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第124話「とりあえず、村の周囲をうろつくゴブリンを減らしておいた方が、賢明でしょう。ウチの新人たちも、張り切っていますしね」
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王都を出発して3日後の午後早め、予定の時刻よりやや早く、
アングラ―ド侯爵の領村シュエットに到着した。
王国の町や村は、小規模ながら王都と同様、防護壁に守られている。
この村も例外ではなく、丸太を組んだ簡素な防護壁に囲まれていた。
御者台に陣取るバスチアンさんが声を張り上げる。
隣に居るのは俺だ。
フェルナンさんと交代で、御者台に座っている。
俺とフェルナンさんは乗馬は出来るが、御者としての腕はまだまだだ。
いずれはバスチアンさんの代わりに御者を務める事となるだろう。
「お~い。アングラ―ド侯爵閣下から、ゴブリン討伐依頼を受けたクラン、グランシャリオだ。周囲の安全は確認済みである。開門をお願いしたい」
クラングランシャリオ、イコール、魔王討伐を成し遂げた英雄、
マエストロのローラン様……という事はスフェール王国民なら、誰でも知っている。
以前王都で、ローラン様の名を語った偽物が居たが、市中引き回しの上、
見せしめの極刑に処せられた。
なので、それ以降厳罰を怖れ、偽者は現れない。
こちらが赴く話も通っているらしく、物見やぐらに陣取る門番役らしき村人が、
歓喜の表情を浮かべ、
「おお! ようこそいらしゃいました! しばし、お待ちくださいっ! 村長を呼んで参りますっ!」
と答え、物見やぐらを降りて行った。
それから数分経ち、村の正門は軋みながら、ゆっくりと開かれて行った。
「門番殿、開門、かたじけない。失礼するぞ」
バスチアンさんはそう言い、馬車を村内へ乗り入れる。
村内は王都と基本的には同じ構造だ。
正門の少し行った先、真ん中に中央広場を配置し、そこから放射線状に道が延び、
道の周辺に建物があるのだ。
門番さんが触れ回ったらしく、中央広場には結構な数の村民が集まっていた。
ひとり恰幅の良い人が居るが、俺の勘働きスキルで分かった、この人が村長らしい。
その中央広場へ、馬車は停まった。
まずは御者台からバスチアンさんが、続いて俺が降りた。
「新人1号! いや、エルヴェだったな。馬車の扉を開けてくれや」
あはは、この人、たま~に、俺を研修時のように呼ぶ。
わざと新人1号と呼ぶのは、親しみを込めてだと分かる。
こういう時、真面目で、がち誇り高い人は、
「違います! 俺は新人1号ではありません! エルヴェ・アルノーです!」
と、生意気に言い返すが、俺はそんな事全くナッシング。
「了解っす!」
と快諾OKして、馬車の扉までダッシュ。
扉をぎいっと、開けた。
扉が開き、すたたっと、ローラン様が降り立った。
ローラン様が降り立つと同時に、
おおおおおおおお!!!
おおおおおおおお!!!
おおおおおおおお!!!
と、憧れと歓喜に満ちた大きな声があがったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ローラン様に続き、セレスさん、クリスさん、
シャルロットにフェルナンさんも降り立った。
これで新生グランシャリオのメンバー全員だ。
村民たちの中から、村長さんが歩いて来て、俺たちへ近寄って来た。
村長さん、俺たちへ深く一礼し、声を張り上げる。
「ロ、ローラン様! グランシャリオの皆様がた! ようこそ! 我がシュエット村へ、いらしゃいました! わ、私が村長のアンベールでございます!」
やはりというか、英雄ローラン様の前では誰もが緊張する。
このシュエット村の村長も例外ではなかった。
対してローラン様は、
「お出迎え感謝致しますぞ、アンベール村長。馬車をしまい、馬をいたわり、荷物を運んだら、早速付近を巡回し、跋扈するゴブリンどもを討伐します」
前もって打合せした作戦通りのコメントである。
そもそもゴブリンは夜行性。
これまたローラン様が調べ上げた、本拠地の『巣穴』に半分以上が眠っている。
夜がふけぬうちに、周囲のゴブリンを掃討しておき、確実に総数を減らすのだ。
しかし、びっくり仰天したのは、村長のアンベールさんだ。
「えええ!!?? 王都から遠路はるばるいらっしゃったのに、お休みにならないのですか? 今夜はローラン様たちの歓迎会を予定しておりましたが……」
うん、まあ、アルベール村長の言う事はもっともだ。
3日間かけて来た俺たちへ、いきなり働け!と言う方が、
微妙でいかがなものかである。
だが、ローラン様はにっこりと微笑み、
「とりあえず、村の周囲をうろつくゴブリンを減らしておいた方が、賢明でしょう。ウチの新人たちも、張り切っていますしね」
と、俺たちへ話を振って来たので、
「はい! 少しでも早くこの村の皆様が安心して暮らせるよう、頑張ります」
「はい! 頑張ります!」
「任せてください!」
と、シャルロット、フェルナンさんとともに、笑顔で言葉を返したのである。
アングラ―ド侯爵の領村シュエットに到着した。
王国の町や村は、小規模ながら王都と同様、防護壁に守られている。
この村も例外ではなく、丸太を組んだ簡素な防護壁に囲まれていた。
御者台に陣取るバスチアンさんが声を張り上げる。
隣に居るのは俺だ。
フェルナンさんと交代で、御者台に座っている。
俺とフェルナンさんは乗馬は出来るが、御者としての腕はまだまだだ。
いずれはバスチアンさんの代わりに御者を務める事となるだろう。
「お~い。アングラ―ド侯爵閣下から、ゴブリン討伐依頼を受けたクラン、グランシャリオだ。周囲の安全は確認済みである。開門をお願いしたい」
クラングランシャリオ、イコール、魔王討伐を成し遂げた英雄、
マエストロのローラン様……という事はスフェール王国民なら、誰でも知っている。
以前王都で、ローラン様の名を語った偽物が居たが、市中引き回しの上、
見せしめの極刑に処せられた。
なので、それ以降厳罰を怖れ、偽者は現れない。
こちらが赴く話も通っているらしく、物見やぐらに陣取る門番役らしき村人が、
歓喜の表情を浮かべ、
「おお! ようこそいらしゃいました! しばし、お待ちくださいっ! 村長を呼んで参りますっ!」
と答え、物見やぐらを降りて行った。
それから数分経ち、村の正門は軋みながら、ゆっくりと開かれて行った。
「門番殿、開門、かたじけない。失礼するぞ」
バスチアンさんはそう言い、馬車を村内へ乗り入れる。
村内は王都と基本的には同じ構造だ。
正門の少し行った先、真ん中に中央広場を配置し、そこから放射線状に道が延び、
道の周辺に建物があるのだ。
門番さんが触れ回ったらしく、中央広場には結構な数の村民が集まっていた。
ひとり恰幅の良い人が居るが、俺の勘働きスキルで分かった、この人が村長らしい。
その中央広場へ、馬車は停まった。
まずは御者台からバスチアンさんが、続いて俺が降りた。
「新人1号! いや、エルヴェだったな。馬車の扉を開けてくれや」
あはは、この人、たま~に、俺を研修時のように呼ぶ。
わざと新人1号と呼ぶのは、親しみを込めてだと分かる。
こういう時、真面目で、がち誇り高い人は、
「違います! 俺は新人1号ではありません! エルヴェ・アルノーです!」
と、生意気に言い返すが、俺はそんな事全くナッシング。
「了解っす!」
と快諾OKして、馬車の扉までダッシュ。
扉をぎいっと、開けた。
扉が開き、すたたっと、ローラン様が降り立った。
ローラン様が降り立つと同時に、
おおおおおおおお!!!
おおおおおおおお!!!
おおおおおおおお!!!
と、憧れと歓喜に満ちた大きな声があがったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ローラン様に続き、セレスさん、クリスさん、
シャルロットにフェルナンさんも降り立った。
これで新生グランシャリオのメンバー全員だ。
村民たちの中から、村長さんが歩いて来て、俺たちへ近寄って来た。
村長さん、俺たちへ深く一礼し、声を張り上げる。
「ロ、ローラン様! グランシャリオの皆様がた! ようこそ! 我がシュエット村へ、いらしゃいました! わ、私が村長のアンベールでございます!」
やはりというか、英雄ローラン様の前では誰もが緊張する。
このシュエット村の村長も例外ではなかった。
対してローラン様は、
「お出迎え感謝致しますぞ、アンベール村長。馬車をしまい、馬をいたわり、荷物を運んだら、早速付近を巡回し、跋扈するゴブリンどもを討伐します」
前もって打合せした作戦通りのコメントである。
そもそもゴブリンは夜行性。
これまたローラン様が調べ上げた、本拠地の『巣穴』に半分以上が眠っている。
夜がふけぬうちに、周囲のゴブリンを掃討しておき、確実に総数を減らすのだ。
しかし、びっくり仰天したのは、村長のアンベールさんだ。
「えええ!!?? 王都から遠路はるばるいらっしゃったのに、お休みにならないのですか? 今夜はローラン様たちの歓迎会を予定しておりましたが……」
うん、まあ、アルベール村長の言う事はもっともだ。
3日間かけて来た俺たちへ、いきなり働け!と言う方が、
微妙でいかがなものかである。
だが、ローラン様はにっこりと微笑み、
「とりあえず、村の周囲をうろつくゴブリンを減らしておいた方が、賢明でしょう。ウチの新人たちも、張り切っていますしね」
と、俺たちへ話を振って来たので、
「はい! 少しでも早くこの村の皆様が安心して暮らせるよう、頑張ります」
「はい! 頑張ります!」
「任せてください!」
と、シャルロット、フェルナンさんとともに、笑顔で言葉を返したのである。
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