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第89話「せっかく同期の固い絆を結んだのだ。 これからも一緒に助け合いながらやって行きたい」
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とんとんとん!
部屋へ入って、荷物をかたずけていると、ノックがあった。
誰?と聞くまでもない。
いつもの癖……勘働き――索敵で誰なのかは分かっていた。
当然、我が彼女シャルロット・ブランシュさんである。
ここで、俺なりに自分の中で、けじめをつける。
今まで2歳年上だし、さん付けしていたのだが、
本人の希望もあるので、シャルロットと呼んで行く事にした。
で、話を戻せば、ノックを聞いただけでいきなり、
「シャルロットだろ?」と言うのも何だし、
「は~い、誰?」
と一応、リアクションの言葉を戻せば、いつもの通り可愛い声が返って来る。
「私よお♡ エルくうん♡ シャルロットで~す♡ 片付けは済んだ?」
「ああ、シャルロットか。今やってるよ。カギはかかっていないから、遠慮なく入っておいで」
そう言うと、待ってましたとばかりに、扉がばん!と開き、
シャルロットが勢いよく部屋へ飛び込んで来た。
そして部屋の隅で荷物を片付ける俺を見て猛ダッシュ。
「エルくううううんんん♡♡♡♡♡」
そして俺にがっし!と抱き着き、ちゅ!ちゅ!ちゅ!っと、熱烈なキス。
うお!
いくら研修が終わった解放感があるからって、いきなり激しくないか?
と思いつつもしばらく、イチャイチャ。
しかし、いつまでもそうしていられない。
1時間後に階上の展望レストランでフェルナンさんと待ち合わせ。
打ち上げを行うから。
という事でシャワーを浴び、平服のブリオーに着替えた。
ああ、念の為……
シャルロットと一緒にシャワーを浴びたりはしない、各部屋で別々に浴びた。
そんな事をすれば、イチャイチャが再発し、遅刻してしまうから。
ちなみに、ローラン様からは、このホテルの展望レストランは、
カジュアルな服装でもOKだと教えて貰っている。
レストランの飲食費も自由に使って良い、ルームサービスもOKだと言われている。
30分と少し後、今度は俺が部屋へシャルロットを迎えに行き、
一緒に会場のレストランへ行く。
現在、待ち合わせ時間の10分前。
レストランのスタッフへ伝えると、フェルナンさんは先に来て着席し、待っていた。
そこへ俺とシャルロットも合流し、着席。
マグジョッキ入りのエールを頼み、全員で乾杯をする。
我がスフェール王国は、16歳から飲酒がOK。
なので、問題ナッシングだ。
料理はアラカルトで好きなものをオーダーする。
どれも美味しそうだ。
酒が回り、食が進むと……会話が弾んで来る。
まずは研修中の苦労話。
そして各自が得た結果について。
フェルナンさんが3年前に指名された人から話を聞き、
グランシャリオは地獄の研修を行うとの事だったが、俺はさほど大変ではなかった。
仮所属のシーニュ時代に受けた『虐待』の方が、とんでもなく酷い。
そして会話の内容は、各々の契約の可否、将来への希望と不安についてへと、
移行したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
自然と話題の中心は俺となった。
口火を切ったのは、シャルロットである。
「ねえねえ! エル君はもう本契約確定よね!」
すかさずフェルナンさんが追随する。
「そうだなあ、エルヴェ君は、なんたって、全属性魔法使用者だ! その他にもいろいろな魔法が使えるし、剣技、格闘技の強さも申し分ないぞ!」
褒められるのは嬉しいけど……驕らず、誇らずが俺のモットー。
偉そうにするのは愚の骨頂である。
「いやいや、もっともっと全てにおいて、ビルドアップしたいですよ。希望を言えれば、もう少し長く研修をやりたかった」
そんな俺のコメントを聞き、ふたりの同期は、
「あんな研修はもうまっぴらだ。二度とやりたくない!」
そう言うかと思いきや、違った。
「確かに! エル君に同意だわ。もしもあのままローラン様たちから指導を受けたら、更に自分の力が引き出せたかも!」
うんうん!
新たな能力を開花させ、火と風の複数属性魔法使用者となった、
シャルロットの言葉には重みがある。
再び、フェルナンさんが追随する。
「おお、だな! 俺もバスチアンさんとマンツーマンで指導して貰い、みっちり鍛えて貰った! まさか、あそこまで剣技を磨いて貰えるとは思わなかったよ!」
うんうん!
俺も全くの同意だ。
「ああ、ローラン様たちには、俺たちの隠された能力を思いっきり引き出せて貰えた。まさかこの俺が魔法を使えると思わなかったし、ましてや全属性魔法使用者なんて、今でも信じられないよ」
自分の言葉通りだと思う。
この俺が世界でも稀有な存在、全属性魔法使用者なんて、
今でも本当に信じられない。
ここでフェルナンさんが言う。
「俺さ、もしグランシャリオの本契約が取れなくても、冒険者として、他のクランでやれる自信がついたよ」
するとシャルロットも、
「ええ、私もよ。もしもグランシャリオの本契約が取れなくても、魔法使いとして、他のクランでやれる自信がついたわ」
そう言い、俺をじ~っと見つめて来た。
うお!
分かっていながらも、どきっとしてしまった。
研修前の俺は、ただただグランシャリオの本契約を勝ち取りたいとしか、
頭になかった。
しかし今はステディーな関係となったシャルロットが居る。
伯爵令嬢彼女との結婚を成就してあげたいフェルナンさんが居る。
せっかく同期の固い絆を結んだのだ。
これからも一緒に助け合いながらやって行きたい。
なので、こう言うしかない。
「3人一緒に本契約を勝ち取れるよう、祈願し、改めて乾杯しましょう!」
俺の申し出に、シャルロット、フェルナンさんが同意。
「本契約ゲット祈願に乾杯!」
「「乾杯!」」
ちいいいいん!!
ホテルのレストランに、3つの陶器製マグカップが合わさる音が、
大きく響いたのである。
部屋へ入って、荷物をかたずけていると、ノックがあった。
誰?と聞くまでもない。
いつもの癖……勘働き――索敵で誰なのかは分かっていた。
当然、我が彼女シャルロット・ブランシュさんである。
ここで、俺なりに自分の中で、けじめをつける。
今まで2歳年上だし、さん付けしていたのだが、
本人の希望もあるので、シャルロットと呼んで行く事にした。
で、話を戻せば、ノックを聞いただけでいきなり、
「シャルロットだろ?」と言うのも何だし、
「は~い、誰?」
と一応、リアクションの言葉を戻せば、いつもの通り可愛い声が返って来る。
「私よお♡ エルくうん♡ シャルロットで~す♡ 片付けは済んだ?」
「ああ、シャルロットか。今やってるよ。カギはかかっていないから、遠慮なく入っておいで」
そう言うと、待ってましたとばかりに、扉がばん!と開き、
シャルロットが勢いよく部屋へ飛び込んで来た。
そして部屋の隅で荷物を片付ける俺を見て猛ダッシュ。
「エルくううううんんん♡♡♡♡♡」
そして俺にがっし!と抱き着き、ちゅ!ちゅ!ちゅ!っと、熱烈なキス。
うお!
いくら研修が終わった解放感があるからって、いきなり激しくないか?
と思いつつもしばらく、イチャイチャ。
しかし、いつまでもそうしていられない。
1時間後に階上の展望レストランでフェルナンさんと待ち合わせ。
打ち上げを行うから。
という事でシャワーを浴び、平服のブリオーに着替えた。
ああ、念の為……
シャルロットと一緒にシャワーを浴びたりはしない、各部屋で別々に浴びた。
そんな事をすれば、イチャイチャが再発し、遅刻してしまうから。
ちなみに、ローラン様からは、このホテルの展望レストランは、
カジュアルな服装でもOKだと教えて貰っている。
レストランの飲食費も自由に使って良い、ルームサービスもOKだと言われている。
30分と少し後、今度は俺が部屋へシャルロットを迎えに行き、
一緒に会場のレストランへ行く。
現在、待ち合わせ時間の10分前。
レストランのスタッフへ伝えると、フェルナンさんは先に来て着席し、待っていた。
そこへ俺とシャルロットも合流し、着席。
マグジョッキ入りのエールを頼み、全員で乾杯をする。
我がスフェール王国は、16歳から飲酒がOK。
なので、問題ナッシングだ。
料理はアラカルトで好きなものをオーダーする。
どれも美味しそうだ。
酒が回り、食が進むと……会話が弾んで来る。
まずは研修中の苦労話。
そして各自が得た結果について。
フェルナンさんが3年前に指名された人から話を聞き、
グランシャリオは地獄の研修を行うとの事だったが、俺はさほど大変ではなかった。
仮所属のシーニュ時代に受けた『虐待』の方が、とんでもなく酷い。
そして会話の内容は、各々の契約の可否、将来への希望と不安についてへと、
移行したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
自然と話題の中心は俺となった。
口火を切ったのは、シャルロットである。
「ねえねえ! エル君はもう本契約確定よね!」
すかさずフェルナンさんが追随する。
「そうだなあ、エルヴェ君は、なんたって、全属性魔法使用者だ! その他にもいろいろな魔法が使えるし、剣技、格闘技の強さも申し分ないぞ!」
褒められるのは嬉しいけど……驕らず、誇らずが俺のモットー。
偉そうにするのは愚の骨頂である。
「いやいや、もっともっと全てにおいて、ビルドアップしたいですよ。希望を言えれば、もう少し長く研修をやりたかった」
そんな俺のコメントを聞き、ふたりの同期は、
「あんな研修はもうまっぴらだ。二度とやりたくない!」
そう言うかと思いきや、違った。
「確かに! エル君に同意だわ。もしもあのままローラン様たちから指導を受けたら、更に自分の力が引き出せたかも!」
うんうん!
新たな能力を開花させ、火と風の複数属性魔法使用者となった、
シャルロットの言葉には重みがある。
再び、フェルナンさんが追随する。
「おお、だな! 俺もバスチアンさんとマンツーマンで指導して貰い、みっちり鍛えて貰った! まさか、あそこまで剣技を磨いて貰えるとは思わなかったよ!」
うんうん!
俺も全くの同意だ。
「ああ、ローラン様たちには、俺たちの隠された能力を思いっきり引き出せて貰えた。まさかこの俺が魔法を使えると思わなかったし、ましてや全属性魔法使用者なんて、今でも信じられないよ」
自分の言葉通りだと思う。
この俺が世界でも稀有な存在、全属性魔法使用者なんて、
今でも本当に信じられない。
ここでフェルナンさんが言う。
「俺さ、もしグランシャリオの本契約が取れなくても、冒険者として、他のクランでやれる自信がついたよ」
するとシャルロットも、
「ええ、私もよ。もしもグランシャリオの本契約が取れなくても、魔法使いとして、他のクランでやれる自信がついたわ」
そう言い、俺をじ~っと見つめて来た。
うお!
分かっていながらも、どきっとしてしまった。
研修前の俺は、ただただグランシャリオの本契約を勝ち取りたいとしか、
頭になかった。
しかし今はステディーな関係となったシャルロットが居る。
伯爵令嬢彼女との結婚を成就してあげたいフェルナンさんが居る。
せっかく同期の固い絆を結んだのだ。
これからも一緒に助け合いながらやって行きたい。
なので、こう言うしかない。
「3人一緒に本契約を勝ち取れるよう、祈願し、改めて乾杯しましょう!」
俺の申し出に、シャルロット、フェルナンさんが同意。
「本契約ゲット祈願に乾杯!」
「「乾杯!」」
ちいいいいん!!
ホテルのレストランに、3つの陶器製マグカップが合わさる音が、
大きく響いたのである。
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