冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第145話「お茶の支度、全員でやりましょうよ。その方が早いです」

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打ち上げが終わってから……『解散』した後も、
シャルロットは俺の部屋に泊まり、散々いちゃいちゃしたあげく、
ふたりで朝を迎えた。

こら!
てめえ!
リア充、爆発しろ! もげろ!
と言われても仕方がない。

これまでの不幸の倍返しというくらい、俺は幸福だった。
そして俺を選んでくれたシャルロットを絶対幸せにする!とも誓った。

起きた俺たちは、支度して、ふたりでホテルのレストランへ。

朝食を食べ、ひと休みしてから、ホテルを出て、冒険者ギルドへ行く事に。

おいおいおい!
同棲する為の新居探しなのに、何故冒険者ギルドへ行くの?と思う貴方 、
まあ、そう思うのも無理はない。

でも、冒険者ギルドへ行ったのは、理由がある。

そう、お分かりの方も居るやもしれない。

大昔と違い、現代の冒険者ギルドは単なる仕事仲介の斡旋業者ではない。

ありとあらゆる事業をてがけている巨大な商会のようなものだ。

……実はギルドには不動産部門もあり、
住宅の建築販売、斡旋、仲介、賃貸等を行っている。

加えて、所属冒険者には様々な特典があり、
一般的な不動産屋さんを利用するよりも、遥かにお得。

俺はシャルロットと相談した結果、冒険者ギルド不動産部へ行く事にしたのである。

ちなみに冒険者ギルド不動産部は、本棟ではなく、
ギルドの敷地内、別部門ばかり入っている別棟内にある。

俺とシャルロットは別棟へ入り、不動産部のオフィスを訪ねる。

「おはようございます!」
「おはようございます!」

オフィスの扉を開け、あいさつすると、若い職員がすっ飛んで来て頭を下げる。

「いらっしゃいませえ! おはようございま~す!」

俺たちは16歳と18歳の、小僧に小娘。

ギルドの職員は基本的に礼儀正しいから、
馬鹿にされるとか、接客態度が酷くはないだろうが、
ここは先に名乗った方が良いだろう。

「初めまして、クラングランシャリオのエルヴェ・アルノーです」
「初めまして、同じくクラングランシャリオのシャルロット・ブランシュで~す」

対して、「おお!」とオーバーアクションで驚くギルド職員。

更に!
俺とシャルロットは、ダメ押し!とばかりに、所属登録証も提示する。

「おおおお!!!」

と、またまたオーバーアクションのギルド職員。

グランシャリオの知名度、ブランドは勿論、
先日、ホテルで派手に、『入団発表会見』も行っているから、
インパクトは相当なものだろう。

俺たちはすぐオフィスの奥にある特別応接室へいざなわれた。

「エルヴェ・アルノー様!! シャルロット・ブランシュ様!! しばらくお待ちくださいませ! お茶、お茶菓子をご用意致しますし、上席を連れてまいりますから!」

現場担当らしき職員の言葉遣いは敬語だし、上席を連れて来るって……
やっぱり凄いや、グランシャリオは。

でも……と、残されふたりきりとなった俺とシャルロットは顔を見合わせた。

「凄い、もてなしようだ。でも決して俺たちの力じゃないから、あくまでも謙虚に行こう」

「うん、エル君の言う通りだわ」

驕らず、威張らずを肝に銘じようと、ふたりで決めたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

とんとんとん!

しばし経ち、特別応接室の扉がノックされた。

「エルヴェ・アルノー様!! シャルロット・ブランシュ様!!
お待たせ致しました! ようこそ! 我が不動産部へいらっしゃいました!」

入室して大きく声を張り上げたのは、一緒に入って来た、
現場担当らしき職員ではなかった。

40代後半らしきイケメンの男性、
いかしたちょい悪ダンディという感じの職員である。

その後ろに、ポット、カップ、お茶菓子を載せたワゴンを押す、
先ほど対応してくれた現場担当らしき職員が居た。

ちょい悪ダンディという感じの職員が、直立不動で深々とお辞儀をし、
顔を上げ、声を張り上げる。

「初めまして!! わたくし!! 冒険者ギルド不動産部部長!! オリヴィエ・ブルレックと申します!! 今後とも宜しくお願い致します!!」

おお、この不動産部の長である部長かあ!

ローラン様との打合せの際は、ギルドマスターが来たし、
俺たちみたいな若造、小娘に部長が直々じきじきなんだなあ。

「ほら! さっさと! お茶とお茶菓子を用意して! すぐに並べないか!」

うわ!
現場担当らしき職員さん、怒鳴られちゃってる。

俺たちのせいで、何か申し訳ないし、
ここは必要以上に気をつかって貰わないようにしよう。

俺は「はい!」と挙手をし、

「ブルレック部長!」

と呼びかける。

「は、はい! 何でございましょう! エルヴェ・アルノー様!」

揉み手をして、平身低頭のブルレック部長。

そんな部長へ俺は言う。

「お茶の支度、全員でやりましょうよ。その方が早いです」

「え!? そ、そんな!?」

「俺たち新人のぺいぺいですし、偉そうにふんぞりかえっていたら、ローラン様から厳しくしかられます。お手伝いさせてください! お願い致します!」

「で、でも!」

「俺たち、ローラン様からしかられたくないですから! さあ! シャルロット! 手伝おう!」

「はいっ!」

というわけで、俺とシャルロットは、現場担当らしき職員さんを手伝い、
お茶の用意をしたのである。
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