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第142話「いつもの通り、あいさつだけは、丁寧にしっかりやるというのが、俺のモットー」
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グレゴワール様にいざなわれ、王国宰相執務室へ入った俺。
入った部屋がすぐ応接室なのは変わらないが、
さすがにアレクサンドル陛下の部屋よりやや狭く、調度品も渋い。
応接室の左奥に扉があり、その奥が執務室。
右側の壁にも扉があり、扉の先は秘書室。
訪問者は、秘書を通す事になっており、
秘書が応接に案内し、もろもろの打合せをするという。
グレゴワール様は、秘書室につながる扉の鍵を解錠。
「3人、全員で入って来てくれ!」
と、声を張り上げた。
そうか、グレゴワール様が不在の際は、秘書でさえ勝手に入室出来ないようになっているんだ。
信頼している秘書とはいえ、しっかり一線を画している。
やはりグレゴワール様は、とても厳しい……人なんだ。
鬼宰相のあだ名は伊達ではない。
「失礼致します!」
グレゴワール様の声に応えるように、渋い男性の声が戻って来た。
数秒の間を置き、
がちゃ!
と、扉がゆっくりと開いた。
そして隣接する宰相秘書室から、3人の男女が入って来た。
先頭を歩くのは、40歳前後の落ち着いた雰囲気を持つ中年男性……
この人が秘書室長か、
続いて30歳少し前、艶やかな雰囲気の女性……この人が第二秘書だろう。
そして最後は、第三秘書のシルヴェーヌ・オーリクさんだ。
3人を一瞥したグレゴワール様。
次に俺へ視線を向け、
「君達に紹介しよう。昨日アレクサンドル陛下に、任命書へサインして頂き、正式に決定した。彼が王国執行官に就任したロイク・アルシェ君だ」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「16歳の少年ながら、ランクAの冒険者でもあり、冒険者ギルド、ルナール商会の顧問も兼務する……素晴らしい逸材、否、たぐいまれな大器と言っても過言ではない」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「王国執行官のロイク君は、アレクサンドル陛下の直属だが、私グレゴワールの預かりという形になる。それゆえ任務遂行において、業務連絡、バックアップ等で、君達秘書には大いに協力して貰う事となる」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「ロイク君の任務は多岐にわたる」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「魔物、怪物の討伐、秘境、遺跡の探索調査、貴重品の採掘に採集、災害における人命救助、要人警護、賊の討伐、王国の重要な使者を務めて貰う場合もある」
……ええっと、グレゴワール様。
俺がやる事が、増えている気がしますけど。
まあ、良いか。
「ロイク君は先ほどあげた半分以上の任務を既に完遂している。そして君達にはもう伝えてあるが、最大の功績は、トレゾール公地における金、宝石の莫大な量の回収、そして何と言っても輝かしいのは、ドラゴン10体の討伐だ」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「ロイク君は、我がファルコ王国認定、文句なしのドラゴンスレイヤーとなる」
グレゴワール様が言い切ると、男女の秘書3人は、じっと俺を見つめたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さあ、ロイク・アルシェ君。自己紹介したまえ」
グレゴワール様に促された俺。
秘書3人を見て、声を張り上げる。
「皆様! 初めまして! この度、王国執行官に任命されましたロイク・アルシェと申します! シュエット村の出身の平民で、16歳です。まだまだ未熟者ですので、皆様のご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い致します」
いつもの通り、あいさつだけは、丁寧にしっかりやるというのが、俺のモットー。
グレゴワール様は、満足そうに頷くと、秘書達に自己紹介するよう促す。
「さあ、次は君達の番だ。アルフォンスから順番に、自己紹介したまえ」
「は! 閣下!」
成る程。
秘書室長さんは、アルフォンスさんというのか。
「初めまして! ロイク・アルシェ様! ファルコ王国王国宰相秘書室長、アルフォンス・バゼーヌでございます! 今後とも宜しくお願い致します」
……秘書室長の、アルフォンス・バゼーヌさんね。
憶えた。
次は第二秘書さんか。
「初めまして! ロイク・アルシェ様! ファルコ王国王国宰相第二秘書、フォスティーヌ・アルノーでございます! 今後とも宜しくお願い致します」
……第二秘書のフォスティーヌ・アルノーさんね。
憶えた。
やっぱり、改めて見ても艶やかな雰囲気の女性だな。
そして……
「初めまして! ロイク・アルシェ様! ファルコ王国王国宰相第三秘書、シルヴェーヌ・オーリクでございます! 今後とも宜しくお願い致します」
……ええっと。
シルヴェーヌさんとは、さっき廊下で会ったけど……改めましてじゃないんだ。
まあ、良いか。
全員の自己紹介が終わった。
グレゴワール様は、うんうんと頷き、
「うむ、自己紹介は済んだな。全員、座ってくれ。まだまだ話す事がある」
まだまだ話す事って……
シルヴェーヌさんを、俺の秘書にするとか、
リヴァロル公爵家別棟の住み込みの話とか、
他にも、冒険者ギルド、ルナール商会でも秘書をつけるって話……だよな。
俺は軽く息を吐きながら、グレゴワール様と上座の長椅子に座ったのである。
入った部屋がすぐ応接室なのは変わらないが、
さすがにアレクサンドル陛下の部屋よりやや狭く、調度品も渋い。
応接室の左奥に扉があり、その奥が執務室。
右側の壁にも扉があり、扉の先は秘書室。
訪問者は、秘書を通す事になっており、
秘書が応接に案内し、もろもろの打合せをするという。
グレゴワール様は、秘書室につながる扉の鍵を解錠。
「3人、全員で入って来てくれ!」
と、声を張り上げた。
そうか、グレゴワール様が不在の際は、秘書でさえ勝手に入室出来ないようになっているんだ。
信頼している秘書とはいえ、しっかり一線を画している。
やはりグレゴワール様は、とても厳しい……人なんだ。
鬼宰相のあだ名は伊達ではない。
「失礼致します!」
グレゴワール様の声に応えるように、渋い男性の声が戻って来た。
数秒の間を置き、
がちゃ!
と、扉がゆっくりと開いた。
そして隣接する宰相秘書室から、3人の男女が入って来た。
先頭を歩くのは、40歳前後の落ち着いた雰囲気を持つ中年男性……
この人が秘書室長か、
続いて30歳少し前、艶やかな雰囲気の女性……この人が第二秘書だろう。
そして最後は、第三秘書のシルヴェーヌ・オーリクさんだ。
3人を一瞥したグレゴワール様。
次に俺へ視線を向け、
「君達に紹介しよう。昨日アレクサンドル陛下に、任命書へサインして頂き、正式に決定した。彼が王国執行官に就任したロイク・アルシェ君だ」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「16歳の少年ながら、ランクAの冒険者でもあり、冒険者ギルド、ルナール商会の顧問も兼務する……素晴らしい逸材、否、たぐいまれな大器と言っても過言ではない」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「王国執行官のロイク君は、アレクサンドル陛下の直属だが、私グレゴワールの預かりという形になる。それゆえ任務遂行において、業務連絡、バックアップ等で、君達秘書には大いに協力して貰う事となる」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「ロイク君の任務は多岐にわたる」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「魔物、怪物の討伐、秘境、遺跡の探索調査、貴重品の採掘に採集、災害における人命救助、要人警護、賊の討伐、王国の重要な使者を務めて貰う場合もある」
……ええっと、グレゴワール様。
俺がやる事が、増えている気がしますけど。
まあ、良いか。
「ロイク君は先ほどあげた半分以上の任務を既に完遂している。そして君達にはもう伝えてあるが、最大の功績は、トレゾール公地における金、宝石の莫大な量の回収、そして何と言っても輝かしいのは、ドラゴン10体の討伐だ」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「ロイク君は、我がファルコ王国認定、文句なしのドラゴンスレイヤーとなる」
グレゴワール様が言い切ると、男女の秘書3人は、じっと俺を見つめたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さあ、ロイク・アルシェ君。自己紹介したまえ」
グレゴワール様に促された俺。
秘書3人を見て、声を張り上げる。
「皆様! 初めまして! この度、王国執行官に任命されましたロイク・アルシェと申します! シュエット村の出身の平民で、16歳です。まだまだ未熟者ですので、皆様のご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い致します」
いつもの通り、あいさつだけは、丁寧にしっかりやるというのが、俺のモットー。
グレゴワール様は、満足そうに頷くと、秘書達に自己紹介するよう促す。
「さあ、次は君達の番だ。アルフォンスから順番に、自己紹介したまえ」
「は! 閣下!」
成る程。
秘書室長さんは、アルフォンスさんというのか。
「初めまして! ロイク・アルシェ様! ファルコ王国王国宰相秘書室長、アルフォンス・バゼーヌでございます! 今後とも宜しくお願い致します」
……秘書室長の、アルフォンス・バゼーヌさんね。
憶えた。
次は第二秘書さんか。
「初めまして! ロイク・アルシェ様! ファルコ王国王国宰相第二秘書、フォスティーヌ・アルノーでございます! 今後とも宜しくお願い致します」
……第二秘書のフォスティーヌ・アルノーさんね。
憶えた。
やっぱり、改めて見ても艶やかな雰囲気の女性だな。
そして……
「初めまして! ロイク・アルシェ様! ファルコ王国王国宰相第三秘書、シルヴェーヌ・オーリクでございます! 今後とも宜しくお願い致します」
……ええっと。
シルヴェーヌさんとは、さっき廊下で会ったけど……改めましてじゃないんだ。
まあ、良いか。
全員の自己紹介が終わった。
グレゴワール様は、うんうんと頷き、
「うむ、自己紹介は済んだな。全員、座ってくれ。まだまだ話す事がある」
まだまだ話す事って……
シルヴェーヌさんを、俺の秘書にするとか、
リヴァロル公爵家別棟の住み込みの話とか、
他にも、冒険者ギルド、ルナール商会でも秘書をつけるって話……だよな。
俺は軽く息を吐きながら、グレゴワール様と上座の長椅子に座ったのである。
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