真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

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第160話「連携訓練」

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 この地下3階で次に出現したのは、おぞましい不死者アンデッドの奴等である。
 死の軍団を率いる悪の男というキャラは良く見かける。
 大体見かけが死霊術師っぽいというのが痛いが……

 一応、クールな悪役という図式も悪くはないけど、やはり俺の召喚対象としては適合しない。
 これで吹っ切れた……
 今回、素敵な召喚対象をゲットする事への諦めがついたのだ。

 え?
 無慈悲な虫と死の軍団って、カッコイイ?

 う~ん……
 一理あるけど、俺の趣味では……
 それに死者を率いるキャラってまずくね?
 あんな邪神様の手下とはいえ、俺一応神の使徒だし。
 御免なさいっ!

 閑話休題。 

 ジュリアの索敵に捕捉されたのは、その不死者であるスケルトンに加えて、屍食鬼と呼ばれる醜悪な怪物グールの混合部隊。
 
 ジュリアは屍食鬼グールと戦った事はなかったが、索敵には正体不明の不死者と表示されるという。
 
 具体的にどのような相手かは、遭遇して相手を見てから確認が出来るのだ。
 数はというとスケルトンは10体、屍食鬼グールは5体で構成され、中規模の部隊である。

 そんな不死者アンデッド軍団に対して、嫁ズは不快感を露《あらわ》にしていたが、先程の『虫』軍団ほどではない。
 今は笑みを浮べて立っているイザベラも、苦手な蛙には悲鳴をあげたのに。
 情け容赦ない悪魔王女もやはり可愛い女子だったと、再度認識した次第である。
 さあ、今迄出来なかったクランとしての連携訓練の開始だ。

 そう決めた俺は、嫁ズへ「てきぱき」と指示を出す。

「よし! まずはイザベラの火属性の魔法をかましてやれ! 残った奴を俺とジュリア、アマンダの直接攻撃で一気に叩く。合図をしたら俺達は後退するから、また再度魔法攻撃だ。万が一手傷を負ったらソフィアに回復して貰うように! いいな?」

「「「「はいっ!」」」」

 まずはクランのリズムを整える為に、俺は魔法と物理攻撃を組み合わせた王道的ヒットアンドアウェイ戦法を選択した。
 嫁ズも俺の意図を理解したようで、元気良く返事をする。

 更にジュリアが、アマンダへ念を押す。

はやる気持ちは分るけど、アマンダはいきなり緒戦から無理はしないで! 貴女はまず私達の戦い方やペースに慣れて欲しいの」

「え?」

 気合を入れまくっていたアマンダが、ジュリアに心中を言い当てられて、息を呑んだ。
 そして「参った」とばかりに、黙って頷いたのである。

「行っくぞ~! 爆炎!」

 構えたイザベラの双腕から、「ごうっ」と音を立てて凄まじい炎が噴き出す。
 火球が前衛の俺達の頭上を放物線を描いて飛んで行く。
 それも1度に3発も、である。

 20m先に居た敵の足元に火球が着弾して大爆発を起こす。
 
 爆炎の魔法は高熱の炎が爆弾のような働きをする魔法だ。
 爆風で剣を持ったスケルトンの数体が跡形も無く吹っ飛び、屍食鬼グール達も呆気なく炭化する。

 よっし、行けるっ!
 
 やはり昔からの定番おきまりだ。
 火とは穢れたものを浄化する象徴。 
 不死者アンデッドに対して、火属性の魔法はとても有効なのだ。
 
 アマンダは自分のやるべき攻撃方法が見えたらしい。
 頷くと、その美しい顔に気合を入れて愛剣に魔力を込める。
 すると、ミスリル製の魔剣からは凄まじい炎が立ち昇った。
 
 このように相手により属性を変えて戦えるのが、全属性魔法使用者オールラウンダーである魔法剣士アマンダの強みである。

 攻撃準備整いましたって感じだ。
 俺は指示と同時に腕を振る。
 前衛組が突入する合図だ。

「残った敵はスケルトン3、屍食鬼グールは2、だ。行くぞ!」

 イザベラの爆炎の魔法が漸く収まったので続いて俺、ジュリア、アマンダが一気に踏み込んだ。
 俺はスケルトンをジュリアとアマンダに任せると、醜悪な屍食鬼グールに襲い掛かった。

 相変わらず、邪神様に授けられた俺の動体視力は冴えている。
 加えて魔力波《オーラ》読みの能力も著しく上昇したので、鈍重な動きの屍食鬼《グール》など俺の敵では無い。
 
 それにほんのちょっとだけ思い付き試してみた。
 神力《ゴッドオーラ》を込めた剣を振るったら、屍食鬼《グール》の奴等は塵になってしまったのだ。
 
 やはり、火を遥かに超える浄化の力を神力は持っている。
 
 こういう機会に少しずつ神力を使った戦い方をすればリスクは少ない。
 いきなり魔力切れでやられるという事もないし、経験を積んで神力を使いこなす事にもつながって行く。

 屍食鬼グールを倒して振り返ると、一緒に突入したジュリアとアマンダもスケルトン3体を軽く屠っていた。
 どうやら、ヒットアンドアウェイ戦法を取るまでもなかったようだ。

 駆け寄って来たメンバーと笑いながら腕を突き上げて、俺は勝利宣言のポーズを取ったのであった。
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