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第118話「賢明な判断が出来るなら、アングラ―ド侯爵は息子を廃嫡し、勘当するでしょうが、まず無理でしょうね」
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俺たちを乗せた馬車は、
無事、ブラントーム伯爵邸へ戻った
正門を開けて貰い、玄関前に乗り付け、馬車から降り立つと……
結果が気になったのだろう。
玄関前でず~っと待ち続けていたのだろうか、
フェルナンさん、オレリアさんがすっ飛んで来た。
俺たちが戻るのを、今か今かと、待っていたんだろうなあ。
なので、ふたりの気持ちはすっごく分かる。
と思って、俺が見守っていたら、
「ローラン様!」
「いかがでしたでしょうか!」
あいさつもせず、ローラン様へ身を乗り出して迫るフェルナンさん、オレリアさん。
さすがに両名の父がたしなめる。
「こらこらお前たち!」
「まずは、ローラン様をいたわる事が先だろうが!」
父親から叱られ、しゅんとするふたり。
「も、申し訳ございません!」
「し、失礼いたしました!」
「ははははは! よいよい、無理もないさ」
ここで、ローラン様の笑い声が響く。
フェルナンさん、オレリアさんの気持ちを理解しているようで、
自分への無礼など、全く意に介していないようだ。
ほんと優しいなあ、ローラン様は。
うつむくふたりへ、ローラン様は言う。
「フェルナン、オレリア殿、100%安心しろとは言えないが、話はつけて来たぞ」
「え? 本当ですか? ローラン様」
「100%安心ではないとは、どういう事でしょうか?」
「うむ、君たちの質問に答えよう。アングラ―ド侯爵家と話をつけて来たというのは本当だ。そして100%安心ではないというのは、まだ諦めていない愚か者が居るから、油断は禁物という事だよ」
同行した俺にはすぐに分かる。
ローラン様は簡潔に、分かりやすく話をしてくれたし。
しかし、フェルナンさん、オレリアさんは、考えが及ばないみたいだ。
「ええっと……」
「それは、どういう事でしょうか?」
ローラン様、フェルナンさん、オレリアさん、
そしてブラントーム伯爵、バシュレ子爵の6人の会話を聞き、俺は思った。
取り急ぎという感じで、ローラン様が対応したが、
この場でこのまま立ち話を続けるのもいかがなものか。
護衛や使用人たちの目や耳がある。
守秘義務契約があるから、内容は漏れないと思うが、万が一の場合だってある。
とりあえず、やりとりを中断し、話し合う人数を絞り、
詳しい話を、屋内でした方がよろしいだろう。
なので俺は言う。
ひとつの提案を。
「皆様、立ち話もなんですから、邸内へ入りませんか」
するとローラン様もすぐ反応。
「うむ、エルヴェの言う通りだ。詳しい話は中でしようか」
そう言って、柔らかく微笑んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ブラントーム伯爵邸の客間では、シャルロットが、
そしてバスチアンさん、セレスさん、クリスさんも待っていた。
俺たちが部屋へ入ると一斉に立ち上がり、
まずは、ブラントーム伯爵、バシュレ子爵、ローラン様へ、
「お疲れ様でした」と、声をかけ、
そして最後に、俺をねぎらってくれた。
本来なら、ローラン様へ一番最初に声をかけるところだが、
今回の案件の内容と経緯、自分たちの立場と身分を考え、
ブラントーム伯爵、バシュレ子爵へ気をつかったと分かった。
大人の対応って、事だろうなあ。
さてさて!
全員揃ったので、早速打合せをする事に。
話をするのは、ローラン様。
アングラ―ド侯爵親子をたしなめて、サイン入りの念書を交わしたと言い、
実物を見せる。
ちなみにサインは親子の連名。
同じものをアングラ―ド侯爵も持っている。
ブラントーム伯爵家、バシュレ子爵家、クラン・グランシャリオ、
関係者に対し、
アングラ―ド侯爵家関係者全員の、公的な行事、業務、場以外での接近禁止。
同じく、嫌がらせ等迷惑行為、その教唆の禁止。
同じく、根も葉もない風評被害の流布、その教唆の禁止。
などなど、いくつかの事例を挙げ、破った場合、いかなる罰則も受け入れますという強硬なもの。
こんな条件をアングラ―ド侯爵が了解したのは、
やはり国王陛下と宰相のお墨付きがあっての事。
そして、魔王を討伐したローラン様の力も大きい。
また、普通に接する分には、何の支障もないからでもある。
落としどころとして、グランシャリオが、
アングラ―ド侯爵家領のゴブリン退治を引き受ける事で、
一応の決着はしたと告げた。
だが、100%安心出来ないというのは、息子のウジューヌが、
常識的な判断が出来ない『無敵の人』だという危惧である。
ここで俺が、スキル勘働きを使った、アングラ―ド侯爵親子の心情を報告。
以上を鑑みて、ローラン様の最終判断。
「多分、アングラ―ド侯爵は、息子ウジューヌを止める事は出来ないでしょう」
更にこうも付け加える。
「賢明な判断が出来るなら、アングラ―ド侯爵は息子を廃嫡し、勘当するでしょうが、まず無理でしょうね」
そして最後に、
「私の手の者が引き続き、アングラ―ド侯爵家の監視と、情報収集にあたります。皆さんは身の回りに充分注意し、護衛の数も増やすようにしてください」
ローラン様は、最悪の事態を想定するよう、全員へ告げたのである。
無事、ブラントーム伯爵邸へ戻った
正門を開けて貰い、玄関前に乗り付け、馬車から降り立つと……
結果が気になったのだろう。
玄関前でず~っと待ち続けていたのだろうか、
フェルナンさん、オレリアさんがすっ飛んで来た。
俺たちが戻るのを、今か今かと、待っていたんだろうなあ。
なので、ふたりの気持ちはすっごく分かる。
と思って、俺が見守っていたら、
「ローラン様!」
「いかがでしたでしょうか!」
あいさつもせず、ローラン様へ身を乗り出して迫るフェルナンさん、オレリアさん。
さすがに両名の父がたしなめる。
「こらこらお前たち!」
「まずは、ローラン様をいたわる事が先だろうが!」
父親から叱られ、しゅんとするふたり。
「も、申し訳ございません!」
「し、失礼いたしました!」
「ははははは! よいよい、無理もないさ」
ここで、ローラン様の笑い声が響く。
フェルナンさん、オレリアさんの気持ちを理解しているようで、
自分への無礼など、全く意に介していないようだ。
ほんと優しいなあ、ローラン様は。
うつむくふたりへ、ローラン様は言う。
「フェルナン、オレリア殿、100%安心しろとは言えないが、話はつけて来たぞ」
「え? 本当ですか? ローラン様」
「100%安心ではないとは、どういう事でしょうか?」
「うむ、君たちの質問に答えよう。アングラ―ド侯爵家と話をつけて来たというのは本当だ。そして100%安心ではないというのは、まだ諦めていない愚か者が居るから、油断は禁物という事だよ」
同行した俺にはすぐに分かる。
ローラン様は簡潔に、分かりやすく話をしてくれたし。
しかし、フェルナンさん、オレリアさんは、考えが及ばないみたいだ。
「ええっと……」
「それは、どういう事でしょうか?」
ローラン様、フェルナンさん、オレリアさん、
そしてブラントーム伯爵、バシュレ子爵の6人の会話を聞き、俺は思った。
取り急ぎという感じで、ローラン様が対応したが、
この場でこのまま立ち話を続けるのもいかがなものか。
護衛や使用人たちの目や耳がある。
守秘義務契約があるから、内容は漏れないと思うが、万が一の場合だってある。
とりあえず、やりとりを中断し、話し合う人数を絞り、
詳しい話を、屋内でした方がよろしいだろう。
なので俺は言う。
ひとつの提案を。
「皆様、立ち話もなんですから、邸内へ入りませんか」
するとローラン様もすぐ反応。
「うむ、エルヴェの言う通りだ。詳しい話は中でしようか」
そう言って、柔らかく微笑んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ブラントーム伯爵邸の客間では、シャルロットが、
そしてバスチアンさん、セレスさん、クリスさんも待っていた。
俺たちが部屋へ入ると一斉に立ち上がり、
まずは、ブラントーム伯爵、バシュレ子爵、ローラン様へ、
「お疲れ様でした」と、声をかけ、
そして最後に、俺をねぎらってくれた。
本来なら、ローラン様へ一番最初に声をかけるところだが、
今回の案件の内容と経緯、自分たちの立場と身分を考え、
ブラントーム伯爵、バシュレ子爵へ気をつかったと分かった。
大人の対応って、事だろうなあ。
さてさて!
全員揃ったので、早速打合せをする事に。
話をするのは、ローラン様。
アングラ―ド侯爵親子をたしなめて、サイン入りの念書を交わしたと言い、
実物を見せる。
ちなみにサインは親子の連名。
同じものをアングラ―ド侯爵も持っている。
ブラントーム伯爵家、バシュレ子爵家、クラン・グランシャリオ、
関係者に対し、
アングラ―ド侯爵家関係者全員の、公的な行事、業務、場以外での接近禁止。
同じく、嫌がらせ等迷惑行為、その教唆の禁止。
同じく、根も葉もない風評被害の流布、その教唆の禁止。
などなど、いくつかの事例を挙げ、破った場合、いかなる罰則も受け入れますという強硬なもの。
こんな条件をアングラ―ド侯爵が了解したのは、
やはり国王陛下と宰相のお墨付きがあっての事。
そして、魔王を討伐したローラン様の力も大きい。
また、普通に接する分には、何の支障もないからでもある。
落としどころとして、グランシャリオが、
アングラ―ド侯爵家領のゴブリン退治を引き受ける事で、
一応の決着はしたと告げた。
だが、100%安心出来ないというのは、息子のウジューヌが、
常識的な判断が出来ない『無敵の人』だという危惧である。
ここで俺が、スキル勘働きを使った、アングラ―ド侯爵親子の心情を報告。
以上を鑑みて、ローラン様の最終判断。
「多分、アングラ―ド侯爵は、息子ウジューヌを止める事は出来ないでしょう」
更にこうも付け加える。
「賢明な判断が出来るなら、アングラ―ド侯爵は息子を廃嫡し、勘当するでしょうが、まず無理でしょうね」
そして最後に、
「私の手の者が引き続き、アングラ―ド侯爵家の監視と、情報収集にあたります。皆さんは身の回りに充分注意し、護衛の数も増やすようにしてください」
ローラン様は、最悪の事態を想定するよう、全員へ告げたのである。
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