上 下
162 / 176

第162話「俺、料理を作るのが大好きだし、引退後はこういうお店をやるのもあり、かな!」

しおりを挟む
5人の男たちは、俺とシャルロットの座るテーブルをぐるりと取り囲んだ。

あはは、これはもうナンパって、柔なものじゃない。
脅迫とか、襲撃だろう。

そもそも俺は男たちを認識してから、勘働きスキルをMAXにし、
ず~っと『動き』をうかがっていた。

こういう場合、男たちから、何か「警告的な物言い」がある可能性が高いが、
予備動作なしで、いきなりシャルロットへちょっかいを出す場合もある。

腕をつかみ、連れ去ろうとする、とかだ。

なので、俺はすぐに動ける態勢である。

まあ、良い。
ここは先手必勝。

俺から警告する事にした。

「あんたら、何か、用ですか? 食べにくいんで、圧かけないで欲しいんですけど」

そう言うと、リーダーらしき男が、

「ガキ、女を置いて消えろ」

と低く、どすのきいた声で告げた。
こっちは5人だぞ!という圧もかけて来る。

でも全然怖くはない。

対して、

「断る! てめえらがすぐ消えろ! 目障りだ!」

俺がきっぱりそう言った瞬間。

「お客さん! 困ります!」

と、メイド服スレンダースタッフ女子が、男たちを押しのけ、割り込んで来た。

これも計算積み。
スタッフ女子さんが、注意する事は分かっていたから。

すると男たちは、すいませ~んという殊勝な態度をとるわけがなく、

「ひゃっは~! ついでに、コイツも、らちるか!」

などとお約束で、騒ぎだす始末。

どさくさに紛れて手を伸ばし、スタッフ女子さんのお尻を触ろうとする奴まで居る。

よし!
これで文句なしに、お仕置き決定!

俺はすっくと立ちあがり、威圧のスキルを発動。

鋭い眼差しを男たちへ据える。

ぎん!ぎん!ぎん!ぎん!ぎん!

さすがに石化にするのはやりすぎだが、
少しだけ強めに発したので、5人の男どもは脱力、
あっさり、膝からがくがくっと、崩れ落ちてしまった。

はい、戦闘不能というか、行動不能。
ゲーム終了。

「ええええ!!!??」

驚き、目が真ん丸なスタッフ女子さん。

ちょっち可愛い。

俺は呆然とするスタッフ女子さんへ言う。

「あの、スタッフさん」

「は、は、はいっ!」

「当たり前だとは思いますが、この店ではナンパ、けんかを始めとして、店内の迷惑行為は厳禁ですよね?」

「は、は、はいっ! と、と、当然、そうですっ! そういうルールですっ!」

「では、店主さんに、ことわった上で、衛兵を呼びましょう。こいつら余罪もあるようですし」

「よ、余罪!?」

「はい、こいつらは、俺の彼女と貴女をらちし、どこかへ連れ込もうとしていました。叩けばほこりが出ます!」

「ええええ!!!??」

俺は、
「ガキ、女を置いて消えろ」
と脅して来たリーダーは勿論、さっき、
「ひゃっは~! ついでに、コイツも、らちるか!」
と騒いでいた男も指さし、きっぱりと言い切ったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

という事で、スタッフ女子さんに連れられ、やって来た口笛亭の店主さん。

自己紹介の際、判明したが、元冒険者だという。

俺とシャルロットが自己紹介と経緯を話し、
スタッフ女子さんが間違いないと同意すれば、すぐ衛兵を呼んでくれた。

衛兵が来るまで、店主さん、スタッフ女子さんと、
俺が使った威圧のスキルについて、
そしてローラン様、グランシャリオの話で盛り上がる。

待つ事約10分……来た衛兵ふたりに、俺とシャルロットが名乗り、
冒険者ギルドの所属登録証を見せると、態度が一変。

来た当初は、いかめしかったのが、やたら丁寧となった。

ローラン様とグランシャリオのブランドはやはり凄い。

結果、男たち5人はお縄にされ、連行されていった。
身元も判明し、やはり冒険者ギルド所属の冒険者のようだ。
余罪が判明すれば、厳罰にと衛兵さんは言っていた。

威圧スキルを使った手前、少し回復魔法を使い、奴らが動け、歩けるようにしたのは俺のサービスである。

そしてサービスと言えば、店主さんが今回のお詫びにと、
料金なしで構わないと言い出した。

でもさすがにタダは固辞。
正規料金を支払いますとお断りした。

すると、店主さん。
追加の料理、飲み物、デザートだけはサービスすると頑なに譲らない。

仕方がない。
落としどころとしては、そんなものだろう。

……やがて、料理が出来上がり、運ばれて来たので、
俺とシャルロットはエールのジョッキもお代わりし、改めて乾杯。

その上で、料理を頬張る。

おお、おおお!!

美味い!!
美味いよ、この店の料理!!

勘働きスキルの内なる声が教えるまま、この店をチョイスし、入ったが、
彼女と食事をする店探しまで、やってくれるとは思わなかった。

視線を感じると、俺をじっと見つめるシャルロット。
彼女も心から嬉しそうにし、料理をぱくぱくと食べている。

「エル君! 美味しいねえ!」

「ああ、美味いな!」

などと、再開した会話がまた弾む。

最後に出て来たデザートも、凄く美味しかった。

俺、料理を作るのが大好きだし、引退後はこういうお店をやるのもあり、かな!

などとシャルロットへ言えば、彼女も大賛成。

ますます、大盛り上がりとなったのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので無双はじめたら、元仲間が落ちぶれていきました〜

里海慧
ファンタジー
「カイト、お前さぁ、もういらないわ」  魔力がほぼない最低ランクの最弱ハンターと罵られ、パーティーから追放されてしまったカイト。  実は、唯一使えた魔法で伝説の魔獣王リュカオンと融合していた。カイトの実力はSSSランクだったが、魔獣王と融合してると言っても信じてもらえなくて、サポートに徹していたのだ。  追放の際のあまりにもひどい仕打ちに吹っ切れたカイトは、これからは誰にも何も奪われないように、最強のハンターになると決意する。  魔獣を討伐しまくり、様々な人たちから認められていくカイト。  途中で追放されたり、裏切られたり、そんな同じ境遇の者が仲間になって、ハンターライフをより満喫していた。  一方、カイトを追放したミリオンたちは、Sランクパーティーの座からあっという間に転げ落ちていき、最後には盛大に自滅してゆくのだった。 ※ヒロインの登場は遅めです。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

追放シーフの成り上がり

白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。 前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。 これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。 ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。 ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに…… 「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。 ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。 新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。 理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。 そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。 ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。 それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。 自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。 そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」? 戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...