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第76話「ケン・アキヤマ、イコール、アラン・モーリアの御用達店」
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ナンパ男子どもを退け……
俺達一行は再び、ランチを摂る店へ向かった。
中央広場を突っ切り、ある通りへ……
そして到着した1軒の店。
外見は普通の木造建築の平屋、居酒屋風。
冒険者や庶民が良く利用する『飲み屋』である。
店の出入り口の真上には看板が掲げられていた。
木を製材せずに丸太を割ってその表面に焼印を押したような趣きのある看板だ。
看板には『メルカートゥス』……と店名が書いてあった。
出入り口からは、店内に居る客の声が聞こえて来る……
「お疲れ様でした。到着しましたよ、ここです。予約を入れてあります」
と、俺が店を指させば。
対して、ジョルジエット様、アメリー様は、
「看板を見ると、『市場』という店名ですが……どういう意味でしょう? ロイク様、ここはお酒を飲むお店なのでは?」
「ロイク様、このようなお店……私達、今まで1回も、足を踏み入れた事はありません」
お酒を飲むお店……まあ、当たってます。でも飯も食えます。
1回も足を踏み入れた事はない……まあ、貴族令嬢が来る店ではないなあ。
そしてアンヌさん、ジュリーさんも、不安な表情。
「ロイク様、ここは荒くれどもが集う店では? このような店でランチをやっているのでしょうか?」
「またトラブルが起きるのではありませんか?」
と懸念する。
先ほど、ナンパ未遂事件が起きたから尚更だ。
俺は、にこっと笑う。
そして各自の疑問へ答える。
「まずお店、外見はそうですが、店名通り、普通の居酒屋形態ではありません。そしてランチ営業をしています。トラブルに関しては、リスクゼロというわけにはいきませんが、この店だと却って守り易いと思います」
俺が説明しても、女子4人は全員が半信半疑という感じ。
仕方ない。
ここでヒントを出そう。
「どのような店なのか、ヒントは先ほど通って来た中央広場内市場にあります」
「中央広場の市場に?」
「私達が見たって事ですか?」
「一体、何でしょう?」
「全く分かりません」
「まあ、中へ入れば、分かります。先発の護衛も既に入店していると思います。報告がないから問題なしだと思います」
そう、先ほどナンパ未遂事件で、確認の為駆け寄って来た先発隊の騎士5人も既にこの店へ入店しているのだ。
論より証拠。
グダグダしていたら、時間を無駄にしてしまう。
俺達は、居酒屋『メルカートゥス』へ入店したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
出入り口の扉を押して入ると……店内はそこらの居酒屋よりも、相当広かった。
数多のテーブルに、椅子が置かれているのが、視界に飛び込んで来る。
これだけなら、どこにでもある居酒屋の光景だ。
しかし!
置かれていたテーブルと椅子のデザインがやけにオシャレ。
更に正面、左右と店の3方の雰囲気が違っている。
3方にあるのは、ただの壁ではなかった。
何と何と!
各壁に3つ、都合9つの露店が造り込まれているのだ。
また店内には3つほど屋台もあった。
ステディ・リインカネーションの製作陣に、絶対に『マニア』が居るに違いない。
そう、『メルカートゥス』は、現代のフードコートの仕様となっていたのだ。
ここで俺達へ声がかかる。
出入り口そばに、『会計』と書かれた札が置かれたカウンターがあった。
声は、カウンター内に居る、メイド服姿の若い女性スタッフからである。
「いらっしゃいませ! 『メルカートゥス』へようこそ。料金先払いとなります。こちらで、お支払いをお願い致します。おひとり様、ランチ料金銀貨5枚となります」
「5名で予約しているロイク・アルシェです」
ここは、再び俺が立て替える。
後で、日給を貰う時に請求するのだ。
「はい! ご予約のロイク・アルシェ様! 5名様で金貨2枚と銀貨5枚、確かに頂戴致しました。当店のシステムはご存知でしょうか?」
「説明をお願いします」
俺が説明を求めると、スタッフさんは姿勢を正す。
「はい! ではご説明させて頂きます! 当『メルカートゥス』はお食事開始から、2時間以内、完全セルフサービスで食べ放題、飲み放題となります。お好きなお席にお座りになり、お好きなお店、屋台で思う存分、ご自由にご飲食をお楽しみくださいませ!」
そう!
スタッフさんの言う通り、
この店フードコート仕様の『メルカートゥス』はひとりランチタイムは銀貨5枚で、
2時間、セルフサービスで食べ放題、飲み放題のいわゆる『放題店』なのだ。
制限時間さえ守れば、予算オーバーの心配は全くなく、
好きな料理、飲料を心行くまで楽しめる最高の店。
俺がさっき出したヒント……
中央広場にあった露店、屋台を、いくつかまとめて屋内型の店にした仕様。
そういう形式なので、わくわく感満載で、探索気分も味わえる。
前世で『放題店』大好きだった、
ケン・アキヤマ、イコール、アラン・モーリアの御用達店。
スタッフさんの説明は更に続く。
「……但し、注意事項として、食べ終わった食器は返却台へ。食べ残し、飲み残しは厳禁。大声で騒ぐ、暴力、恐喝、ナンパ行為等、他のお客様、店へ迷惑をかける、公序良俗に反する行動は厳禁。スタッフが注意しても改めない場合は、即衛兵へ通報致します。また貴重品の盗難には一切責任を負いませんので、管理にはご注意を! ご不明な点等ございましたら、スタッフまでお問合せくださいませ!」
うん!
ステディ・リインカネーションをプレイした時と、店内ルールは変わっていない。
厳しい店内ルールがあり、犯罪行為も少なく、リスクは少ない。
スタッフや警備員も店内を随時巡回している。
更に騎士10名の別部隊が客として店内を見張れば、警備は万全だ。
「………………………」
ジョルジエット様、アメリー様は勿論、この店が初めてらしいアンヌさん、ジュリーさんも、驚き呆然として、無言で店内を見回していたのである。
俺達一行は再び、ランチを摂る店へ向かった。
中央広場を突っ切り、ある通りへ……
そして到着した1軒の店。
外見は普通の木造建築の平屋、居酒屋風。
冒険者や庶民が良く利用する『飲み屋』である。
店の出入り口の真上には看板が掲げられていた。
木を製材せずに丸太を割ってその表面に焼印を押したような趣きのある看板だ。
看板には『メルカートゥス』……と店名が書いてあった。
出入り口からは、店内に居る客の声が聞こえて来る……
「お疲れ様でした。到着しましたよ、ここです。予約を入れてあります」
と、俺が店を指させば。
対して、ジョルジエット様、アメリー様は、
「看板を見ると、『市場』という店名ですが……どういう意味でしょう? ロイク様、ここはお酒を飲むお店なのでは?」
「ロイク様、このようなお店……私達、今まで1回も、足を踏み入れた事はありません」
お酒を飲むお店……まあ、当たってます。でも飯も食えます。
1回も足を踏み入れた事はない……まあ、貴族令嬢が来る店ではないなあ。
そしてアンヌさん、ジュリーさんも、不安な表情。
「ロイク様、ここは荒くれどもが集う店では? このような店でランチをやっているのでしょうか?」
「またトラブルが起きるのではありませんか?」
と懸念する。
先ほど、ナンパ未遂事件が起きたから尚更だ。
俺は、にこっと笑う。
そして各自の疑問へ答える。
「まずお店、外見はそうですが、店名通り、普通の居酒屋形態ではありません。そしてランチ営業をしています。トラブルに関しては、リスクゼロというわけにはいきませんが、この店だと却って守り易いと思います」
俺が説明しても、女子4人は全員が半信半疑という感じ。
仕方ない。
ここでヒントを出そう。
「どのような店なのか、ヒントは先ほど通って来た中央広場内市場にあります」
「中央広場の市場に?」
「私達が見たって事ですか?」
「一体、何でしょう?」
「全く分かりません」
「まあ、中へ入れば、分かります。先発の護衛も既に入店していると思います。報告がないから問題なしだと思います」
そう、先ほどナンパ未遂事件で、確認の為駆け寄って来た先発隊の騎士5人も既にこの店へ入店しているのだ。
論より証拠。
グダグダしていたら、時間を無駄にしてしまう。
俺達は、居酒屋『メルカートゥス』へ入店したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
出入り口の扉を押して入ると……店内はそこらの居酒屋よりも、相当広かった。
数多のテーブルに、椅子が置かれているのが、視界に飛び込んで来る。
これだけなら、どこにでもある居酒屋の光景だ。
しかし!
置かれていたテーブルと椅子のデザインがやけにオシャレ。
更に正面、左右と店の3方の雰囲気が違っている。
3方にあるのは、ただの壁ではなかった。
何と何と!
各壁に3つ、都合9つの露店が造り込まれているのだ。
また店内には3つほど屋台もあった。
ステディ・リインカネーションの製作陣に、絶対に『マニア』が居るに違いない。
そう、『メルカートゥス』は、現代のフードコートの仕様となっていたのだ。
ここで俺達へ声がかかる。
出入り口そばに、『会計』と書かれた札が置かれたカウンターがあった。
声は、カウンター内に居る、メイド服姿の若い女性スタッフからである。
「いらっしゃいませ! 『メルカートゥス』へようこそ。料金先払いとなります。こちらで、お支払いをお願い致します。おひとり様、ランチ料金銀貨5枚となります」
「5名で予約しているロイク・アルシェです」
ここは、再び俺が立て替える。
後で、日給を貰う時に請求するのだ。
「はい! ご予約のロイク・アルシェ様! 5名様で金貨2枚と銀貨5枚、確かに頂戴致しました。当店のシステムはご存知でしょうか?」
「説明をお願いします」
俺が説明を求めると、スタッフさんは姿勢を正す。
「はい! ではご説明させて頂きます! 当『メルカートゥス』はお食事開始から、2時間以内、完全セルフサービスで食べ放題、飲み放題となります。お好きなお席にお座りになり、お好きなお店、屋台で思う存分、ご自由にご飲食をお楽しみくださいませ!」
そう!
スタッフさんの言う通り、
この店フードコート仕様の『メルカートゥス』はひとりランチタイムは銀貨5枚で、
2時間、セルフサービスで食べ放題、飲み放題のいわゆる『放題店』なのだ。
制限時間さえ守れば、予算オーバーの心配は全くなく、
好きな料理、飲料を心行くまで楽しめる最高の店。
俺がさっき出したヒント……
中央広場にあった露店、屋台を、いくつかまとめて屋内型の店にした仕様。
そういう形式なので、わくわく感満載で、探索気分も味わえる。
前世で『放題店』大好きだった、
ケン・アキヤマ、イコール、アラン・モーリアの御用達店。
スタッフさんの説明は更に続く。
「……但し、注意事項として、食べ終わった食器は返却台へ。食べ残し、飲み残しは厳禁。大声で騒ぐ、暴力、恐喝、ナンパ行為等、他のお客様、店へ迷惑をかける、公序良俗に反する行動は厳禁。スタッフが注意しても改めない場合は、即衛兵へ通報致します。また貴重品の盗難には一切責任を負いませんので、管理にはご注意を! ご不明な点等ございましたら、スタッフまでお問合せくださいませ!」
うん!
ステディ・リインカネーションをプレイした時と、店内ルールは変わっていない。
厳しい店内ルールがあり、犯罪行為も少なく、リスクは少ない。
スタッフや警備員も店内を随時巡回している。
更に騎士10名の別部隊が客として店内を見張れば、警備は万全だ。
「………………………」
ジョルジエット様、アメリー様は勿論、この店が初めてらしいアンヌさん、ジュリーさんも、驚き呆然として、無言で店内を見回していたのである。
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