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第101話「文句なしだ! 本当にありがとう!」

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まず最初にゴブリン2,000体、次にオーク1,000体を倒し……

張り切るケルベロスに先導された俺は、広大なフィールドを駆けずり回り……
その後も、ゴブリン、オークの10~50の小群をいくつか発見、即座に倒し……
周囲50km以内の探索、討伐を終わらせた。

現在の時刻は、お昼を回った午後0時30分過ぎ。

最後に大サービスで、もう1回フィールドを猛ダッシュで1周。
異常がない事を確認し、ルナール・ラァンチュ……午後1時過ぎに牧場へ戻った。

すぐに本館で待機している場長のブリス・ベネトーさんに報告へ。

行ってきま~すと本館を午前10時に出発し、約3時間と少しが経っている。

来た時同様に、ノックを何回か繰り返し、

「ロイク・アルシェで~す、ただいま戻りましたあ! 犬も一緒で~す」

と名乗り、報告して、ようやく扉を開けて貰う。

ゴブリンとオークどもの大群を見て、無理もないのだろうけど、
相当トラウマになってるな。

恐る恐るという感じで、細目に開いた扉の隙間から、
ブリスさんが俺を見て、激しく手招き。

「お、おいっ! は、早く! な、中へ入れっ! でかい狼犬は外で待たせておけ!」 

「了解っす」

という事で、ケルベロスには、しばらく本館前で休憩するよう告げておき、
もう少し扉を開けて貰い、するりっと室内へ入った俺。

中には青ざめたブリスさん達。

俺を見て、全員が、ゾンビのようにわらわらと詰め寄って来る。

「お、おい! ロイク! ぶ、無事だったか!?」

「ええ、無事ですよ。ご覧の通り。ノープロブレムっす!」

俺は全く問題なしと軽く、体操をしてみせた。

無事な俺を見て、安堵し、大きく息を吐くブリスさん。
身を乗り出して、尋ねて来る。

「で! ど、ど、どうだった!! い、居ただろ!! ゴブリンとオークのすんげえ大群が!!」

「はい! 確かに居ましたねえ」

「だろ! で、やっぱ無理ゲーだからって、びびり、戻って来たか!」

「いや、全然無理ゲーじゃないっす、びびってもいないっす」

「な、何故!? 無理ゲーじゃないんだ!!」

「はい、全て倒したっすから」

「へ!? た、倒した!? な、何、何を言ってるんだ、お前!!」

「はいっす。このルナール・ラァンチュ本館から50km以内を探索し、巣食っていたゴブリンとオークは、全て倒しましたっす」

「す、全て倒しましたっすって!? う!! うっそだろ!! お前が出かけてから、まだ3時間ちょいしか経ってないぞ!!」

「本当っす! これからいくつかの現場で完遂確認して貰えまっすかね」

「え、えええ!!?? 本当に本当か!!」

「はい、お願いしまっす。そうじゃないと、こちらも仕事が終わらないので」

驚き戸惑うブリスさんに対し、俺は「にっこり」笑ったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

俺はざっくりと討伐の経過、結果を報告した。
それぞれの本拠となっていた洞窟、旧い砦の説明もした。

そして俺はブリスさん達へ、依頼の完遂確認の為、討伐現場へ来て、欲しいと要請をする。

俺の話を聞き、ブリスさん達は、あれこれと相談していた。

信用し、俺について行き、現場へ赴いて良いものかと、相談しているらしい。

万が一、ゴブリンとオークが全滅していなかったら、襲われて喰われてしまうと、
びびってしまっているようだ。

けんけんがくがくと、30分近く議論は続いた。

当分の間、終わりそうもない。

何だか、な~。

仕方なく俺は、現場未確認で、依頼完遂書にサインをして欲しいとお願いした。

しかしブリスさん達は、サインを拒んだ。

これではらちがあかない。

ゴブリンとオークの大群が怖いのは理解出来るけれど、俺も困る。

さすがにいらっとしたが、相手はクライアント。
冷静さを欠いたら、負けだ。

俺は魔法使いが使う呼吸法で気持ちを律し、説得を開始する。

このままだと、依頼が完遂出来ないし、ブリスさん達ルナール・ラァンチュ側も業務が再会出来ない事。

商品である家畜達の健康にも影響が出る事。

ジェム鉱山、ルナール・ファームの責任者は、しっかりと立ち会ってくれた事。

これ以上説得しても腰を上げないようなら、王都へ戻り、
オーバンさんへ報告しますと伝えたら、ようやく渋々と決心した。

そんなこんなで、40分くらい時間が押してしまった。

さあ!
さくさくと現場を回ろう。
ぐずぐずしていたら、陽が落ちてしまう。

俺はブリスさんにルナール・ラァンチュの馬車を出して貰い、
ケルベロスに先導させ、現場を回った。

まずゴブリンが巣食っていた洞窟へ……

ブリスさん達は、洞窟前に積み上げられた、
ゴブリン500体のおびただしい死骸を見て……
信じられないという驚愕、危機が去った安堵、湧き出て来た歓喜という感情の嵐へ巻き込まれる。

そして予想通り、俺を信じると言い、洞窟の中へは入らなかった。
正直、薄気味悪いというのもあったと思う。

これで、まず最初の現場確認完了。

ちなみに洞窟外に積み上げたゴブリンの死骸は、
不死者アンデッド化……
つまりゾンビにならないよう、俺が葬送魔法を使い、全て塵にした。

洞窟の中のゴブリンの死骸はケルベロスが処理をした。
何でも、猛炎以外に、死骸を消滅させる特別なブレスがあるらしい。
本当に使える奴だ。

そして次は、オークの本拠であった旧い砦へ移動……
しかし、ゴブリンの討伐、死骸の処理を見て、俺を信用してくれたのか、
ブリスさん達は、大いに驚き喜び、手放しでほめてくれた。

その後も……夕方遅くまでかかってしまったが、
ゴブリンとオークの小さな群れを討伐した現場を全て巡って、一件落着。

「文句なしだ! 本当にありがとう!」

と、満面の笑みで、ブリスさんは、依頼完遂書にサインをしてくれたのである。
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