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第14話「今、俺の目の前には『ふたつの道』が示されている」
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「これからどうするのですか? 今夜のご宿泊先はいかがなされますか?」
と丁寧に、セドリックさんから尋ねられたので、
「特に行くあてがないです」と正直に伝えたら……
「私がひと言、言えば、ロイク様はルナール商会経営のホテルに、1か月間の無料滞在が可能ですよ。ぜひご宿泊ください! 更に数か月の延泊も全然構いません!」
と言われ、これまたセドリックさんに命じられたオーバンさんにより、
俺は「どなどな」された。
言われた際、一応、遠慮はしたが、
これから宿を探すのもいかがなものかという思いに加え、
今後の事もあるし、ここは、セドリック会頭の顔を立てようとOKした。
そんなこんなで……俺は今、ルナール商会が経営する、
王都ネシュラの10階建て高級ホテルでくつろいでいる。
ホテルの部屋はスイートルームとまでは行かないが、ハイクラスの部屋らしい。
居間に、クローゼット、バストイレ付きの寝室、更に客室という3間続きの部屋で、
部屋は各20畳ほどあり、俺ひとりではもったいないくらい、とても広々していた。
1か月間、無料滞在OK! 数か月間の延泊もOKと言われ、
食事も食べ放題、ルームサービスもいくらでもご自由にと言われたので、万々歳。
そして皆さんが気になりそうなルナール商会からの『莫大な謝礼』は何と!
金貨500枚……500万円を受け取ったのだ。
多分この中には、山賊討伐によって生じた戦利品の分も含まれているに違いない。
これで所持金は、先によろず屋のオヤジ店主から貰った、退職金の金貨500枚に貯金を加え、トータルで金貨1,000枚と銀貨が100枚少しとなった。
何と!
所持金は金貨1,000枚強!
日本円にして1,000万円以上!!
オヤジ店主から金貨500枚を受け取った時も、
プチ喜んだが、倍額でこうも嬉しいとは思わなかった。
こんな大金、生まれてから25年、手にした事はない!
素直に嬉しい!
まあ、異世界で生活環境も全く違うし、
ロイク・アルシェ16歳へ転生したから、ケン・アキヤマ25歳とは完全に別人格。
だから単純に比較しても虚しいのだが……
目標とする『1億倍の幸せ』の第一歩だと実感した。
そして、1か月の間は、ルナール商会持ちで、宿泊費、食事代等はタダ。
だから、よほど高額のものでなければ、多少買い物をしても、生活費の心配はない。
という事で、今後の身の振り方を考える。
このステディ・リインカネーションの世界に転生した俺が、
将来、やれる仕事は数多あるに違いない。
ただ、不確定な未来より、選択を迫られている現在の状況をまず考えた。
今、俺の目の前には『ふたつの道』が示されている。
◎メリット、●デメリットそれぞれを簡単にあげてみよう。
ひとつめの道は『冒険者』である。
俺は25歳ながら典型的な中二病だった。
それゆえ、前世でも冒険者という言葉にひどく憧れていた。
それがヴァーチャルではなく、現実のモノとなるから興奮して胸が躍る。
いかん、いかん、冷静に考えよう。
◎メリット、わずかな手数料という廉価で、
冒険者ギルド所属登録証という、世界中に通用する、永久身分証明書が作成可能。
◎メリット、冒険者ギルド所属であれば、施設利用、講座受講等々、
各種サービスを享受出来る。
「心の扉を開く」のも登録の際に付帯するオプションサービスで有償実施出来る。
それも金貨100枚。
創世神教会の200枚よりも金貨100枚も安い。
◎メリット、冒険者ギルドという働き口が常にあり、世界中で、好きな時、自由に、仕事の内容を選ぶ事が出来る。魔物の退治等だけでなく、荷物運び、各種作業手伝い、果てはペットの散歩、どぶそうじなんて雑用の口もある。
◎メリット、先ほど、言った通り、基本的には、肩書の文字通り、
血沸き肉躍る、『冒険』に心身を満たせる仕事である。
◎メリット、ラノベ、マンガ、アニメで得た知識がプラスとなる。
特にRPG『ステディ・リインカネーション』をやり込んだ際に得た経験、
攻略知識は絶対役に立つだろう。
◎メリット、高難度の依頼は比例して報奨金も高額。
一攫千金も夢ではない。
ばくち的要素は大きいが、とんでもない大金を稼げるかもしれない。
●デメリット、職業の貴賤はあってはいけないが、
ならず者、下級市民扱いされる場合が多い。
●デメリット、「心の扉を開く」際、創世神教会と違い、
自分の初期スペックを知られてしまう。
ちなみに、初期スペックを確認するのは、
冒険者ギルドが冒険者達を管理する為らしい。
●デメリット、生と死の狭間に立つ仕事である。
怪我は勿論、生命を失うのもざらである。
魔物討伐を例に取れば、呆気なく、殺されたり、喰われたりする。
邪悪な存在や宝物に接して、罠や呪いをかけられたりもする。
●デメリット、老齢になれば、仕事の継続が困難となる。
先述したように、簡易な仕事はあるが、
報酬も比例して安価、またベテランほどプライドが高く、
そんな依頼を受けたがらない。
冒険者のメリット、デメリットは、まだまだあるだろう。
しかし、きりがない。
ここら辺にしておこう。
ふたつめの道は商人である。
商人と言っても、いろいろある。
だが今回は、この流れだと、ルナール商会へ就職する事になる。
俺が聞きだしたルナール商会のオーバンさんの仕事と待遇を想定して、
◎メリット、●デメリットをあげて行こう。
ちなみにオーバンさんは、王都で仕事をしながら、
今回のように世界各地に、商隊を率い、出張扱いで、得意先と取引を行う。
◎メリット、所属する商会に社員として身元を保証して貰える。
◎メリット、取引先に対し商会の法務部門が確認する。
それゆえ、意図的でなければ、反社会的、不法な存在と取引する事はほとんどない。
◎メリット、利益追求の仕事だが、世界中をまたにかけ、
必要な物資を各所に送り届け、人々の暮らしを支える、
有意義で、やりがいのある仕事である。
防犯面も、護衛役が代わりに戦ってくれるし、俺も戦闘可能なので、
適性はあると思う。
◎メリット、よろず屋で得た、商品知識と経験は多分、役に立つ。
この世界で商人をやるならば、冒険者同様に、
RPG『ステディ・リインカネーション』をやり込んだ際に得た経験、
攻略知識は絶対役に立つだろう。
◎メリット、給金は基本給と、売る上げに対しての歩合給の場合が多い。
ルナール商会だと、基本給だけでも相当の高給。
毎月安定して、結構な収入を得られ、しかも不払いなどない。
●デメリット、商会の業務命令に沿って、仕事をする。
自分で好きな仕事を選べない。
勤務時間も決まっていて、休暇は貰えるが、基本は縛られる生活となる。
寝室の巨大なトリプルベッドへ寝ころんだ16歳のロイク・アルシェこと俺。
この先の自分の未来、将来について、いろいろと考えたのである。
と丁寧に、セドリックさんから尋ねられたので、
「特に行くあてがないです」と正直に伝えたら……
「私がひと言、言えば、ロイク様はルナール商会経営のホテルに、1か月間の無料滞在が可能ですよ。ぜひご宿泊ください! 更に数か月の延泊も全然構いません!」
と言われ、これまたセドリックさんに命じられたオーバンさんにより、
俺は「どなどな」された。
言われた際、一応、遠慮はしたが、
これから宿を探すのもいかがなものかという思いに加え、
今後の事もあるし、ここは、セドリック会頭の顔を立てようとOKした。
そんなこんなで……俺は今、ルナール商会が経営する、
王都ネシュラの10階建て高級ホテルでくつろいでいる。
ホテルの部屋はスイートルームとまでは行かないが、ハイクラスの部屋らしい。
居間に、クローゼット、バストイレ付きの寝室、更に客室という3間続きの部屋で、
部屋は各20畳ほどあり、俺ひとりではもったいないくらい、とても広々していた。
1か月間、無料滞在OK! 数か月間の延泊もOKと言われ、
食事も食べ放題、ルームサービスもいくらでもご自由にと言われたので、万々歳。
そして皆さんが気になりそうなルナール商会からの『莫大な謝礼』は何と!
金貨500枚……500万円を受け取ったのだ。
多分この中には、山賊討伐によって生じた戦利品の分も含まれているに違いない。
これで所持金は、先によろず屋のオヤジ店主から貰った、退職金の金貨500枚に貯金を加え、トータルで金貨1,000枚と銀貨が100枚少しとなった。
何と!
所持金は金貨1,000枚強!
日本円にして1,000万円以上!!
オヤジ店主から金貨500枚を受け取った時も、
プチ喜んだが、倍額でこうも嬉しいとは思わなかった。
こんな大金、生まれてから25年、手にした事はない!
素直に嬉しい!
まあ、異世界で生活環境も全く違うし、
ロイク・アルシェ16歳へ転生したから、ケン・アキヤマ25歳とは完全に別人格。
だから単純に比較しても虚しいのだが……
目標とする『1億倍の幸せ』の第一歩だと実感した。
そして、1か月の間は、ルナール商会持ちで、宿泊費、食事代等はタダ。
だから、よほど高額のものでなければ、多少買い物をしても、生活費の心配はない。
という事で、今後の身の振り方を考える。
このステディ・リインカネーションの世界に転生した俺が、
将来、やれる仕事は数多あるに違いない。
ただ、不確定な未来より、選択を迫られている現在の状況をまず考えた。
今、俺の目の前には『ふたつの道』が示されている。
◎メリット、●デメリットそれぞれを簡単にあげてみよう。
ひとつめの道は『冒険者』である。
俺は25歳ながら典型的な中二病だった。
それゆえ、前世でも冒険者という言葉にひどく憧れていた。
それがヴァーチャルではなく、現実のモノとなるから興奮して胸が躍る。
いかん、いかん、冷静に考えよう。
◎メリット、わずかな手数料という廉価で、
冒険者ギルド所属登録証という、世界中に通用する、永久身分証明書が作成可能。
◎メリット、冒険者ギルド所属であれば、施設利用、講座受講等々、
各種サービスを享受出来る。
「心の扉を開く」のも登録の際に付帯するオプションサービスで有償実施出来る。
それも金貨100枚。
創世神教会の200枚よりも金貨100枚も安い。
◎メリット、冒険者ギルドという働き口が常にあり、世界中で、好きな時、自由に、仕事の内容を選ぶ事が出来る。魔物の退治等だけでなく、荷物運び、各種作業手伝い、果てはペットの散歩、どぶそうじなんて雑用の口もある。
◎メリット、先ほど、言った通り、基本的には、肩書の文字通り、
血沸き肉躍る、『冒険』に心身を満たせる仕事である。
◎メリット、ラノベ、マンガ、アニメで得た知識がプラスとなる。
特にRPG『ステディ・リインカネーション』をやり込んだ際に得た経験、
攻略知識は絶対役に立つだろう。
◎メリット、高難度の依頼は比例して報奨金も高額。
一攫千金も夢ではない。
ばくち的要素は大きいが、とんでもない大金を稼げるかもしれない。
●デメリット、職業の貴賤はあってはいけないが、
ならず者、下級市民扱いされる場合が多い。
●デメリット、「心の扉を開く」際、創世神教会と違い、
自分の初期スペックを知られてしまう。
ちなみに、初期スペックを確認するのは、
冒険者ギルドが冒険者達を管理する為らしい。
●デメリット、生と死の狭間に立つ仕事である。
怪我は勿論、生命を失うのもざらである。
魔物討伐を例に取れば、呆気なく、殺されたり、喰われたりする。
邪悪な存在や宝物に接して、罠や呪いをかけられたりもする。
●デメリット、老齢になれば、仕事の継続が困難となる。
先述したように、簡易な仕事はあるが、
報酬も比例して安価、またベテランほどプライドが高く、
そんな依頼を受けたがらない。
冒険者のメリット、デメリットは、まだまだあるだろう。
しかし、きりがない。
ここら辺にしておこう。
ふたつめの道は商人である。
商人と言っても、いろいろある。
だが今回は、この流れだと、ルナール商会へ就職する事になる。
俺が聞きだしたルナール商会のオーバンさんの仕事と待遇を想定して、
◎メリット、●デメリットをあげて行こう。
ちなみにオーバンさんは、王都で仕事をしながら、
今回のように世界各地に、商隊を率い、出張扱いで、得意先と取引を行う。
◎メリット、所属する商会に社員として身元を保証して貰える。
◎メリット、取引先に対し商会の法務部門が確認する。
それゆえ、意図的でなければ、反社会的、不法な存在と取引する事はほとんどない。
◎メリット、利益追求の仕事だが、世界中をまたにかけ、
必要な物資を各所に送り届け、人々の暮らしを支える、
有意義で、やりがいのある仕事である。
防犯面も、護衛役が代わりに戦ってくれるし、俺も戦闘可能なので、
適性はあると思う。
◎メリット、よろず屋で得た、商品知識と経験は多分、役に立つ。
この世界で商人をやるならば、冒険者同様に、
RPG『ステディ・リインカネーション』をやり込んだ際に得た経験、
攻略知識は絶対役に立つだろう。
◎メリット、給金は基本給と、売る上げに対しての歩合給の場合が多い。
ルナール商会だと、基本給だけでも相当の高給。
毎月安定して、結構な収入を得られ、しかも不払いなどない。
●デメリット、商会の業務命令に沿って、仕事をする。
自分で好きな仕事を選べない。
勤務時間も決まっていて、休暇は貰えるが、基本は縛られる生活となる。
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