冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!

東導 号

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第73話「どうりで、魔王軍の不死者どもを軽く蹴散らしたわけだ」

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俺の右手からは風弾、左手からは水弾を連射!
オークどもの群れへ、容赦なく撃ち込んだ。

風弾、水弾は、当然オークどもへ命中。

ぶしゃっ! ぶしゃっ! ぶしゃっ! ぶしゃっ! ぶしゃっ!
ぶしゃっ! ぶしゃっ! ぶしゃっ! ぶしゃっ! ぶしゃっ!

奴らの身体は、俺の攻撃魔法をまともに受け、あっさりと破砕された。

撃ち込んだのは、計10発の攻撃魔法。

少し離れた場所からでも分かる。

オークどもは、俺の風弾、水弾を受け、とんでもない事になっていた。

撃たれた肉体は原型をとどめておらず、肉塊、肉片となり、
不気味な青い血をまき散らしていたのだ。

当然、倒された全てが絶命していた。

仲間を倒された、残りのオークは大混乱。

何が起こったか、分からないのか、何をしたら分からないのか、
意味もなく右往左往している。

いつもなら、ここで間を置かず、攻め込むのが上策。

混乱するオークどもから抵抗、反撃が来ず、
一方的に、たやすく残りを討ち取れるからだ。

しかし、俺は攻撃せずに自重。
そのままオークどもを敢えて見守った。

撃ち放った風弾、水弾の威力はどれくらいなのかを、
しっかりと見届けたかったからだ。

ちなみに、風弾、水弾はフルパワーで撃ってはいない。

拳でパンチや蹴り同様、肉体に込める力で加減するように、
魔力も加減した。

ざっと、フルで10のうち、3分程度というところ。

しかし、相手がオークでも、これくらいで肉体をほぼ粉砕出来るのなら、
更なる強敵ともわたりあえる。
1分、2分でも戦闘不能や致命傷を与える事が可能だろう。

そこまで威力を見極めてから、俺は残りのオークを討つ事にした。

俺は剣を抜き、ダッシュ!
まだ混乱しているオークどもへ肉薄する。

改めて見やれば、生き残りは10体。

うち、戦闘可能な個体は9体。
ダメージを受け、倒れてもがく1体は、
1発の風弾、もしくは水弾に2体貫かれた際、死にきれず地へ伏したようだ。

ここでも俺は、試してみたい戦い方がある。

まずは剣でオークの首をすぱ~ん!と斬り飛ばし、
混乱からようやく立ち直り、向かって来る1体の腹へ、
至近距離から瞬時に風弾を撃ち込む。

ぶしゃっ! と腹へ風穴が開くオーク。

そんな俺を背後から襲おうとした1体へ、振り向かず、
これまた瞬時に、水弾を撃ち込む。

ど、ばっ!

高圧化した水の塊が、オークを破砕した音が聞こえた。

これで3体を倒し、残りは、死にかけ状態を入れ、7体。

更に俺は、同じように剣で1体を斬り捨て、今度は正面から2体を同時に倒した。

改めて俺は、風弾、水弾を同時に撃つ事が可能なのだと実感する。

更に3体を倒し、残りは4体。

ここまで来ると、生き残りのオークどもは、さすがに逃げ腰となった。

恐怖心を持たないスライムや昆虫系の魔物とは違い、
ゴブリン、オークどもは、低能ながら、知性がある。

動ける3体は、俺をかなわぬ相手と見たのか、
戦闘不能となった仲間を見捨て、逃げ出そうとした。

しかし俺は、敵を見逃すような、
甘っちょろい、ベビーフェイスキャラ善役ではない。

俺は、生き残る事が第一モットーの冒険者であり、
見えた勝機はしっかりつかみ、勝てる時に勝つ。

素早く納剣した俺は、背を向け、逃げるオーク3体を容赦なく、
風弾、水弾、風弾と撃ち倒す。

そして、死にきれずもがいている最後のオークを見下ろし、
これまた容赦なく、どかん!と踏み殺したのである。

こうして、オークども20体は俺ひとりの手により、あっさりと全滅したのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

石畳に散らばる、オークどものしかばね

子供のように目をキラキラさせ、
ローラン様が嬉しそうに笑みを浮かべ、近寄って来た。

ああ、ローラン様、良いリアクション。

俺の戦いぶりに満足してくれたらしい。

ホッと安堵。

俺はふうと、軽く息を吐き、ローラン様へ言う。

「という事で、剣、魔法を織り交ぜ、オークどもを倒しましたよ、ローラン様、いかがでしょうか?」

「うむっ! 素晴らしい! 異なる属性攻撃魔法をほぼ同時に撃つとは驚いたぞ! 文句なく合格だな。そしてエルヴェ君の戦い方は、バランスが良い」

おおっと!
褒められたというか、ローラン様に大絶賛された。

超が付く高評価は素直に嬉しい。
やる気が更にみなぎって来る!

「ありがとうございます! ローラン様! 次はもっと拳、蹴りなど格闘も入れたいと思います」

「ふむ、結構。そうだ、回復役のセレスが居たら、基本的には彼女に処理して貰うところだが、試してみるかい?」

「え? 試すとは? どういう意味でしょう?」

「うむ、倒したオークどもの死骸の処理だ」

「死骸の処理……ですか?」

「ああ、この訓練場には、肉食獣の狼や熊も居るから、倒した魔物の死骸は喰われてなくなる。だが、そういう掃除役が居ない場合、不死アンデッド化する恐れがあるのさ」

「た、確かに」

補足しよう。

アンデッドとは、アンつまり否定、デッドつまり死という言葉が合わさっている事から分かる通り……
過去に生命体であったものが、既に生命力が失われているにもかかわらず活動する、超自然的な存在の総称である。

不死化する理由は様々だが、超自然的になるもの、
魔法や呪術等、第三者の意図的な方法でなるものに分けられる。

代表的なアンデッドとしては、ゾンビ、スケルトン、ミイラ、吸血鬼などだ。

例外はなくはないが、大抵のアンデッドは人間を害するおぞましい敵となる。

「倒したオークどもの、不死アンデッド化防止の処理とは、もしかして、魔法を使うのですか?」

「ああ、そうさ。私も不死化防止の葬送魔法を使う。そもそもセレスのような、まあ彼女はもとだが、創世神教会の司祭が得意とする魔法だよ」

再び、補足しよう。

葬送魔法とは、不死者の依り代となる屍を塵としたり、屍に宿る邪悪な魂を浄化し、
天や地の底へ送る魔法である。

そっか。
ローラン様は、葬送魔法も使うんだ。

どうりで、魔王軍の不死者どもを軽く蹴散らしたわけだ。

ふんふんと聞いていたら、ハッと我へ返った。

えええ!
この俺が、葬送魔法を習得するのか?

確かに葬送魔法が使えれば、不死者とは優位に戦えるけど。

そうなったら、凄く嬉しい!

「エルヴェ君、いきなり行使するのは、さすがの君でも難しいかもしれない。だが、私が葬送魔法を行使するのを良~く見ておくんだ」

そう言うと、ローラン様の手は、まぶしく輝き出したのである。
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