冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第87話「温かく癒され、満足し、頷いた俺はさっと手を挙げた」

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勢いよく放たれた計10発の火球は、標的とした大岩のど真ん中へ、
見事に命中していた。

よし!
いきなり、ぶっつけで『火弾』成功!

これで、風、水、火、属性魔法を3つ習得したぞ!

希少価値ある3つの属性魔法を使いこなす、
複数属性魔法使用者マルチプル魔法剣士確定だあ!

思わず俺は、高々と手を挙げ、ガッツポーズ。

ここでシャルロットさんが猛ダッシュ!

俺にがっしと抱き着いた。

「す、凄いよ! 凄いよ! 凄すぎるよお!! エルくうん!!!」

おいおいおい、研修中だぞ、不謹慎だと言われそうと思いつつ、
シャルロットさんを片手で優しく抱きしめた。

そう、これは感謝のしるし

シャルロットさんの火弾が良い手本になったから、
俺はスムーズに習得する事が出来たと思う。

そう言えば、女性慣れしている先輩が言っていたっけ。

こういう場合、黙っていても分かるよな?とか、そういう無言はNGだと。

はっきりとした言葉に表して感謝を伝えなきゃダメなんだって。

なので俺は言う。

「本当にありがとう、シャルロット。たった1回の発動で成功したのは、お前の素晴らしい手本のお陰だ」

そう言うと、凄く嬉しかったらしく、シャルロットさんは号泣。

「うわあああんん!!! エルくううんん!!!」

俺は挙げていた片手を下げ、泣きじゃくる彼女の頭をなでなでしてあげた。

「良かったな、お前も火弾が合格して」

と言ったら、しゃくりあげながら「うんうん」って頷いてた。

ここで、セレスさんが乱入。

シャルロットさんの傍に立った。

「うふふふふ♡ こういう時にぴったりの、ベストな魔法を教えてあげるう♡」

こういう時にぴったりのベストな魔法?
それを教えていただけるんですか?

俺とシャルロットさんの見つめる中、セレスさんの言霊が響いている。

「よっし! ふたりまとめて、いっくわよお! ビナー、ゲブラー、……………………………鎮静!」

「鎮静!」という、決めの言霊詠唱の瞬間。

セレスさんの手がピカピカっと光った。

そして放たれた光は、シャルロットさんの身体を包み、更に俺の身体をも包んだ。

あ、ああ、温かい! こ、この光は!?
心と身体がすっごく癒される!!

これが鎮静の魔法の威力……なのか。

そ、そうだ!
シャルロットは?

いつの間にか、泣き声が聞こえないけど……

俺が見やれば……
シャルロットさんは泣き止み、微笑んでいるではないか。

もろ、泣いたカラスがもう笑っただよ。

思わずセレスさんを見ればどや顔全開である。

「うふふ♡ どう? 鎮静の魔法はね、気持ちを落ち着かせたり、気つけの効果もあるのよ」

へえ、話には聞いていたけど、鎮静の魔法って凄いや。
これなら、ミランダの超絶ヒステリーもすぐ収まるかもしれないな。

セレスさんいはく、後は眠らされている仲間を目覚めさせたり、
恐怖とか、混乱にも効果があるらしいから、使い勝手も良いみたいだ。

という事で、シャルロットさんが落ち着いたので、訓練は再開されたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

俺は火弾を100発放ち、改めて火属性魔法習得が確定。

その間、シャルロットさんは魔力ポーションを飲みつつ、休憩する。

……しばしの休憩後、シャルロットさんは再始動、

呼吸法、精神集中&均衡化、体内魔力活性化、言霊詠唱、発動という流れ。

うん、これって合理的で上手い方法だ。

シャルロットさんの試験を行いながら、同時に俺の魔法習得の訓練にもなるから。

さっすがローラン様。

そんな事をつらつら考えていると、シャルロットさんは火属性魔法『火壁』を発動。

「行きます! ビナー、ゲブラー、……………………………火壁!」

シャルロットさんの凛とした言霊詠唱が終わると……火壁が発動!

100mほど先の岩だらけの原野に、
高さ3mくらいの燃え盛る炎の壁が、ぼうううっ!と現れた

この火壁は、敵の攻撃を阻む防御機能だけではなく、
敵中に設定し、ダメージを与える事も可能である。

火を嫌う魔物は勿論、不死者アンデッドにも有効なのが嬉しい。

という事で、先ほど習得した火弾と同じパターンで、
俺は火壁を習得すべく、シャルロットさんが発動した火壁をじぃ~っと観察する。

うん!
手ごたえがある。

心の中でイメージが火壁の構築されて行く……

よし!
火弾の時よりも、更に上手く行きそうだ。

ちなみに火壁は、火弾より魔力を喰うらしい。

結局、約50回の発動で、魔力ポーションによる魔力補給が行われる事に。

笑顔のセレスさんから俺は、魔力ポーションを渡され、
それをシャルロットさんへ渡すと、
彼女はお約束の可憐なポーズで、くいっ、くいっと飲み干している。

おお、相変わらず可愛い!!

温かく癒され、満足し、頷いた俺はさっと手を挙げた。

火壁発動、スタンバイOKの合図である。

それを見たローラン様からGOが出る。

「うむ、エルヴェ君、準備は出来たようだな、火壁を発動してくれたまえ」

「了解です!」

俺は心の中のイメージを具現化するような感覚で、

火壁!と念じる。

するとすると!

ごおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!

先ほどシャルロットさんが発動したのと同じように、100m離れた場所へ、
吹き上げる高さ10m以上の凄まじい猛炎が立ち上ったのである。
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