冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第155話「うわ、講師さん、事件をカミングアウトしちゃったよ」

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冒険者ギルドにおいて、召喚魔法を修得する為、
召喚術の講座を受講していた俺とシャルロット。

しかし、使い魔召喚の課題で、
俺がいきなり冥界の魔獣ケルベロスを呼び出した事で、教室はもう大騒ぎ。

それも体長は5m強、体高は2m弱、体毛は輝くような銀色。

3っの頭を持ち、蛇のたてがみと竜の尾を持つ巨大な魔獣という、
『本体』で現れたものだから、講師のデルフィーヌさん以下、シャルロットも含め、全員がショックで固まってしまった。

その為、俺は受講生全員へ、
お詫びを言いながら、気付け効果のある回復魔法をかける事となってしまった。

その結果……

「エルヴェ・アルノーさん」

「はい」

「貴方は本当にとてつもなく素晴らしい才能をお持ちです。もう、召喚術の講座で教える事はありません。更にハイクラスの上級召喚術を受講する事をお勧めしますわ」

デルフィーヌさんから、人生3度目の追放……
否、速攻、卒業認定をされてしまった。

むむむ、割引して貰ったとはいえ、結構高い受講料を払ったのにもう終わり?

と思ったが、ここは素直に喜ぶべきだろう。

新居の番が出来る『強い犬』が欲しいと願ったら、
冥界の魔獣ケルベロスを呼ぶ事が、完璧に叶ったのだから。

とはいえ、俺がすぐフェードアウトする必要はなしとの事。

なのでシャルロットが、召喚術を「卒業する」までオブザーバーとして留まる事に。

しばらく発動していなかったみたいだが、すぐ昔の勘を取り戻したのか、
シャルロットは一発で、『猫』を呼び出し、使い魔召喚の課題をクリア。

その後、出されたいくつかの課題も彼女は見事にクリアし、
俺とふたりで仲良く卒業と相成ったのである。

ちなみにオブザーバーとして講義を聞いていた俺も、
貴重な基礎知識を得る事が出来たので。結果良しだと満足した。

ここで、渡りに船とばかりにデルフィーヌさんから提案が、

「エルヴェさん、シャルロットさん、この後すぐ上級召喚術の講座がありますが、引き続き受講されますか? おふたりはランカーなので優遇されていると思いますが、私の口利きがあれば、尚更確実に受講可能ですよ」

おお!
ありがたい!

俺とシャルロットは、顔を見合わせ頷いた。

答えは当然OK。

「はい、デルフィーヌさんのお言葉に甘えます。ぜひふたりで、上級召喚術の講座受講を希望します」

「ええ、何卒宜しくお願い致します」

「うふふふ、では担当講師へ話をつけておきますね!」

という事で……

俺とシャルロットは、上級召喚術の講座を受講する事となったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

冒険者ギルドの諸講座のタイムスケジュールは、
午前が9時から、12時。
午後が1時から4時の各3時間の2部制だ。

デルフィーヌさんの口利きもあり、俺とシャルロットは午後1時開始の、
上級召喚術を受講する事が出来た。

受講料金も当然ながら、割引が適用される。

シャルロットと一緒に教室へ入ると、受講生は召喚術よりもずっと少ない。

年齢も、10代後半はほ~んの少し数名レベル。

20代半ばから30代後半がほとんどで、40代、50代も結構居る。
いちいち確かめたりはしないが、ランクB以上のランカーも多いのだろう。

一応ふたりで、ざっくりと自己紹介をしたら、ふん!って感じの反応が多かった。

慇懃無礼な雰囲気で……

小僧、小娘が、若いくせに、何でランカーなんだ?とか、
特に小僧は、ランクFからランクAへの昇格はありえないだろ!

とか、

新人に毛が生えたレベルで、本当に実力があるのかよ?

とか、そんな、懐疑、怒り、嫉妬の波動を放つ者が多かった。

英雄たるマエストロ、ローラン様から見込まれたというのが気に入らないのだろう。

そして、どうやら召喚術から、そのまま受講に来た者は居ないみたい。

『いきなりケルベロス召喚騒動』の話題は出ていなかったからだ。

……そうこうしているうちに、講師が来た。

上級召喚術の講師は、50代前半とおぼしきおっさん魔法使い。

少し顔色は、青ざめている。

講師は、教室に入って来たかと同時に声を張り上げる。

「こ、この中に!! エルヴェさん!! ランクAのエルヴェ・アルノーさんは、居ますかああ!!」

え?
俺?
何だろ?

シャルロットと並んで座っていた俺は、すっくと立ちあがり、挙手をする。

「はい、エルヴェ・アルノーは、俺ですけど」

すると講師は、じ~っと俺を見つめ、

「おお!! 君か!! 使い魔召喚の課題で、いきなり魔獣ケルベロスを召喚したと、デルフィーヌ・エマールから聞いたぞ!! 前代未聞の事だが、本当なのか!?」

うわ、講師さん、事件をカミングアウトしちゃったよ。

まあ、仕方がない。

「はい、本当ですが」

俺がしれっと答えれば、

さすがに教室内は「おおおおお!!!!!」とざわめいたのである。
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