事はなかった。
疑問は残る。だが、まあ、状況は理解した。
詳しい事情は後々判明するだろうし。
シャルロットさんが、この場で告げないのなら、今、尋ねるべきではない。
改めて思う。
セドリック会頭のお孫さん、シャルロットさんは、とりあえず俺の秘書となり、
いずれ、ルナール商会の後継者になるべく修行をするのだろう。
ならば!
俺は、シャルロットさんへ、
シルヴェーヌさん、トリッシュさんにしたのと同じ、
リヴァロル公爵家別棟の『住み込み』の話をしなければならない。
もし、シャルロットさんが不承知ならば、彼女だけ特別扱いは出来ないから、
改めて人選をしなくてはならないかも。
「シャルロットさんへ、いろいろお伝えした上で、ご相談があります」
と、俺が言い、全員が着席。
打合せをする事となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「まず、ひと通り話しますから、もしもご存知でも、最後まで聞いて貰えますか」
俺が言えば、シャルロットさん、オーバンさんは、頷いた。
ここから、俺はトリッシュさんへしたのとほぼ同じ話を繰り返す。
「オーバンさんは、ご存知ですが、俺の現住所はルナール商会のホテルです。だけど王国執行官に就任するにあたり、引っ越しする事になりました」
「………………」
「新たな住所は、リヴァロル公爵家別棟。国王陛下直属となりますが、グレゴワール様の預かりという形で実際には仕事をします。ちなみにホテルは、別宅という形で商会がキープしてくれる事になりましたね」
「………………」
「仕事の割合としては、申し訳ないのですが、王国執行官の仕事が多くなると思います。ちなみに、ロイク・アルシェの勤務スケジュールは、月曜日から木曜日の4日間です。金土日は基本休みの週休3日制。月曜日、火曜日は王宮の宰相執務室で王国執務官の事務仕事他、水曜日の午前は冒険者ギルドで顧問の事務仕事他、午後はこのルナール商会へ出勤し、打合せ他。木曜日は予備日となります」
「………………」
「但し、このスケジュールはあくまで基本で、目安にすぎません。随時確認を取りながら、王国執行官、冒険者ギルド、ルナール商会、各仕事の優先順位をつける事にあります」
「………………」
「この優先順位をつける為、王国執行官秘書のシルヴェーヌさん、冒険者ギルド顧問秘書のトリッシュさん、ルナール商会の秘書であるシャルロットさんの3人とは、毎日、全員で情報をすり合わせし、共有したいと考えています」
「………………」
「前振りが長くなりましたが、ロイク・アルシェの秘書は、居住する別棟に住み込んで貰い、毎日情報を共有しながら、勤務先へ通勤して貰おうと思います。シャルロットさんなら、別棟に住み込み、毎日このルナール商会へ通う形です」
「………………」
「シルヴェーヌさん、パトリシアさんには、既に住み込みを了解して貰っています。そうだよな?」
俺が尋ねると、シルヴェーヌさん、トリッシュさんは、
「はい!」
「はい!」
と、ふたりとも力強く答えた。
「シャルロットさんは? どうしますか?」
俺が、シャルロットさんへ尋ねると、
「勿論! 私シャルロット・ルナールも、住み込みをさせて頂きますわ」
と即答した。
そして更に、
「ロイク様の秘書となり、王国に尽くす事で、当商会も発展し、私も将来に向け、貴重な経験を積む事が出来ますから!」
柔らかく微笑み……
シャルロットさんは、きっぱりと言い切ったのである。
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