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第75話「素晴らしい! 最高の正当防衛行為ですよ!」

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「見ず知らずの男子から、見境がない、下心ありきの求愛行動! 分かりました! そんなの冗談ではありません! 充分に気を付けますわ!」

「私達はロイク様以外、他の男子のお誘いには絶対に応じません!」

ジョルジエット様、アメリー様は、俺とつないだ手を、
ぎゅ!ぎゅ!と強く握って来た。

ということで、ナンパ講義?が終わり……
俺、ジョルジエット様、アメリー様、アンヌさん、ジュリーさんは、
中央広場へ入った。

休日昼前のせいもあって、中央広場はたくさんの人々でにぎわっていた。

いくつも市が立っている。
様々なものが売られているらしい。

周囲の町村から来ているらしい行商人も多い。

食べ物の露店も何軒もあり、共用のテーブルと椅子が用意され、
まるで前世のフードコートの趣きがある。

法衣を着た司祭、シスターが立ち、創世神教会のチャリティーバザーも行われている。

そしてある一画では、子供は勿論、大人が見ても面白そうな見世物や大道芸がたくさん行われていた。

あちこちに人だかりが出来て、いろいろな鳴り物が派手に鳴り響いている。

奇抜なメイクをした道化師はおどけた仕草で笑わせ、敏捷な軽業師は信じられないほどアクロバティックな動きを見せている。

スタイル抜群な美しい踊り子が華麗なステップを踏んでみせたり、
正装した手品師が帽子の中から数多の魔法鳩を飛ばして、人々は大いに喜んでいる。

祭りのような光景を見て、ジョルジエット様、アメリー様は子供のように目を輝かせた。

「ロイク様! こんなに近くで見ると! ウキウキしますわ!」
「馬車の窓から、ジョルジエット様とともに、遠目で見るだけでしたから!」

ふたりが喜ぶ様子を見て、俺も連れて来た甲斐がある。

しかし!
油断大敵!
好事魔多し!

男子1人、女子4人という組み合わせを見て、冒険者らしき若い男子のグループ4人が、にやにやしながら、近寄って来た。

よこしまな波動が伝わって来て、目的は明らかである。

こちらは男が俺ひとり、後は女子。
「制圧してやる」という波動が伝わって来る。

ちょっかいをかけ、数を頼んで邪魔者の俺を強制排除し、
ジョルジエット様以下女子4人を確保。
「宜しくやろう」という腹積もりである。

「ロイク様」
「あの人達、もしや!」

男子のグループの接近に気付き、
ジョルジエット様、アメリー様の身体が硬くなった。

アンヌさん、ジュリーさんが身構える気配が伝わって来る。

俺達の前、後に居る各5名ずつ、10名の護衛騎士も反応した。
少し離れていた距離を詰め、速足でぐんぐん近づいて来る。

一方、ナンパ目的の冒険者らしき若い男子のグループは、
俺達と約5mの距離まで来た。

ガンガン視線を飛ばし、こちらを完全にロックオン!している。

そして、

「おいおい、あんちゃん、ひとりで女子4人は多すぎるだろ!」
「クソガキ! 素直に俺達に、女を渡せや! 渡さねえと痛い目に合わせてやるぜ!」
「お嬢ちゃん達、俺達と遊びに行こうぜ!」
「もみもみぺろぺろして、気持ちいい事しようじゃね~か!」

お決まりの『脅し』と『ナンパトーク』を放って来た。

ジョルジエット様、アメリー様を救った際は、相手の愚連隊を「全員気絶」させた。

しかし今回は、少し弱めにして「追い払う」事にした。

よし!
『威圧』のスキル発動!

ぎん!!!

俺が発した『威圧の眼光』が、逆に男子グループの視線を捉えた!

補正40がかかっているのでレベル51までの対象を、
最大効果の戦闘不能から、今回の追い払うまでが可能なのだ。

相手によって、イレギュラーで通用しない事があるというが、
ぱっと見、チンピラモード全開のこいつらが、レベル50以上の猛者とは思えない。

「ひええええ!」
「た、助けてぇ!」
「に、にげろぉ!
「神様あ!」

案の定!
俺の視線と放つ魔力の圧力にビビった男子グループは回れ右。
俺達の前から、速攻で逃げ去ってしまったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

……という事で威圧のスキルは効果抜群であった。
相手に傷ひとつつけず、こちらもリスクなく、撃退出来る。

やはりとんでもなく使えるスキルだ。

「わあお!」

男子グループが逃げ出し、安堵したジョルジエット様は大いに驚いた。
救った時は気絶していて、俺が威圧を使うのを見ていなかったからね。

そして、救った時に、愚連隊を威圧で戦闘不能にしたのを目撃したアメリー様は、
すぐにピンと来たようだ。

「凄い! この前お使いになった技ですね! 素敵! ロイク様!」

アンヌさん、ジュリーさんも感心しきりだ。

「ロイク様! これが威圧……なのですね」
「素晴らしい! 最高の正当防衛行為ですよ!」

前方、後方、5名ずつの護衛騎士さん達も駆け付けたが……
ナンパしかけた男子グループが近寄るのから逃げ出すまで、一部始終を目撃していて、やはり感嘆していた。

「どうしましたか!」
「大丈夫ですか!」

混雑する中央広場において、男子グループが悲鳴を発して逃げ、
革鎧姿の騎士10名が駆け寄り、ちょっとした騒ぎになった。

なので、中央広場に立つ衛兵も「何事か!」と来たのだが……
護衛の騎士達の事情説明により、すぐに解放、おとがめなし。

俺達は再び、ランチを摂る店へ向かったのである。
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