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第32話「私のスケジュールに関し、申し上げます!」
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お互いに本気を出さず、一進一退の攻防が続いたが……
長年の修行の成果なのか、
やがて……
ベアトリスとバジルの組手が終わった。
表向きは『引き分け』というところ。
ロゼールはじっとふたりを観察。
特にバジルの攻防の一連の流れを凝視していた。
ここで組手の相手が交代となり、ベアトリスの指示で、
ロゼールとバジルが組手を行う。
先ほど同様、お互いに向き合い、礼をした後、
組手は始まった。
早速!
バジルは、容赦なくびしばしと打ち込んで来る。
先ほどのベアトリスとの組手の時より本気度は上だ。
対して、ロゼールは前半、防御に徹する。
打たれても、蹴られても躱し、大きなダメージを喰らわないようにし、
当たったら、何とか耐えた。
そんなロゼールの様子を見て、
ベアトリスのいらいらの波動が伝わって来る。
自分が大いに見込んだロゼールが攻めないのがもどかしいのだ。
これは性格に起因する事も大きいであろう。
良く言えば、ベアトリスは攻撃の一手。
攻撃は最大の防御なりを地で行く。
もしくは肉を切らせて骨を断つ。
というタイプなのだ。
これ以上、いらいらさせるとまずいか!
ロゼールは反撃する事にした。
かと言っても、基本こちらからは攻めない。
カウンターを狙うのだ。
バジルの動きの癖はつかんだ。
次回対戦の時は修正されるかもしれないが。
攻撃の時に作る溜めの癖をロゼールは見抜いた。
そして、動く瞬間に放つオーラ。
ロゼールは魔法使いではない。
だが騎士隊の指導教官に素質を
つまり相手が放つ魔力を感知して、動きを先読み出来るのだ。
察知して対応するまでに、わずかな時間しかない。
だが、ロゼールの飛び抜けた運動神経、反射神経が、カウンター攻撃を可能にした。
バジルが拳を打つ。
ロゼールが躱し、わずかなスキを狙って逆に打ち込む。
バジルが蹴りを放つ。
ロゼールが避け、わずかなスキを狙って逆に打ち込む。
しかし、バジルも結構な達人である。
巧みに防御する。
だが!
ロゼールはその上を行った。
ずっと観察していたから、防御の癖もつかんでいたのである。
結果、カウンター攻撃は3回に1回の割合で有効に打ち込む事が出来た。
ロゼールの『善戦』に、ベアトリスは大喜び。
ふたりの戦いを夢中になって見つめていた。
そろそろ頃合いだろう。
時間も迫っている。
午前7時から、使用人の朝礼があるはずだ。
ここで、ロゼールは「ぱっ!」と飛び退った。
すかさず、両手をバンザイするポーズで掲げる。
ロゼールの『降参』ポーズを見て、
バジルはふっと笑い、攻めるのはやめた。
そろそろ時間切れというロゼールの意を汲んだのであろう。
そして、
「ほう! ロゼ様は素晴らしい素質をお持ちだ。私の攻撃を半分見切っていた、そして防御もですね」
バジルの笑顔が、手ごたえを感じたという苦笑へと変わっていた。
そしてベアトリスも賛辞の言葉を送って来る。
「さすがね、ロゼ。私とバジルの戦いを見て、双方の癖を見て、憶えたわね」
対してロゼールは、
「恐縮です」
としか答えなかった。
どうやら、奥の手の魔力感知……『先読み』は見抜かれなかったようであった。
ロゼールはベアトリスへ、
「ベアーテ様」
「ん? 何?」
「私のスケジュールに関し、申し上げます! もう6時40分を過ぎました。速攻で着替え、バジル様のお部屋……家令室で行う午前7時開始の使用人の朝礼に出たいと思いますが」
「うふふ、良いんじゃない。今後はもう少し早起きして、訓練をやりましょうね。武器を使った訓練がなく組手だけでは、凄く欲求不満になるし、全然、物足りないわ」
「了解致しました! では、この場を失礼し、部屋へ戻って構いませんか?」
「ええ、大丈夫よ」
と言ったベアトリスは、バジルに向き直る。
「と、いう事で、ロゼをお前達使用人の朝礼に出します。但し、明日以降、朝礼に毎日出すのかは要検討とするわ」
「は! かしこまりました!」
バジルが直立不動で返事をした瞬間!
ロゼールも直立不動!
びしっ! と敬礼。
「ベアーテ様! 一旦、失礼致します! では後ほどっ!」
と声を張り上げ、回れ右。
本館へ向かい、ダッシュ!
全速力で、駆け出していたのである。
長年の修行の成果なのか、
やがて……
ベアトリスとバジルの組手が終わった。
表向きは『引き分け』というところ。
ロゼールはじっとふたりを観察。
特にバジルの攻防の一連の流れを凝視していた。
ここで組手の相手が交代となり、ベアトリスの指示で、
ロゼールとバジルが組手を行う。
先ほど同様、お互いに向き合い、礼をした後、
組手は始まった。
早速!
バジルは、容赦なくびしばしと打ち込んで来る。
先ほどのベアトリスとの組手の時より本気度は上だ。
対して、ロゼールは前半、防御に徹する。
打たれても、蹴られても躱し、大きなダメージを喰らわないようにし、
当たったら、何とか耐えた。
そんなロゼールの様子を見て、
ベアトリスのいらいらの波動が伝わって来る。
自分が大いに見込んだロゼールが攻めないのがもどかしいのだ。
これは性格に起因する事も大きいであろう。
良く言えば、ベアトリスは攻撃の一手。
攻撃は最大の防御なりを地で行く。
もしくは肉を切らせて骨を断つ。
というタイプなのだ。
これ以上、いらいらさせるとまずいか!
ロゼールは反撃する事にした。
かと言っても、基本こちらからは攻めない。
カウンターを狙うのだ。
バジルの動きの癖はつかんだ。
次回対戦の時は修正されるかもしれないが。
攻撃の時に作る溜めの癖をロゼールは見抜いた。
そして、動く瞬間に放つオーラ。
ロゼールは魔法使いではない。
だが騎士隊の指導教官に素質を
つまり相手が放つ魔力を感知して、動きを先読み出来るのだ。
察知して対応するまでに、わずかな時間しかない。
だが、ロゼールの飛び抜けた運動神経、反射神経が、カウンター攻撃を可能にした。
バジルが拳を打つ。
ロゼールが躱し、わずかなスキを狙って逆に打ち込む。
バジルが蹴りを放つ。
ロゼールが避け、わずかなスキを狙って逆に打ち込む。
しかし、バジルも結構な達人である。
巧みに防御する。
だが!
ロゼールはその上を行った。
ずっと観察していたから、防御の癖もつかんでいたのである。
結果、カウンター攻撃は3回に1回の割合で有効に打ち込む事が出来た。
ロゼールの『善戦』に、ベアトリスは大喜び。
ふたりの戦いを夢中になって見つめていた。
そろそろ頃合いだろう。
時間も迫っている。
午前7時から、使用人の朝礼があるはずだ。
ここで、ロゼールは「ぱっ!」と飛び退った。
すかさず、両手をバンザイするポーズで掲げる。
ロゼールの『降参』ポーズを見て、
バジルはふっと笑い、攻めるのはやめた。
そろそろ時間切れというロゼールの意を汲んだのであろう。
そして、
「ほう! ロゼ様は素晴らしい素質をお持ちだ。私の攻撃を半分見切っていた、そして防御もですね」
バジルの笑顔が、手ごたえを感じたという苦笑へと変わっていた。
そしてベアトリスも賛辞の言葉を送って来る。
「さすがね、ロゼ。私とバジルの戦いを見て、双方の癖を見て、憶えたわね」
対してロゼールは、
「恐縮です」
としか答えなかった。
どうやら、奥の手の魔力感知……『先読み』は見抜かれなかったようであった。
ロゼールはベアトリスへ、
「ベアーテ様」
「ん? 何?」
「私のスケジュールに関し、申し上げます! もう6時40分を過ぎました。速攻で着替え、バジル様のお部屋……家令室で行う午前7時開始の使用人の朝礼に出たいと思いますが」
「うふふ、良いんじゃない。今後はもう少し早起きして、訓練をやりましょうね。武器を使った訓練がなく組手だけでは、凄く欲求不満になるし、全然、物足りないわ」
「了解致しました! では、この場を失礼し、部屋へ戻って構いませんか?」
「ええ、大丈夫よ」
と言ったベアトリスは、バジルに向き直る。
「と、いう事で、ロゼをお前達使用人の朝礼に出します。但し、明日以降、朝礼に毎日出すのかは要検討とするわ」
「は! かしこまりました!」
バジルが直立不動で返事をした瞬間!
ロゼールも直立不動!
びしっ! と敬礼。
「ベアーテ様! 一旦、失礼致します! では後ほどっ!」
と声を張り上げ、回れ右。
本館へ向かい、ダッシュ!
全速力で、駆け出していたのである。
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