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第199話「決戦!」
しおりを挟む エドヴァルド父が竜化したと思われる、黄金の竜が俺をじっと見つめる。
そして巨大な口の奥から、聞き覚えのある声が響く。
「トール、俺に跨《またが》るが良い」
ああ、これは間違いなくエドヴァルド父の声だ。
凄く厳か、加えてエコーまで掛かっているが……
「旦那様、お父さん……」
戦闘に参加出来ないジュリアは、残念そうに唇を噛み締めている。
と、その時!
「来たぞ! 東だ!」
アモンの鋭い声が飛ぶ。
東方の空が、真っ黒になっている。
いよいよ、竜の大群が姿を見せたのだ。
アモンが、いきなり背中から巨大な黒い翼を出して上昇する。
悪魔独特の形状をしたあの翼だ。
すると、シュルヴェステル様もふわりと飛び上がる。
こちらは、無詠唱で発動した飛翔の魔法であろう。
嫁ズ達も気を取り直したジュリアの指示で配置につき、防御魔法発動の準備をする。
俺はエドヴァルド父の背に跨り、嫁ズに手を振ると空高く上昇して行った。
先行するシュルヴェステル様とアモンが、これからの攻め方を確認している。
『おい、アモン、我々が先陣として露払いをしようか』
『OK! アールヴ、了解だ。トール、構わないな?』
後方を進む俺へ、念話で攻め方を打診して来たシュルヴェステル様とアモン。
俺は問題無いと即座にOKを出す。
『助かる! じゃあ俺達はピンポイントで古代竜ヴェルザデーデを叩く。タイマン勝負だ』
古代竜ヴェルザデーデ……
それが敵の首魁の名だ。
エドヴァルド父10名の配下のうち、索敵に長けた1名が奴の魔力波《オーラ》をキャッチしたのである。
戦う相手が単に古代竜としか分からないので、俺は泥縄的にエドヴァルド父に質問した。
「親父さん、そのヴェル何とかってどんな敵なんだ?」
「ああ、俺と同じくらいの強さを持つ古代竜だ。元々、俺達と古代竜の祖先は同じだった。ある竜の兄弟のうち、兄が創世神様の祝福を受け、弟は受けなかった。それ以来、奴等は俺達を目の敵にしている」
何だ!
敵対心って、元々兄弟間の嫉妬なんだ、それ!
でも神の祝福ありと無しじゃあ、天と地の差なんだろうなぁ……
「俺達は数え切れないくらい休戦を申し入れたが、相手は聞き入れてくれなかった。そのうち奴等は他の竜族を纏め上げ、我々竜神族に限らず、創世神様と人への憎悪も増して行ったのだ」
「竜神族は平和の為にやるだけの事はやった! という事ですね……」
「うむ、そうだ! おお、見ろ、トール! ア、アモンが完全に悪魔化するぞ!」
エドヴァルド父が驚きの声を上げ、周囲の竜神族の部下達が緊張する気配が伝わって来た。
俺がアモンを見ると、今迄人間の風貌をしていた彼の身体が一気に大きくなって行く。
そして巨大な梟の頭部と禍々しい翼の生えた狼の胴体、そして蛇の尾というアモン本来の姿になったのである。
やっぱり……悪魔の姿は人間を戦慄させる。
一瞬だけど、ぞくぞくっと来たもの。
まあ彼の中身を知る俺には関係ないけど。
一方、並んで飛翔しているシュルヴェステル様に臆した所は全くない。
それどころか、にっこりと笑って手を振っているのである。
まるで悪魔など……見慣れていると、言うようだ。
さあ、戦う準備も完了し、もう竜の大群は目の前。
中二病である、今の俺の気分はそう!
僅かな人数で、数万の最上軍と戦った、戦国時代のカブキ者、前田慶次である。
敵の先陣は、と見ると二足竜の大群であった。
こちらの先陣であるアモンとシュルヴェステルは頷き合うと、早速攻撃を開始した。
ごはああああ~っ!
口から灼熱の炎を吐き散らすアモンに、数十体のワイバーンがあっという間に身体を焼かれ、炭化して四散する。
それを見たシュルヴェステル様は両手を掲げると、攻撃魔法を連発し始めた。
爆炎!
巨大氷柱!
巨大岩石!
そして暴風!
顔色ひとつ変えずに、無詠唱で全属性の大型魔法を軽々と連発するシュルヴェステル様。
ひとつ魔法を発動するたびに、巨大な竜が地獄の責め苦にあうように悶え苦しみ死んで行く。
さすが神に近いと言われる実力者だ。
意外な相手に吃驚したのは「一般の竜達」である。
こんな『化け物達』が待っていたなんて、奴等には知る由もなかったであろう。
アモンとシュルヴェステル様が、ど真ん中から突っ込んだので丁度、中心に道が開けた感がある。
「あ、居たぞ! ヴェルザデーデがっ! よし、行くぞっ! トール!」
エドヴァルド父の視線を追うと、大群の一番奥に、真っ白な逞しい巨体を持つ1体の竜が、凄まじい魔力波を放射しているのが見えた。
あいつが!
ヴェルザデーデか!
俺は、邪神様から授かった愛用の魔剣を振りかざす。
以前とは全く違う圧倒的な魔力の手応えが「じんじん」来ている。
ふ~ん!
俺が少し力を入れると短い刀身から伸びた神力波が20mも伸びている。
どうやらヴェルザデーデも、俺とエドヴァルド父を認識したようだ。
「とおおおおおりゃ~っ」
俺の気合と共に、エドヴァルド父も灼熱の炎を吐きながら突っ込んで行く。
魔剣の刀身から伸びた、眩く輝く巨大な神力波!
信じられないというヴェルザデーデの、驚愕の眼差しが俺を打つ。
しかし俺は容赦なく肉薄すると、奴の首筋へ魔剣を思い切り振るっていたのであった。
そして巨大な口の奥から、聞き覚えのある声が響く。
「トール、俺に跨《またが》るが良い」
ああ、これは間違いなくエドヴァルド父の声だ。
凄く厳か、加えてエコーまで掛かっているが……
「旦那様、お父さん……」
戦闘に参加出来ないジュリアは、残念そうに唇を噛み締めている。
と、その時!
「来たぞ! 東だ!」
アモンの鋭い声が飛ぶ。
東方の空が、真っ黒になっている。
いよいよ、竜の大群が姿を見せたのだ。
アモンが、いきなり背中から巨大な黒い翼を出して上昇する。
悪魔独特の形状をしたあの翼だ。
すると、シュルヴェステル様もふわりと飛び上がる。
こちらは、無詠唱で発動した飛翔の魔法であろう。
嫁ズ達も気を取り直したジュリアの指示で配置につき、防御魔法発動の準備をする。
俺はエドヴァルド父の背に跨り、嫁ズに手を振ると空高く上昇して行った。
先行するシュルヴェステル様とアモンが、これからの攻め方を確認している。
『おい、アモン、我々が先陣として露払いをしようか』
『OK! アールヴ、了解だ。トール、構わないな?』
後方を進む俺へ、念話で攻め方を打診して来たシュルヴェステル様とアモン。
俺は問題無いと即座にOKを出す。
『助かる! じゃあ俺達はピンポイントで古代竜ヴェルザデーデを叩く。タイマン勝負だ』
古代竜ヴェルザデーデ……
それが敵の首魁の名だ。
エドヴァルド父10名の配下のうち、索敵に長けた1名が奴の魔力波《オーラ》をキャッチしたのである。
戦う相手が単に古代竜としか分からないので、俺は泥縄的にエドヴァルド父に質問した。
「親父さん、そのヴェル何とかってどんな敵なんだ?」
「ああ、俺と同じくらいの強さを持つ古代竜だ。元々、俺達と古代竜の祖先は同じだった。ある竜の兄弟のうち、兄が創世神様の祝福を受け、弟は受けなかった。それ以来、奴等は俺達を目の敵にしている」
何だ!
敵対心って、元々兄弟間の嫉妬なんだ、それ!
でも神の祝福ありと無しじゃあ、天と地の差なんだろうなぁ……
「俺達は数え切れないくらい休戦を申し入れたが、相手は聞き入れてくれなかった。そのうち奴等は他の竜族を纏め上げ、我々竜神族に限らず、創世神様と人への憎悪も増して行ったのだ」
「竜神族は平和の為にやるだけの事はやった! という事ですね……」
「うむ、そうだ! おお、見ろ、トール! ア、アモンが完全に悪魔化するぞ!」
エドヴァルド父が驚きの声を上げ、周囲の竜神族の部下達が緊張する気配が伝わって来た。
俺がアモンを見ると、今迄人間の風貌をしていた彼の身体が一気に大きくなって行く。
そして巨大な梟の頭部と禍々しい翼の生えた狼の胴体、そして蛇の尾というアモン本来の姿になったのである。
やっぱり……悪魔の姿は人間を戦慄させる。
一瞬だけど、ぞくぞくっと来たもの。
まあ彼の中身を知る俺には関係ないけど。
一方、並んで飛翔しているシュルヴェステル様に臆した所は全くない。
それどころか、にっこりと笑って手を振っているのである。
まるで悪魔など……見慣れていると、言うようだ。
さあ、戦う準備も完了し、もう竜の大群は目の前。
中二病である、今の俺の気分はそう!
僅かな人数で、数万の最上軍と戦った、戦国時代のカブキ者、前田慶次である。
敵の先陣は、と見ると二足竜の大群であった。
こちらの先陣であるアモンとシュルヴェステルは頷き合うと、早速攻撃を開始した。
ごはああああ~っ!
口から灼熱の炎を吐き散らすアモンに、数十体のワイバーンがあっという間に身体を焼かれ、炭化して四散する。
それを見たシュルヴェステル様は両手を掲げると、攻撃魔法を連発し始めた。
爆炎!
巨大氷柱!
巨大岩石!
そして暴風!
顔色ひとつ変えずに、無詠唱で全属性の大型魔法を軽々と連発するシュルヴェステル様。
ひとつ魔法を発動するたびに、巨大な竜が地獄の責め苦にあうように悶え苦しみ死んで行く。
さすが神に近いと言われる実力者だ。
意外な相手に吃驚したのは「一般の竜達」である。
こんな『化け物達』が待っていたなんて、奴等には知る由もなかったであろう。
アモンとシュルヴェステル様が、ど真ん中から突っ込んだので丁度、中心に道が開けた感がある。
「あ、居たぞ! ヴェルザデーデがっ! よし、行くぞっ! トール!」
エドヴァルド父の視線を追うと、大群の一番奥に、真っ白な逞しい巨体を持つ1体の竜が、凄まじい魔力波を放射しているのが見えた。
あいつが!
ヴェルザデーデか!
俺は、邪神様から授かった愛用の魔剣を振りかざす。
以前とは全く違う圧倒的な魔力の手応えが「じんじん」来ている。
ふ~ん!
俺が少し力を入れると短い刀身から伸びた神力波が20mも伸びている。
どうやらヴェルザデーデも、俺とエドヴァルド父を認識したようだ。
「とおおおおおりゃ~っ」
俺の気合と共に、エドヴァルド父も灼熱の炎を吐きながら突っ込んで行く。
魔剣の刀身から伸びた、眩く輝く巨大な神力波!
信じられないというヴェルザデーデの、驚愕の眼差しが俺を打つ。
しかし俺は容赦なく肉薄すると、奴の首筋へ魔剣を思い切り振るっていたのであった。
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