冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第88話「同期の絆を深める事を優先しよう」

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……その後も与えられた課題を順調に消化し、原野で行われた研修は終了。

これで10日間にわたって行われた、俺たち3人の、
クラングランシャリオ新人研修が終わったのである。

結局俺は、火属性魔法の火弾、火壁を習得。
更に勢いに乗り、魔王杖を使い、地属性魔法の岩弾、地壁も習得。

何と!何と!何と! 世界において稀有な存在、
全属性魔法使用者オールラウンダーとなってしまったのだ。

これは超の付く大衝撃!!!

ローラン様でさえ、全属性魔法使用者オールラウンダーではない。

まあ、強さはまだまだ及ばないが、俺はまだ16歳。

「エルヴェ君の、のびしろは無限大だな」と、ローラン様始め、
クランメンバー全員にも褒められてしまったので、夢と期待に胸は大きく膨らむ。

地属性魔法習得後、まだまだ時間があったので、
各属性魔法を磨いても良かったが……

セレスさんがぜひにと手本を見せ、『鎮静』を教えてくれたので、
これも習得する事が出来た。

ここまでくればもう大丈夫。

全属性魔法使用者オールラウンダーであり、他にもいろいろ魔法が使え、
腕っぷしも立つ魔法剣士ならば、クラン・グランシャリオとは、本契約が締結出来るだろう。

もしくは先述したが、万に一つ、ダメだとしても、
どこへ行ってもやっていけると断言出来る。

そして俺以外の新人はといえば……
シャルロットさんは、従来の火属性に加え、風属性の魔法が行使可能な、
複数属性魔法使用者マルチプルとなって、
回復魔法も行使出来るようになり……こちらも確定に近い合格ライン。

フェルナンさんも、バスチアンさんのしごきにより、
魔物恐怖症を完全に克服、剣技と格闘技の腕も著しく上がった。
身体機能を抜きに剣技のみで言えば、
バスチアンさんとほぼ互角に戦えるようになったという。
複数属性魔法使用者マルチプルのシャルロットさんほどではないが、
こちらもまずまず合格ライン。

さてさて!
午後3時過ぎとなり…… 
片づけをして、各自が2台の馬車に分乗、王都へ戻る事となった。

分乗の内訳は、行きとほとんど変わらない。

1台目がバスチアンさんを御者として、俺たち新人3人が客室に。

2台目がクリスさんを御者にし、ローラン様、セレスさんが客室に。

来るときは一緒だったセレスさんだけが、2台目の馬車へ移ったのである。

というわけで……
俺たち新人だけが乗る馬車の車内は、気楽でかしましい。

3人の表情は全員明るい。

本契約の可能性に手ごたえを感じているだけではない。
全力を尽くし、やりとげたという達成感に満ちているから。

この10日間で俺たち3人には確固たる同期の絆が生まれた。
今後の人生で助け合って行こうと約束したのだ。 

とりあえずフェルナンさんの彼女さんの件に関して、
王都に戻ったら、相談の上、全力で対処しようと話したのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

……それから馬車に揺られ、王都に戻ったら、夜になっていた。

さすがに超一流クランのグランシャリオ。

どこかの腐れクランのように、俺たち新人をぽいっとゴミリリースなどしない。

それどころか、冒険者ギルド系列の高級ホテルに3泊部屋を取ってくれていたのだ。

ホテルに到着し、自分の荷物をおろすと、ローラン様が、指示を出してくれる。

「新人諸君、10日間の研修、お疲れ様。さて、今後の予定だが、一旦この場で解散だ」

一旦解散?
じゃあ、その後は?

と思ったら、ローラン様が説明を続けてくれる。

「でだ、宿泊費と食事代は全て当クラン持ちで、今夜からこのホテルに各自、部屋を3泊4日分押さえてある。今日明日はホテルでゆっくり休んでくれたまえ」

えええ!?
全てグランシャリオの料金持ちで、ゆっくりホテルで静養してくれって?
至れり尽くせりで素敵じゃないか!!

「王都内であれば外出も自由だ。但し、明後日は、まる一日このホテル内に居てくれないか。本契約の可否に関し、各部屋で我々から詳しい話をさせて貰う」

成る程。
今夜と明日は完全休養で王都内であれば外出は自由。

明後日に本契約がどうなるのか、通達があるから、ホテルで待機。

3泊4日の残りもう1日は、契約相談の予備日って事か?

でもほんの少しだけ、がっかり。
ローラン様たち、俺たち新人と一緒に打ち上げとか、やってくれないんだな。

つらつら考える俺。

ローラン様の説明を聞き、いくつか不明点があったので、
俺たち3人から質問が出され、質疑応答が為された。

質疑応答終了後、チェックインの手続きもしてくれて、
ローラン様たちはあっさり引き揚げて行った。

「はあ~、とりあえず、研修だけは無事に終わったか! みんな、お疲れさん!」

大きくのびをし、声を張り上げたのは、フェルナンさんである。

「うふふ♡ そうね♡ 無事に終わって、お疲れ様だね♡」

と言い、笑顔で俺にぴたっと身体をすり寄せて来たのは、シャルロットさんだ。

ええっと、ここは俺が仕切ればい良いのかな?

「シャルロット、フェルナンさん、とりあえず、荷物を持って部屋へ行き、落ち着いたら、ホテルのレストランで3人一緒で晩飯にしましょうか。全員の打ち上げを兼ねてお祝いしましょう」

え?
シャルロットさんと抜け出して、デートしないのかって?

いやいや!
ここでシャルロットさんとふたりきりで、打ち上げとかはしない。

そんな事をするのは、利己主義の外道で鬼畜野郎だ。

俺はそこまで空気よみ人知らずではないし、シャルロットさんとは今後、
いくらでもデート出来るから。

打ち上げはフェルナンさんも入れ3人一緒、
同期の絆を深める事を優先しようと思う。

こうして……俺たちはフロントへ頼み、ポーターさんに荷物を運んで貰い、
部屋へ入ったのである。
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