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第123話「いわば、戦いなれた相手だ」
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ホテルで行われた新人入団発表会見が終了して、早速翌日に、
アングラ―ド侯爵から、グランシャリオ宛で、ゴブリン討伐の指名依頼があったと、
ギルドから連絡が入った。
俺たち新人3人が加わり、更に強固となった、
グランシャリオの実力を思い知ったのと、
多分、ローラン様の気が変わらないうちに、
ゴブリン討伐を依頼してしまおうと、考えたに違いない。
一方、こちらは準備万端。
スタンバイ状態だったので、折り返し受諾の連絡をギルドへ入れ、
すぐ出発する事となった。
ちなみに、突入の日から、ず~っとアングラ―ド侯爵家には監視の目を入れている。
勿論、ローラン様の手配だ。
具体的な方法、どこの誰へ依頼しているかなど、詳細は述べられないが、
アングラ―ド侯爵家の中と外から見張らせているらしい。
それらの報告によれば、今のところ怪しい動きはない。
アングラ―ド侯爵は使用人経由で、指名依頼書と前払いの保証金を持参したし、
息子のウジューヌは、部屋に引きこもっているそうだ。
俺たちが、アングラ―ド侯爵の領村へ出発してからも、
魔法鳩便で報せてくれるという。
念の為、ブラントーム伯爵邸の警備は厳重に。
オレリアさんの護衛は、女子騎士を含め、10名をつけるという徹底ぶりだ。
世に中に絶対はないが、これで、フェルナンさんも安心して任務にとりかかれる。
さてさて!
詳細入りの依頼書が冒険者ギルドから届いたので、全員で確認する。
ローラン様の事前調査と付け合わせも。
概要はこうだ。
王都から、馬車で3日かかるアングラ―ド侯爵家の領村。
村から少し離れた渓谷の洞穴にゴブリン数百体が住み着き、
毎夜村を襲っているという。
ゴブリンの襲撃に不慣れだった最初に結構な犠牲者が出た。
そんな村の惨状をアングラ―ド侯爵はしばらく放置していたらしい。
侯爵いはく、
「ゴブリンはそのうち、どこかへ行ってしまうだろうと思い、静観した。そこまで被害が出るとは思わなかった」との事。
たくさん犠牲者が出ているのに放置とは呆れてしまう。
まさにウジューヌみたいな馬鹿息子にして、この鬼畜父親ありだ。
そしてアングラ―ド侯爵からの依頼書と、ローラン様の調査書には、
いくつか相違があった。
最も違っていたのは、ゴブリンの見込み数だ。
アングラ―ド侯爵の依頼書には、約100体とある。
しかし、ローラン様の調査書には数百体。
これは間違いがないらしい。
ローラン様によれば、アングラ―ド侯爵は敢えて数を少なく申告してごまかし、
「それだけの数なので、問題にならないと思った」
……みたいなふざけた言い訳をするのでは……との事だったが、
やはりそうだった。
当然ながら、俺たち全員は「ふざけるな」とお怒りモード。
何それ、せっけえ。
とんでもなく、こっすい。
父親の方が、少しはましかと思ったが、やっぱとんでもねえ。
そうこうしているうちに、準備は整い……
俺たちグランシャリオの7人は馬車で出発したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
依頼書が来る前に、ローラン様の調査書をもとに、作戦は充分に練った。
しかし、現地へ到着するまで馬車で3日かかる。
作戦を復習するには、たっぷりと時間はある。
今回作戦を立案したのは、ローラン様。
そして今回のゴブリン討伐は、俺たち新人3人にとっては、
グランシャリオにおけるデビュー戦。
既に指示が出ているのだが、俺たち新人3人が中心となり、
ローラン様、バスチアンさん、セレスさん、クリスさんがバックアップする形。
村へ到着したら、まずは周辺の探索を行い、跋扈するゴブリンどもを討伐する。
その際、本来はふたてに分かれるが、初回という事で、7人全員で討伐を行う。
相手がゴブリンやオークなら、研修を行ったヴィクトワール訓練場で散々戦った。
いわば、戦いなれた相手だ。
まあ油断は大敵だし、ゴブリン数百体は強敵だが、
魔法や威圧のスキルを駆使して戦えば、おくれを取る事はないだろう。
ちなみに装備は研修時とほぼ同じ。
全員が革鎧と革兜を装着。
武器はといえば、俺は雷撃剣とこん棒に風の魔法杖。
シャルロットは、雷撃小剣に風の魔法杖。
フェルナンさんは雷撃剣に風の魔法杖。
ゴブリンどもは火を怖れるが、敢えて火属性の魔法は使わない。
研修時と同じく風の魔法杖使用なのは、火属性魔法が飛び火し、
村近辺での火災による延焼を防ぐ為だ。
「新人諸君、状況や環境など条件は多少違うが、ゴブリンが相手なら、研修時の訓練と同じだ。臆する事は全くないぞ」
最後にローラン様の言葉を拝聴し、俺たち3人は気合を入れ直したのである。
アングラ―ド侯爵から、グランシャリオ宛で、ゴブリン討伐の指名依頼があったと、
ギルドから連絡が入った。
俺たち新人3人が加わり、更に強固となった、
グランシャリオの実力を思い知ったのと、
多分、ローラン様の気が変わらないうちに、
ゴブリン討伐を依頼してしまおうと、考えたに違いない。
一方、こちらは準備万端。
スタンバイ状態だったので、折り返し受諾の連絡をギルドへ入れ、
すぐ出発する事となった。
ちなみに、突入の日から、ず~っとアングラ―ド侯爵家には監視の目を入れている。
勿論、ローラン様の手配だ。
具体的な方法、どこの誰へ依頼しているかなど、詳細は述べられないが、
アングラ―ド侯爵家の中と外から見張らせているらしい。
それらの報告によれば、今のところ怪しい動きはない。
アングラ―ド侯爵は使用人経由で、指名依頼書と前払いの保証金を持参したし、
息子のウジューヌは、部屋に引きこもっているそうだ。
俺たちが、アングラ―ド侯爵の領村へ出発してからも、
魔法鳩便で報せてくれるという。
念の為、ブラントーム伯爵邸の警備は厳重に。
オレリアさんの護衛は、女子騎士を含め、10名をつけるという徹底ぶりだ。
世に中に絶対はないが、これで、フェルナンさんも安心して任務にとりかかれる。
さてさて!
詳細入りの依頼書が冒険者ギルドから届いたので、全員で確認する。
ローラン様の事前調査と付け合わせも。
概要はこうだ。
王都から、馬車で3日かかるアングラ―ド侯爵家の領村。
村から少し離れた渓谷の洞穴にゴブリン数百体が住み着き、
毎夜村を襲っているという。
ゴブリンの襲撃に不慣れだった最初に結構な犠牲者が出た。
そんな村の惨状をアングラ―ド侯爵はしばらく放置していたらしい。
侯爵いはく、
「ゴブリンはそのうち、どこかへ行ってしまうだろうと思い、静観した。そこまで被害が出るとは思わなかった」との事。
たくさん犠牲者が出ているのに放置とは呆れてしまう。
まさにウジューヌみたいな馬鹿息子にして、この鬼畜父親ありだ。
そしてアングラ―ド侯爵からの依頼書と、ローラン様の調査書には、
いくつか相違があった。
最も違っていたのは、ゴブリンの見込み数だ。
アングラ―ド侯爵の依頼書には、約100体とある。
しかし、ローラン様の調査書には数百体。
これは間違いがないらしい。
ローラン様によれば、アングラ―ド侯爵は敢えて数を少なく申告してごまかし、
「それだけの数なので、問題にならないと思った」
……みたいなふざけた言い訳をするのでは……との事だったが、
やはりそうだった。
当然ながら、俺たち全員は「ふざけるな」とお怒りモード。
何それ、せっけえ。
とんでもなく、こっすい。
父親の方が、少しはましかと思ったが、やっぱとんでもねえ。
そうこうしているうちに、準備は整い……
俺たちグランシャリオの7人は馬車で出発したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
依頼書が来る前に、ローラン様の調査書をもとに、作戦は充分に練った。
しかし、現地へ到着するまで馬車で3日かかる。
作戦を復習するには、たっぷりと時間はある。
今回作戦を立案したのは、ローラン様。
そして今回のゴブリン討伐は、俺たち新人3人にとっては、
グランシャリオにおけるデビュー戦。
既に指示が出ているのだが、俺たち新人3人が中心となり、
ローラン様、バスチアンさん、セレスさん、クリスさんがバックアップする形。
村へ到着したら、まずは周辺の探索を行い、跋扈するゴブリンどもを討伐する。
その際、本来はふたてに分かれるが、初回という事で、7人全員で討伐を行う。
相手がゴブリンやオークなら、研修を行ったヴィクトワール訓練場で散々戦った。
いわば、戦いなれた相手だ。
まあ油断は大敵だし、ゴブリン数百体は強敵だが、
魔法や威圧のスキルを駆使して戦えば、おくれを取る事はないだろう。
ちなみに装備は研修時とほぼ同じ。
全員が革鎧と革兜を装着。
武器はといえば、俺は雷撃剣とこん棒に風の魔法杖。
シャルロットは、雷撃小剣に風の魔法杖。
フェルナンさんは雷撃剣に風の魔法杖。
ゴブリンどもは火を怖れるが、敢えて火属性の魔法は使わない。
研修時と同じく風の魔法杖使用なのは、火属性魔法が飛び火し、
村近辺での火災による延焼を防ぐ為だ。
「新人諸君、状況や環境など条件は多少違うが、ゴブリンが相手なら、研修時の訓練と同じだ。臆する事は全くないぞ」
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