134 / 257
第134話「俺は黙って、グレゴワール様の出方を見よう」
しおりを挟む
俺とグレゴワール様が、書斎で打合せ、話がまとまったその時。
どんどんどんどんどん!!!
と、書斎の扉が乱暴に叩かれた。
「ははは、そろそろ来る頃だろうと思ったよ」
想定内かという感じで、グレゴワール様は苦笑。
……俺も、魔力感知で、扉を叩いたのが誰なのか、知っている。
放つ魔力で分かる。
叩いたのは、ジョルジエット様。
その傍らには、アメリー様が居るのだ。
今日は平日。
今の時間は午後4時30分。
通学しているロジエ女子学園の授業が終わり、帰宅したに違いない。
「お父様! 開けてくださいませ! ロイク様がいらしているんでしょ!」
「グレゴワール様! お願い致します!」
ああ、久しぶりに聞く、ふたりの声だ。
ちょっと懐かしいって感じかな。
「ロイク君、開けてやってくれたまえ」
「了解です」
俺はすっくと、長椅子から立ちあがり、扉の前に行き、ノブを回す。
かちゃと音がし、扉が開いた。
開いた扉の向こうに居たのは、やはりジョルジエット様とアメリー様。
金髪碧眼の超美少女の貴族令嬢、栗色髪のリスみたいな可憐な女子、
ふたりとも俺の顔を見て、ぱああっと、目が輝く。
「ロイク様っ!」
「ロイク様っ!」
大きな声で、俺の名を呼んだジョルジエット様とアメリー様。
がばっ! がばっ! と、俺へ抱きついた。
ええっと……
グレゴワール様が居るので、困惑する俺だが……
ジョルジエット様とアメリー様は、おかまいなし。
まるで、ぼっちでお留守番していた猫みたいな、さびしんぼう状態である。
更にぎゅうぎゅうと、俺を抱きしめる。
そんな俺達3人を見て、グレゴワール様は大笑い。
「ははははははははははははははははははは!!!!!」
しかし、ジョルジエット様とアメリー様は、やはりおかまいなし。
更に更に! ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅうと、俺を抱きしめる。
ひとしきり笑った、グレゴワール様。
「うむ、3人とも、ここへ来て、一緒に座りなさい」
「分かりました」
俺が『代表』で返事をし、
「さあ! ジョルジエット様、アメリー様、一緒に参りましょう」
と促せば、意外にも……
「はい」
「はい」
と、ふたりとも素直に返事をし、うるうるした目で俺を見つめる。
おいおい! 可愛いじゃないか!
ああ、可愛い女子達に、こんなに慕われるって……最高だな! 幸せだな!
と思いつつ、俺はジョルジエット様、アメリー様を抱きかかえ、
「両手に花」状態で、グレゴワール様の前に座ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ジョルジエット様、アメリー様は、
俺の両脇に座ると、開口一番。
「お父様! 何か『偉業を成し遂げたらしい』と、お友達から聞きましたが、ロイク様は、どうなるのでしょう?」
「グレゴワール様は、何もおっしゃっらないから、とても気になりますわ」
ふたりの言葉で、分かった。
冒険者ギルドは、ドラゴン討伐に関し、『かん口令』を敷いた。
だが、それが誰かから漏れて、
ジョルジエット様は、友人から何か、『噂』を聞いたようなのだ。
でもここ数日の『俺の事情』を、
ジョルジエット様、アメリー様はご存じないらしい。
多分、グレゴワール様は、ふたりにせがまれても、何もしゃべらず、
教えなかった。
しかし、アレクサンドル陛下の妹君、王女ルクレツィア様の一件がある。
この件に関しては、ジョルジエット様は重要な役割を果たすキーウーマンだから。
というか。
そもそも、ジョルジエット様が、ルクレツィア様へ口を滑らせなければ、
このようにややこしい事にはならないのだが……
でも、この場で「わいのわいの」責めない方が良い。
まあ後で、優しく注意するぐらいに留めておこう。
俺は黙って、グレゴワール様の出方を見よう。
そのグレゴワール様は、
「分かった、分かった。ある程度めどがついたし、お前達にもかかわる話もある。差しさわりのない範囲内で、順を追って話そう」
「お願いしますわ、お父様」
「グレゴワール様、お願い致します」
「うむ、但し、これから私が話す事は、お前達から第三者へ話してはならない。もしも話したら、ロイク君との護衛契約は解除し、彼との交際は勿論、接触さえも一切禁止する……創世神様に誓い、しっかりと約束できるか?」
いつもと全く違い、真剣かつ冷え冷えとしたグレゴワール様の表情。
これぞ鬼宰相の真骨頂?
セリフもこのステディ・リインカネーション世界の必殺技、
「創世神様に誓うか?」が出たし。
まるで俺の持つスキル『威圧』にあてられた敵のように、
ジョルジエット様、アメリー様はびく!っと震える。
「わ、分かりました! や、約束致します!」
「そ、創世神様に誓い、けっして言いません!」
震えながら、嚙みながら、ジョルジエット様、アメリー様は、約束してくれた。
「うむ、では話そうか」
グレゴワール様は「ふっ」と笑い、愛娘達を見つめたのである。
どんどんどんどんどん!!!
と、書斎の扉が乱暴に叩かれた。
「ははは、そろそろ来る頃だろうと思ったよ」
想定内かという感じで、グレゴワール様は苦笑。
……俺も、魔力感知で、扉を叩いたのが誰なのか、知っている。
放つ魔力で分かる。
叩いたのは、ジョルジエット様。
その傍らには、アメリー様が居るのだ。
今日は平日。
今の時間は午後4時30分。
通学しているロジエ女子学園の授業が終わり、帰宅したに違いない。
「お父様! 開けてくださいませ! ロイク様がいらしているんでしょ!」
「グレゴワール様! お願い致します!」
ああ、久しぶりに聞く、ふたりの声だ。
ちょっと懐かしいって感じかな。
「ロイク君、開けてやってくれたまえ」
「了解です」
俺はすっくと、長椅子から立ちあがり、扉の前に行き、ノブを回す。
かちゃと音がし、扉が開いた。
開いた扉の向こうに居たのは、やはりジョルジエット様とアメリー様。
金髪碧眼の超美少女の貴族令嬢、栗色髪のリスみたいな可憐な女子、
ふたりとも俺の顔を見て、ぱああっと、目が輝く。
「ロイク様っ!」
「ロイク様っ!」
大きな声で、俺の名を呼んだジョルジエット様とアメリー様。
がばっ! がばっ! と、俺へ抱きついた。
ええっと……
グレゴワール様が居るので、困惑する俺だが……
ジョルジエット様とアメリー様は、おかまいなし。
まるで、ぼっちでお留守番していた猫みたいな、さびしんぼう状態である。
更にぎゅうぎゅうと、俺を抱きしめる。
そんな俺達3人を見て、グレゴワール様は大笑い。
「ははははははははははははははははははは!!!!!」
しかし、ジョルジエット様とアメリー様は、やはりおかまいなし。
更に更に! ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅうと、俺を抱きしめる。
ひとしきり笑った、グレゴワール様。
「うむ、3人とも、ここへ来て、一緒に座りなさい」
「分かりました」
俺が『代表』で返事をし、
「さあ! ジョルジエット様、アメリー様、一緒に参りましょう」
と促せば、意外にも……
「はい」
「はい」
と、ふたりとも素直に返事をし、うるうるした目で俺を見つめる。
おいおい! 可愛いじゃないか!
ああ、可愛い女子達に、こんなに慕われるって……最高だな! 幸せだな!
と思いつつ、俺はジョルジエット様、アメリー様を抱きかかえ、
「両手に花」状態で、グレゴワール様の前に座ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ジョルジエット様、アメリー様は、
俺の両脇に座ると、開口一番。
「お父様! 何か『偉業を成し遂げたらしい』と、お友達から聞きましたが、ロイク様は、どうなるのでしょう?」
「グレゴワール様は、何もおっしゃっらないから、とても気になりますわ」
ふたりの言葉で、分かった。
冒険者ギルドは、ドラゴン討伐に関し、『かん口令』を敷いた。
だが、それが誰かから漏れて、
ジョルジエット様は、友人から何か、『噂』を聞いたようなのだ。
でもここ数日の『俺の事情』を、
ジョルジエット様、アメリー様はご存じないらしい。
多分、グレゴワール様は、ふたりにせがまれても、何もしゃべらず、
教えなかった。
しかし、アレクサンドル陛下の妹君、王女ルクレツィア様の一件がある。
この件に関しては、ジョルジエット様は重要な役割を果たすキーウーマンだから。
というか。
そもそも、ジョルジエット様が、ルクレツィア様へ口を滑らせなければ、
このようにややこしい事にはならないのだが……
でも、この場で「わいのわいの」責めない方が良い。
まあ後で、優しく注意するぐらいに留めておこう。
俺は黙って、グレゴワール様の出方を見よう。
そのグレゴワール様は、
「分かった、分かった。ある程度めどがついたし、お前達にもかかわる話もある。差しさわりのない範囲内で、順を追って話そう」
「お願いしますわ、お父様」
「グレゴワール様、お願い致します」
「うむ、但し、これから私が話す事は、お前達から第三者へ話してはならない。もしも話したら、ロイク君との護衛契約は解除し、彼との交際は勿論、接触さえも一切禁止する……創世神様に誓い、しっかりと約束できるか?」
いつもと全く違い、真剣かつ冷え冷えとしたグレゴワール様の表情。
これぞ鬼宰相の真骨頂?
セリフもこのステディ・リインカネーション世界の必殺技、
「創世神様に誓うか?」が出たし。
まるで俺の持つスキル『威圧』にあてられた敵のように、
ジョルジエット様、アメリー様はびく!っと震える。
「わ、分かりました! や、約束致します!」
「そ、創世神様に誓い、けっして言いません!」
震えながら、嚙みながら、ジョルジエット様、アメリー様は、約束してくれた。
「うむ、では話そうか」
グレゴワール様は「ふっ」と笑い、愛娘達を見つめたのである。
2
お気に入りに追加
953
あなたにおすすめの小説
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる