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第198話「愛の交歓」
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タトラ村は小さな村だ。
ロールプレイングゲームに出て来る主人公が初めて修行を積む、始まりの村の様な、とても小さな村なのである。
だが、今回は却ってそれが幸いした。
イザベラとソフィア、そしてアマンダとフレデリカの魔法障壁という4段構えの防御魔法で、村を完全に囲う事が出来るから。
当然、俺の嫁ズ達の類稀なる魔法の才能が無ければ実現は不可能であった。
俺達が今、居るこの場所は村の正門のすぐ外の農地である。
村人はモーリスさん、ジェマさんの指示で各自、家の地下室に避難させているので村中に人影は無い。
戦いの前とあって、嫁ズがそれぞれ俺に対して決意を述べて行く。
「旦那様達が竜を倒すまでの間、私達が必ず守り抜きます! ……この村を!」とイザベラ。
「折角、兄上とも再会出来たのに冗談ではない! 必ず生き残るぞ! 妾の魔力が尽きても気持ちで守ってやるわぁ!」とソフィア。
「旦那様のお陰でエイルトヴァーラ家の奥様どころか、ソウェル様にも実の孫と認めて頂きました! 私は幸せです! 頑張りますよ!」とアマンダ。
「うふふふ! お祖父様が居ればもう大丈夫よぉ! お兄ちゃわん、悪い竜を思いっ切り叩き潰してね!」とフレデリカ。
「あの時、行く当てもないハンナに俺の下へ来いと仰って頂いた! 本当に嬉しかったです! ハンナは一生、|ご主人様について行きます!」とハンナ。
そして、ここに来て一番必死だったのが、ジュリアである。
「お父さん! 私は何故、竜化出来ないの!?」
娘の懸命な問い掛けに、父は残念そうに下を向く。
「ジュリア……」
そんな父の反応に愛娘は切々と訴えたのである。
「私も役に立ちたいの! 竜化して戦うわ! 死ぬなら旦那様やお父さんと一緒よ!」
「お前は俺の娘だが、人間である母ミレーヌの娘でもある。竜神族と人間のハーフなんだ。残念ながら完全に純粋な竜神族でないと竜化は出来ない」
「うううう……」
どうする事も出来ない事実を突きつけられ、泣き崩れるジュリア。
イザベラが、ソフィアが、そして嫁ズ全員がそっとジュリアを抱き締めた。
「ジュリア、大丈夫さ! 旦那様やエドヴァルドお父様達は決して死なない! 私達は村を守るという自分の務めを果たし、信じて待とうよ」
イザベラの慈愛溢れる言葉に、ジュリアは泣きながらも、こっくりと頷いたのである。
俺はそんな嫁ズをひとりひとり優しく抱き締め、情熱的にキスをした。
いわゆるベロチューだ。
このような非常時なので、全員、恥ずかしがらず凄く積極的である。
舌を情熱的に絡めて、熱く唾液を送り込んで来る。
汚いって?
何を言ってる?
愛する嫁の唾だもの。
どんどん、どんどん飲んでやる。
でも俺だけじゃないぞ。
嫁ズだってどんどん、俺の唾を飲んでくれるもの。
これは嬉しい。
そう!
愛は全てに勝つんだ。
嫁ズは皆、幸せそうである。
俺も凄く幸福を感じてしまう。
結ばれる感のあるエッチも素晴らしいけれど、やはりキスは格別のものがある。
魂の交歓を許し合った者同士が、愛を確かめ合う行為という趣きだ。
「さあ、そろそろ行くぞ……」
例によって、この甘い雰囲気を容赦なくバッサリ断ち切るのはアモンである。
しかし意外な事に、アモンの奴が「にんまり」相好を崩したのだ。
そして、普段のいかつい顔に全く似合わない台詞を吐いたのである。
「ははは、トール。妻と仲良くするお前を見て、俺も急に魔界の妻に会いたくなった。優しく美しいふたりの妻に、な」
おおおっ!
衝撃発言!
アモンが結婚していた!?
それも優しく美しいふたりの妻!?
遂にアモンが幸せを掴んだようでホッとしたぞ、俺。
そこへシュルヴェステル様が声を掛ける。
「トール! お前、身体が発光しておるぞ」
「ああっ」
シュルヴェステル様の言う通り、俺は確かに全身が光り輝いていた。
まるで某有名漫画の覚醒した超人バージョンである。
「ふむ! 多分、闘神《スパイラル》様によって増やされた魔力が神力波《ゴッドオーラ》となって体外へ溢れ出ているのであろう。さすがは闘神の騎士だ」
シュルヴェステル様は、アモンにも言葉を掛けた。
「アモン! 今のトールには下手に触れるなよ。気をつけないと神力波《ゴッドオーラ》の影響で悪魔のお前は塵になってしまうぞ」
同士討ちにならないようにとのシュルヴェステル様の気配りであったが、アモンは首を横に振った。
「ははは! アールヴ、忠告痛み入る。しかしその時はその時だ。戦いの中で下手に臆していたら、却って命を失う」
「ほう!」
「攻める時は大胆に攻める! 退く時は思い切りよく退く! これで良い」
ここでエドヴァルド父が竜化をすると宣言する。
俺達は急いで彼等から離れた。
聞いた事のない言霊が詠唱されると、辺りが真っ白くなるくらいの光に照らされる。
そして光が収まると……
美しく逞しい黄金の竜が一体、同じく銀色の竜が10体、その巨体を現したのであった。
ロールプレイングゲームに出て来る主人公が初めて修行を積む、始まりの村の様な、とても小さな村なのである。
だが、今回は却ってそれが幸いした。
イザベラとソフィア、そしてアマンダとフレデリカの魔法障壁という4段構えの防御魔法で、村を完全に囲う事が出来るから。
当然、俺の嫁ズ達の類稀なる魔法の才能が無ければ実現は不可能であった。
俺達が今、居るこの場所は村の正門のすぐ外の農地である。
村人はモーリスさん、ジェマさんの指示で各自、家の地下室に避難させているので村中に人影は無い。
戦いの前とあって、嫁ズがそれぞれ俺に対して決意を述べて行く。
「旦那様達が竜を倒すまでの間、私達が必ず守り抜きます! ……この村を!」とイザベラ。
「折角、兄上とも再会出来たのに冗談ではない! 必ず生き残るぞ! 妾の魔力が尽きても気持ちで守ってやるわぁ!」とソフィア。
「旦那様のお陰でエイルトヴァーラ家の奥様どころか、ソウェル様にも実の孫と認めて頂きました! 私は幸せです! 頑張りますよ!」とアマンダ。
「うふふふ! お祖父様が居ればもう大丈夫よぉ! お兄ちゃわん、悪い竜を思いっ切り叩き潰してね!」とフレデリカ。
「あの時、行く当てもないハンナに俺の下へ来いと仰って頂いた! 本当に嬉しかったです! ハンナは一生、|ご主人様について行きます!」とハンナ。
そして、ここに来て一番必死だったのが、ジュリアである。
「お父さん! 私は何故、竜化出来ないの!?」
娘の懸命な問い掛けに、父は残念そうに下を向く。
「ジュリア……」
そんな父の反応に愛娘は切々と訴えたのである。
「私も役に立ちたいの! 竜化して戦うわ! 死ぬなら旦那様やお父さんと一緒よ!」
「お前は俺の娘だが、人間である母ミレーヌの娘でもある。竜神族と人間のハーフなんだ。残念ながら完全に純粋な竜神族でないと竜化は出来ない」
「うううう……」
どうする事も出来ない事実を突きつけられ、泣き崩れるジュリア。
イザベラが、ソフィアが、そして嫁ズ全員がそっとジュリアを抱き締めた。
「ジュリア、大丈夫さ! 旦那様やエドヴァルドお父様達は決して死なない! 私達は村を守るという自分の務めを果たし、信じて待とうよ」
イザベラの慈愛溢れる言葉に、ジュリアは泣きながらも、こっくりと頷いたのである。
俺はそんな嫁ズをひとりひとり優しく抱き締め、情熱的にキスをした。
いわゆるベロチューだ。
このような非常時なので、全員、恥ずかしがらず凄く積極的である。
舌を情熱的に絡めて、熱く唾液を送り込んで来る。
汚いって?
何を言ってる?
愛する嫁の唾だもの。
どんどん、どんどん飲んでやる。
でも俺だけじゃないぞ。
嫁ズだってどんどん、俺の唾を飲んでくれるもの。
これは嬉しい。
そう!
愛は全てに勝つんだ。
嫁ズは皆、幸せそうである。
俺も凄く幸福を感じてしまう。
結ばれる感のあるエッチも素晴らしいけれど、やはりキスは格別のものがある。
魂の交歓を許し合った者同士が、愛を確かめ合う行為という趣きだ。
「さあ、そろそろ行くぞ……」
例によって、この甘い雰囲気を容赦なくバッサリ断ち切るのはアモンである。
しかし意外な事に、アモンの奴が「にんまり」相好を崩したのだ。
そして、普段のいかつい顔に全く似合わない台詞を吐いたのである。
「ははは、トール。妻と仲良くするお前を見て、俺も急に魔界の妻に会いたくなった。優しく美しいふたりの妻に、な」
おおおっ!
衝撃発言!
アモンが結婚していた!?
それも優しく美しいふたりの妻!?
遂にアモンが幸せを掴んだようでホッとしたぞ、俺。
そこへシュルヴェステル様が声を掛ける。
「トール! お前、身体が発光しておるぞ」
「ああっ」
シュルヴェステル様の言う通り、俺は確かに全身が光り輝いていた。
まるで某有名漫画の覚醒した超人バージョンである。
「ふむ! 多分、闘神《スパイラル》様によって増やされた魔力が神力波《ゴッドオーラ》となって体外へ溢れ出ているのであろう。さすがは闘神の騎士だ」
シュルヴェステル様は、アモンにも言葉を掛けた。
「アモン! 今のトールには下手に触れるなよ。気をつけないと神力波《ゴッドオーラ》の影響で悪魔のお前は塵になってしまうぞ」
同士討ちにならないようにとのシュルヴェステル様の気配りであったが、アモンは首を横に振った。
「ははは! アールヴ、忠告痛み入る。しかしその時はその時だ。戦いの中で下手に臆していたら、却って命を失う」
「ほう!」
「攻める時は大胆に攻める! 退く時は思い切りよく退く! これで良い」
ここでエドヴァルド父が竜化をすると宣言する。
俺達は急いで彼等から離れた。
聞いた事のない言霊が詠唱されると、辺りが真っ白くなるくらいの光に照らされる。
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