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第137話「エルヴェ、作戦開始だ。例のものを使え」
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夜戦中に4時間、村へ戻ってから4時間。
合わせて計8時間仮眠した我がグランシャリオの面々。
本当は、ちゃんと8時間通しで眠った方が健康に良いのかもしれない。
まあ他のメンバーの事は知らないが、少なくとも俺は元気いっぱい。
眠気など、微塵もない。
とにかく、この依頼を完遂したら、王都へ戻りホテルでぐっすり眠るとしよう。
そして新居探しを始め、やる事がやまほどもある。
いろいろとなにかにつけて大変だし、時間と手間もかかるだろうが、
大いに楽しみだ。
宿舎の外に出てみれば、俺たちが起きた事を知り、
村民たちがすぐ、作ってあったらしい朝兼用のお昼ご飯を運んで来てくれた。
ありがたいなあと、改めて俺が見やれば、村の全員に近いであろう、
大勢の村民たちが集まっていた。
俺たち同様、彼ら彼女たちも半徹夜明けなのに、とても張り切っている。
村に害為すゴブリンを大半倒したから、明日への、そして将来への希望が見え、
モチベーションが上がっているのだろう。
俺たちは金で雇われた第三者だが、その気持ちは良く分かるし、
自分の事のように嬉しい。
このように依頼先の人が喜ぶのは、冒険者をやっていて、
本当に良かったと思える瞬間である。
やりがいって、こういう事を言うんだろうなあ。
さてさて!
食事は、パンに野菜のスープ、紅茶というシンプルなものだが、
戦いに臨むにあたり、満腹やもたれる料理は良くない。
かといって空腹では参ってしまうし、軽く腹へ入れておく程度がベストだ。
食事をしてから、さくさくっと身支度し、村民たちの前でパフォーマンスも兼ね、
準備運動に、ストレッチを行った。
そんな俺たちを村民たちは、頼もしそうに見つめていた。
奴らの本拠『巣穴攻略戦』に関しては、ローラン様の立案したある作戦で行く。
その作戦もあり、この強力メンバーを考えると、
今回は正直、余裕で勝てる相手だ。
まあ、勝って兜の緒を締めよで、相手がゴブリンといえど、
油断だけは絶対にしないけど。
そんなこんなで、時間はお昼の12時を過ぎた。
さあ!
出発の時間である。
フォーメーションは一番最初の村周辺探索時と変わらない。
俺とフェルナンさんが先鋒。
シャルロットが中堅。
ローラン様とバスチアンさんが、シャルロットの護衛と、先鋒への援護。
セレスさん、クリスさんが後方で支援役。……こういう並び。
「では! 行って参ります!」
俺が出発のあいさつをすれば、
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
と、大声援で応えてくれた。
クラングランシャリオのリーダーは、誰もが知るマエストロこと、
英雄ローラン様なのだが……
たった16歳のガキである俺が、ローラン様の意向で、
「リーダー代行を任されている」と、村民たちには映ったようである。
俺は単純だから、そう思うと、顔に出る。
にこにこにこにこしてしまう。
そして、そして!
大歓声は否が応でも、モチベーションが上がる。
背中を ぐいぐいっと押されてしまう。
俺は嬉しくて、思いっきり手を打ち振る。
ローラン様以下、他のクランメンバーも同じく手を打ち振った。
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
大歓声は更に大きくなった。
そんなこんなで行進を続け、俺たちは村の正門へ近づいた。
物見やぐらの自警団員は、「村外に敵影なし!」と叫び、
大きく手を打ち振っている。
俺の勘働きスキル――索敵にも敵の反応はない。
安全確認は終了。
出撃に全く問題なし。
声を張り上げる俺。
「正門を開けてくださ~いっっ!!!」
そんな俺の声に応えるように、
ぎいいいいいいいいっっ!!
ときしむ音を立てながら、正門が大きく開かれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ローラン様の調査報告書に添付されていた地図に、村周辺の探索の際、
修正や気が付いた事を、こまめに書き込みをしていた俺。
当然地図には、ゴブリンの本拠である巣穴の位置も記載されており、
俺は暇さえあれば、地図を念入りに見て、村周辺の地形をほぼ記憶してしまった。
なのでクランを先導する俺は、所持をしている地図をいちいち見なくとも、
クランメンバーを『巣穴』へ導く事が可能だ。
更に俺は、軽度の威圧スキルを発しながら露払いしているので、
牽制された形の狼や熊などの肉食獣も俺たちへ近づこうとしない。
そして!そして!
あれだけ村の周辺に跋扈していたゴブリンどもも、一体も見かけない。
やはり総数を大幅に減らしているのだろう。
という事で、俺たちは何者の邪魔もなく、巣穴へ接近する事が出来た。
ローラン様の調査報告書にあった通り、巣穴は自然に出来た洞窟である。
調査員は、さすがに奥まで入ってはないらしいが、
奥は相当深いらしいと記載されていた。
ゴブリンの姿は、洞窟の入り口近くにはない。
ただ、逃げ出したというわけでもないみたいだ。
俺の勘働きスキル――索敵には、わずかだが奴らの気配を感じるから。
ここでローラン様が言う。
「エルヴェ、作戦開始だ。例のものを使え」
「了解です。じゃあ、フェルナンさんと行って来ます。……フェルナンさん、行きますよ」
「お、おう」
こうして……
俺とフェルナンさんは、気配を殺し、静かにゆっくりと洞窟へ近づいたのである。
合わせて計8時間仮眠した我がグランシャリオの面々。
本当は、ちゃんと8時間通しで眠った方が健康に良いのかもしれない。
まあ他のメンバーの事は知らないが、少なくとも俺は元気いっぱい。
眠気など、微塵もない。
とにかく、この依頼を完遂したら、王都へ戻りホテルでぐっすり眠るとしよう。
そして新居探しを始め、やる事がやまほどもある。
いろいろとなにかにつけて大変だし、時間と手間もかかるだろうが、
大いに楽しみだ。
宿舎の外に出てみれば、俺たちが起きた事を知り、
村民たちがすぐ、作ってあったらしい朝兼用のお昼ご飯を運んで来てくれた。
ありがたいなあと、改めて俺が見やれば、村の全員に近いであろう、
大勢の村民たちが集まっていた。
俺たち同様、彼ら彼女たちも半徹夜明けなのに、とても張り切っている。
村に害為すゴブリンを大半倒したから、明日への、そして将来への希望が見え、
モチベーションが上がっているのだろう。
俺たちは金で雇われた第三者だが、その気持ちは良く分かるし、
自分の事のように嬉しい。
このように依頼先の人が喜ぶのは、冒険者をやっていて、
本当に良かったと思える瞬間である。
やりがいって、こういう事を言うんだろうなあ。
さてさて!
食事は、パンに野菜のスープ、紅茶というシンプルなものだが、
戦いに臨むにあたり、満腹やもたれる料理は良くない。
かといって空腹では参ってしまうし、軽く腹へ入れておく程度がベストだ。
食事をしてから、さくさくっと身支度し、村民たちの前でパフォーマンスも兼ね、
準備運動に、ストレッチを行った。
そんな俺たちを村民たちは、頼もしそうに見つめていた。
奴らの本拠『巣穴攻略戦』に関しては、ローラン様の立案したある作戦で行く。
その作戦もあり、この強力メンバーを考えると、
今回は正直、余裕で勝てる相手だ。
まあ、勝って兜の緒を締めよで、相手がゴブリンといえど、
油断だけは絶対にしないけど。
そんなこんなで、時間はお昼の12時を過ぎた。
さあ!
出発の時間である。
フォーメーションは一番最初の村周辺探索時と変わらない。
俺とフェルナンさんが先鋒。
シャルロットが中堅。
ローラン様とバスチアンさんが、シャルロットの護衛と、先鋒への援護。
セレスさん、クリスさんが後方で支援役。……こういう並び。
「では! 行って参ります!」
俺が出発のあいさつをすれば、
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
と、大声援で応えてくれた。
クラングランシャリオのリーダーは、誰もが知るマエストロこと、
英雄ローラン様なのだが……
たった16歳のガキである俺が、ローラン様の意向で、
「リーダー代行を任されている」と、村民たちには映ったようである。
俺は単純だから、そう思うと、顔に出る。
にこにこにこにこしてしまう。
そして、そして!
大歓声は否が応でも、モチベーションが上がる。
背中を ぐいぐいっと押されてしまう。
俺は嬉しくて、思いっきり手を打ち振る。
ローラン様以下、他のクランメンバーも同じく手を打ち振った。
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
うおおおおおおっ!!!
大歓声は更に大きくなった。
そんなこんなで行進を続け、俺たちは村の正門へ近づいた。
物見やぐらの自警団員は、「村外に敵影なし!」と叫び、
大きく手を打ち振っている。
俺の勘働きスキル――索敵にも敵の反応はない。
安全確認は終了。
出撃に全く問題なし。
声を張り上げる俺。
「正門を開けてくださ~いっっ!!!」
そんな俺の声に応えるように、
ぎいいいいいいいいっっ!!
ときしむ音を立てながら、正門が大きく開かれたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ローラン様の調査報告書に添付されていた地図に、村周辺の探索の際、
修正や気が付いた事を、こまめに書き込みをしていた俺。
当然地図には、ゴブリンの本拠である巣穴の位置も記載されており、
俺は暇さえあれば、地図を念入りに見て、村周辺の地形をほぼ記憶してしまった。
なのでクランを先導する俺は、所持をしている地図をいちいち見なくとも、
クランメンバーを『巣穴』へ導く事が可能だ。
更に俺は、軽度の威圧スキルを発しながら露払いしているので、
牽制された形の狼や熊などの肉食獣も俺たちへ近づこうとしない。
そして!そして!
あれだけ村の周辺に跋扈していたゴブリンどもも、一体も見かけない。
やはり総数を大幅に減らしているのだろう。
という事で、俺たちは何者の邪魔もなく、巣穴へ接近する事が出来た。
ローラン様の調査報告書にあった通り、巣穴は自然に出来た洞窟である。
調査員は、さすがに奥まで入ってはないらしいが、
奥は相当深いらしいと記載されていた。
ゴブリンの姿は、洞窟の入り口近くにはない。
ただ、逃げ出したというわけでもないみたいだ。
俺の勘働きスキル――索敵には、わずかだが奴らの気配を感じるから。
ここでローラン様が言う。
「エルヴェ、作戦開始だ。例のものを使え」
「了解です。じゃあ、フェルナンさんと行って来ます。……フェルナンさん、行きますよ」
「お、おう」
こうして……
俺とフェルナンさんは、気配を殺し、静かにゆっくりと洞窟へ近づいたのである。
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