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第123話「確かに俺でも『そういう判断』をするかもしれない」
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さあて、どう切り出そうか。
俺は軽く息を吐き、ふたりへ微笑んだ。
前世の営業経験で学んだ。
こういう場合は、遠回し過ぎてもいけないし、ストレートすぎてもいけない。
メリハリつけて、段階を踏み、簡単明瞭に伝える。
「実は、冒険者ギルドのとある依頼を完遂しまして、その際、魔物を討伐しました」
「魔物を討伐?」
「それが当商会と何か、関係がありますか?」
「はい、大いに関係がありますので、順を追って説明します」
「成る程」
「お聞かせください、ロイク様」
「はい、討伐したのは結構な大物クラスでして、結果、Aへのランクアップは確定と言われました」
「ほうほう! ロイク様がランクAですか! 素晴らしい!」
「おめでとうございます! ロイク様も超一流冒険者の仲間入りですね」
「ありがとうございます。それとギルドからはオファーも頂きました。サブマスター就任のオファーです」
「サブマスター?」
「それは凄い! 幹部職員ですね!」
「はい、でも、ランクアップは受けますが、サブマスター就任のオファーは、丁重にお断りしようと思います」
「ほう、ロイク様はサブマスター就任のオファーを断ると? それはなぜでしょう?」
「もしや、当商会との契約を優先して頂けると?」
「はい、理由はそうです。サブマスターになると、毎日、煩雑な事務仕事や会議があり、御商会との契約遂行は困難です。俺は現状のフリー個人事業主が性に合っていますから」
「成る程、しかし、はいそうですかと、ギルドも簡単には矛を収めないでしょう」
「会頭のおっしゃる通りです。だから私達と会いたいと、急ぎアポイントを入れられたのでしょう?」
まあ、もっともな突っ込みだ。
ここで、トリッシュさんから預かった書類の提示だ。
俺も熟読したが、今回のオファー、待遇、そして理由などが列記してある。
オファーに関しては伝えてあるし、待遇はふ~んという感じだろう。
焦点は、『オファーを出した理由』に尽きる。
ここで俺が冒頭に告げた、「魔物を討伐しました」というコメントへ、
セドリック会頭とオーバンさんが、突っ込むタイミングだ。
「え!!??」
「こ、こ、こ、これは!!??」
でも……
やはりというか、セドリック会頭、オーバンさん、驚いて目をまん丸。
対して、俺はしれっと言う。
「はい、書類に記載されてある通りです」
「ド、ド、ドラゴン!!??」
「じゅ、じゅったい!!??」
「はい! おふたりのおっしゃる通り、俺はドラゴン10体を討伐しました」
少し自慢チックになってしまったが……
俺は、はっきりと、言い切ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
情報のすり合わせが終わり……
俺はセドリック会頭とオーバンさんへ、答えも提示した。
「冒険者ギルドのサブマスター就任のオファーを断り、ルナール商会との契約を優先させる」と。
トリッシュさんから言われた、
「サブマスター就任のオファーを強要するつもりが、ギルドにはない」
事も伝えた。
後は、ルナール商会の判断次第、セドリック会頭とオーバンさんのふたりが、
どうしたいのか、判断待ちである。
ルナール商会と冒険者ギルドとの兼ね合い……
『力関係』は、俺には分からないから。
じ~っと考え込む、セドリック会頭とオーバンさん。
ここで、セドリック会頭から質問。
「ロイク様は、グレゴワール様とのご契約がありますね。あちらとの話はどうなっておりますか?」
そう、この前の、ジョルジエット様、アメリー様、護衛任務の日。
このルナール商会の『買い物』で締めとしたからなあ。
「はい、グレゴワール様にはアポイントを申し込みましたが、まだご返事を頂いておりません。当然、今回の件は何も告げておらず、これから話し合いですが、同じ内容の話をするつもりです」
「成る程! では私どもも、グレゴワール様のご判断に合わせましょう」
おお、そう来たか。
横へならえという奴か。
確かに俺でも『そういう判断』をするかもしれない。
冒険者ギルドは国境を越えたワールドワイドな組織だが、
グレゴワール様がどう判断し、ジャッジするのか、俺も興味がある。
果たして……
ファルコ王国宰相とギルドの力関係はどうなのだろうか?
そして、ルナール商会が、グレゴワール様の判断に合わせるというのも無難な答えだ。
当然、商会の本音は「俺との契約続行」だろう。
会頭の言質を取るのがベストだが、俺には分かる。
敢えて尋ねるほど、空気が読めないアホではない。
最後に、「討伐したドラゴンのうち、2体をルナール商会へ売却するという希望をギルドへ出した」という話をしたら、
「おお! それは嬉しいですぞ!」
「当商会にとって、大きな売り上げと利益が見込めます」
と大喜び。
オファーの内容を見せたギルドへ話をする際、
フェアに、「ルナール商会側の契約内容もオープンにして構わない」
という許可も得た。
こうして……
セドリック会頭、オーバンさんとの打合せは和気あいあいで、終わったのである。
俺は軽く息を吐き、ふたりへ微笑んだ。
前世の営業経験で学んだ。
こういう場合は、遠回し過ぎてもいけないし、ストレートすぎてもいけない。
メリハリつけて、段階を踏み、簡単明瞭に伝える。
「実は、冒険者ギルドのとある依頼を完遂しまして、その際、魔物を討伐しました」
「魔物を討伐?」
「それが当商会と何か、関係がありますか?」
「はい、大いに関係がありますので、順を追って説明します」
「成る程」
「お聞かせください、ロイク様」
「はい、討伐したのは結構な大物クラスでして、結果、Aへのランクアップは確定と言われました」
「ほうほう! ロイク様がランクAですか! 素晴らしい!」
「おめでとうございます! ロイク様も超一流冒険者の仲間入りですね」
「ありがとうございます。それとギルドからはオファーも頂きました。サブマスター就任のオファーです」
「サブマスター?」
「それは凄い! 幹部職員ですね!」
「はい、でも、ランクアップは受けますが、サブマスター就任のオファーは、丁重にお断りしようと思います」
「ほう、ロイク様はサブマスター就任のオファーを断ると? それはなぜでしょう?」
「もしや、当商会との契約を優先して頂けると?」
「はい、理由はそうです。サブマスターになると、毎日、煩雑な事務仕事や会議があり、御商会との契約遂行は困難です。俺は現状のフリー個人事業主が性に合っていますから」
「成る程、しかし、はいそうですかと、ギルドも簡単には矛を収めないでしょう」
「会頭のおっしゃる通りです。だから私達と会いたいと、急ぎアポイントを入れられたのでしょう?」
まあ、もっともな突っ込みだ。
ここで、トリッシュさんから預かった書類の提示だ。
俺も熟読したが、今回のオファー、待遇、そして理由などが列記してある。
オファーに関しては伝えてあるし、待遇はふ~んという感じだろう。
焦点は、『オファーを出した理由』に尽きる。
ここで俺が冒頭に告げた、「魔物を討伐しました」というコメントへ、
セドリック会頭とオーバンさんが、突っ込むタイミングだ。
「え!!??」
「こ、こ、こ、これは!!??」
でも……
やはりというか、セドリック会頭、オーバンさん、驚いて目をまん丸。
対して、俺はしれっと言う。
「はい、書類に記載されてある通りです」
「ド、ド、ドラゴン!!??」
「じゅ、じゅったい!!??」
「はい! おふたりのおっしゃる通り、俺はドラゴン10体を討伐しました」
少し自慢チックになってしまったが……
俺は、はっきりと、言い切ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
情報のすり合わせが終わり……
俺はセドリック会頭とオーバンさんへ、答えも提示した。
「冒険者ギルドのサブマスター就任のオファーを断り、ルナール商会との契約を優先させる」と。
トリッシュさんから言われた、
「サブマスター就任のオファーを強要するつもりが、ギルドにはない」
事も伝えた。
後は、ルナール商会の判断次第、セドリック会頭とオーバンさんのふたりが、
どうしたいのか、判断待ちである。
ルナール商会と冒険者ギルドとの兼ね合い……
『力関係』は、俺には分からないから。
じ~っと考え込む、セドリック会頭とオーバンさん。
ここで、セドリック会頭から質問。
「ロイク様は、グレゴワール様とのご契約がありますね。あちらとの話はどうなっておりますか?」
そう、この前の、ジョルジエット様、アメリー様、護衛任務の日。
このルナール商会の『買い物』で締めとしたからなあ。
「はい、グレゴワール様にはアポイントを申し込みましたが、まだご返事を頂いておりません。当然、今回の件は何も告げておらず、これから話し合いですが、同じ内容の話をするつもりです」
「成る程! では私どもも、グレゴワール様のご判断に合わせましょう」
おお、そう来たか。
横へならえという奴か。
確かに俺でも『そういう判断』をするかもしれない。
冒険者ギルドは国境を越えたワールドワイドな組織だが、
グレゴワール様がどう判断し、ジャッジするのか、俺も興味がある。
果たして……
ファルコ王国宰相とギルドの力関係はどうなのだろうか?
そして、ルナール商会が、グレゴワール様の判断に合わせるというのも無難な答えだ。
当然、商会の本音は「俺との契約続行」だろう。
会頭の言質を取るのがベストだが、俺には分かる。
敢えて尋ねるほど、空気が読めないアホではない。
最後に、「討伐したドラゴンのうち、2体をルナール商会へ売却するという希望をギルドへ出した」という話をしたら、
「おお! それは嬉しいですぞ!」
「当商会にとって、大きな売り上げと利益が見込めます」
と大喜び。
オファーの内容を見せたギルドへ話をする際、
フェアに、「ルナール商会側の契約内容もオープンにして構わない」
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こうして……
セドリック会頭、オーバンさんとの打合せは和気あいあいで、終わったのである。
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