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第132話「俺の勤務スケジュールと報酬は大筋が、決まった」

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国王専用書斎における打ち合せを終わらせた俺達一行。

にこにこ上機嫌のアレクサンドル陛下に、手を振って見送られた。

時刻はちょうど、午後0時過ぎのランチタイム。

俺が前世にやっていた営業の得意先回りであれば、クライアントへ、
「ご一緒にお食事でも」と誘うパターン。

しかし、相手が多忙な国王陛下では、そうはならず俺達は撤収したのだ。 
まあ陛下とランチなんて凄く気も使うし、ルクレツィア様の件で、
何か、変な約束をする事になったら困るから、かえって幸いと言うべきか。

さてさて!
帰りも行きと同じである。

アレクサンドル陛下に命じられた警護の騎士が、リヴァロル公爵家の警護主任騎士、バジル・オーリクさんを呼び寄せ、俺達を引き渡した。

そして、バジルさんが先導し、全員で王宮を辞した。

王宮本館外……広大な中庭へ出たところで、グレゴワール様が声を張り上げる。

「うむ! では全員、我が屋敷へ戻り、詳細な打合せをするとしよう」

「「「かしこまりました!」」」

テオドールさん、セドリック会頭、そして俺は同意し、頷いた。

という事で、再び騎士20名に護衛され、リヴァロル公爵家邸へ向かう。

俺は帰りの馬車の車内で、もう一度、王国執務官の任命書を読み直す。
アレクサンドル陛下にサインして頂いたものと内容は同じ。
しかし、記載されている『業務内容』は基本的なもの。
細かい部分には及んでいない。

これまた前世の営業経験で学んだが、
本来は、契約の内容、取引上の規則などを読み込み、
納得してから、受けるのが賢明である。
後で、「話が違う!」など行き違い、トラブルの原因となるからだ。

しかし、今回は事情が事情。
王国執行官を任命するのは、国王陛下。

陛下はご多忙だから、お会いして話す日時は限られる。
それに加え、グレゴワール様、テオドールさん、セドリック会頭3人の重鎮の、
スケジュールが合う日とタイミングなんてそうそうない。

ジョルジエット様、アメリー様の救出劇というひょんな事で知り合ったが、
その後、いろいろあり、グレゴワール様はとても信頼出来る方だと分かった。

今回の件でも、いろいろ考え、奔走して頂いたしね。

それゆえ、まずは、俺達4人で、国王陛下に謁見。
王国執行官の任命書にサインして貰い、
勇者認定されたり、横やりが入る前の既成事実作りが、最優先となった。

とまあ、そんなこんなで、馬車は公爵家邸へ到着。
時刻は午後0時20分。

留守番部隊の騎士達、セバスチャンさん達使用人にも出迎えられ、
今度はグレゴワール様の書斎へ。

早速打ち合わせがもたれ、俺は不明な点をグレゴワール様、
そしてテオドールさん、セドリック会頭3人へ改めて確認したのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

アレクサンドル陛下とは3時間打合せしたが、
俺達4人は、途中軽く昼食を摂りながら、
更に3時間、びっしりと打合せを行った。

何か不都合があれば、随時変更して行くという事で、
俺の勤務スケジュールと報酬は大筋が、決まった。

勤務は、月曜日から木曜日の4日間。
金土日は基本休みの週休3日制。

月曜日、火曜日は王宮の宰相執務室で王国執務官の事務仕事他、
水曜日の午前は冒険者ギルドで顧問の事務仕事他、
午後はルナール商会へ出勤し、打合せ他。
木曜日は予備日。

但し、数日以上の勤務が入った場合は勤務日調整。長期の勤務も同じ。
ジョルジエット様、アメリー様の護衛勤務が入った場合は、金土は勤務日となる。
代休は貰えるとの事。

そして気になる報酬!
繰り返しとなるが、王国執行官の報酬は、基本給として月に金貨20,000枚が支払われ、年俸は金貨240,000枚。
つまり月給2億円、年俸24億円。
昇給あり、住宅、使用人雇用、交通費など、別途いろいろ手当が付く。
任務の内容に応じて特別手当も付く。
また、任務中にかかった費用は、全て必要経費として王国がもつそうだ。

冒険者ギルド顧問は、Aにランクアップした上、月給金貨1,000枚の1千万円。
年俸、金貨12,000枚の1億2千万円、諸手当あり。
専用の個室に、専任の秘書として、トリッシュさんがついてくれる。

そしてルナール商会も、冒険者ギルド同様、顧問として雇用したいと、
セドリック会頭から申し入れがあり、個室も用意するとの事。
こちらも、月給金貨1,000枚の1千万円、年俸、金貨12,000枚の1億2千万円。
専用の個室に、専任の新任秘書さんもついて、諸手当も頂ける事に。

ちなみに冒険者ギルドもルナール商会も、依頼を遂行したら報奨金は別途である。

報酬は問題なし。
もっと稼ぎたければ、またトレゾール公地の依頼あたりを受諾すればいいし。
ドラゴンを何体か倒せば、問題ない。

そして、例のドラゴン10体の行方……グレゴワール様に一任していたが。
王家へ2体献上。
結局、冒険者ギルドへ5体売却。
ルナール商会へ3体売却。
王家は献上だから実入りはゼロだが、売却料が1体5億円で40億円。

そして俺の分の1体で、1着上代1億円相当のドラゴンメイルを、
製作費用冒険者ギルドとルナール商会もちで、10着作り、
1着をアレクサンドル陛下へ、残りの9着を俺へくれる事となった。
現物支給含め、トータル49億円の実入り。

当初の予定より、売却益は減ったと思うが、各月給他もあるから、全然悪くない。

そして気になる住居は……
何と、リヴァロル公爵家邸内の3階建て別棟1棟を俺の屋敷として無料貸与してくれるという。

また現在宿泊しているルナール商会のホテルも、
そのまま永久無料貸与という事となった。

もう本当に『至れり尽くせり』である。

となると、当面の問題は……
ルクレツィア様の件のみ。
この件は、冒険者ギルド、ルナール商会は全面協力してくれると約束してくれた。

ここで、テオドールさん、セドリック会頭は帰宅する事に……

「お疲れさまでした! ありがとうございます! 今後とも宜しくお願い致します!」

と、労い……俺は、更にグレゴワール様と打合せをする為、
リヴァロル公爵家邸に残ったのである。
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