真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

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第145話「呪われた子」

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 白鳥亭1階食堂、早朝…… 
 俺はアマンダさんと話すべく、彼女と正対している。

 何か少し、俺、緊張気味。
 冷や汗がたらたら。
 何せ、相手は超が付く美人。
 その上俺の超が付く好みな、巨乳癒し系。

 チラ見すると、ロケットのような胸が迫って来る。
 ああ、ちょっとだけ……触ってみたい。
 いや、イカン!
 しっかりガン見だけしてから、そっと目をそらす。

 ああ、……ちゃんと喋れるだろうか?
 元々、俺は口下手。
 コミュ障気味の高校生だった。
 気の利いた会話など、出来るわけがない。
 
 邪神様の改造でも、さすがにディベートの達人にはなれなかった。
 ただこの世界に来て仲買人もしくは商人という仕事をしているので、少しは話せるようになったという程度なのだ。
 口達者なジュリアを見ると、俺など商人としては到底敵わない――と思う。

 それに加えて時間も無い。
 少し経てば、ジュリア以下嫁ズが起きて来る。
 回りくどく話すとお互いに不幸になる。
 だから真っ向勝負だ。
 会話は他人に聞かれないように念話である。

『アマンダさんって信心深いのですね』

『はい! 創世神様とスパイラル様の教えは素晴らしいです。私達を天から見守っていらっしゃいます』

 ふう!
 思ったとおり彼女はやっぱり信心深い。
 創世神はともかく、あの性悪な邪神様スパイラルにもぞっこんだ。
 
 じゃあ、次はこれ。

『神様と真逆の存在ってどう思います?』

『真逆?』

 ああ、つい遠回しに聞いてしまった!
 俺ってやっぱり度胸が無くて駄目だぁ。
 何故、アマンダさんへストレートにズバッと「悪魔は平気ですか」って、聞けないんだ!

『ええと、何というか、人々から忌み嫌われるというか、堕落させるというか……』

『それって……もしかして悪魔ですか?』

 ああ、言わせちゃった。
 彼女から言わせちゃったよ!

『そ、そう! 悪魔です』

 俺はさりげなく同意した。

『悪魔は……』

『はい! 悪魔は?』

 何というのだろうか?
 運命の一瞬。

『司祭様が仰るように、彼等がアールヴや人間を誘惑し、堕落させるだけの存在なら心から憎むべきです!』

 はぁ、やっぱりそうか……
 普通はそうだよな。
 NG!
 結婚もNG!
 ここまでだな……と、思ったら?

 何と!
 続いてアマンダさんが言葉を発しようとしている。

『でも!』

 でも?
 でもって何?
 彼女ったら、何を言うつもりだろう?

『よくよく考えれば彼等も元は天の御使いです。地に堕ちた、しかるべき理由があれば言い分を聞いた上で判断するべきじゃないでしょうか? 片方の意見だけを聞いて決め付けるのは良くない事です』

 えええええ、ぱねぇ!
 普通、言わないぜ、こんな事!
 凄いよ、アマンダさんって、こんなに寛容力のある人、いやアールヴだったのか!?

『あ、あの……トール様の驚きの波動が私に伝わって来ますけど……私ってそんなに変、ですか?』

 アマンダさんは俺の反応に驚いたらしい。
 戸惑う彼女に俺は思わず言ってしまう。

『だってリョースアールヴって、邪悪な存在を忌み嫌う考えの方が殆どでしょう?』

 これって普通は異世界ファンタジーの常識……お約束だよね? 
 俺はとても丁寧な言い方をしたが、どのような種族にも差別せず、受け入れてしまうオープンマインドなアールヴなど聞いた事がない。
 
 アマンダさんは聡明な娘なのだろう。
 俺の考えている事がすぐに分かったらしい。

『ふふふ、はっきり言ってアールヴは排他的って事でしょう?』 

『はい! はっきり言って!』

 俺がきっぱり言い切ると、アマンダさんは俺の顔を見て、花が咲くように微笑んだ。

『うふふ。トール様って本当に正直ですね。さすが神の使徒です。でも私が……リョースアールヴに見えますか?』

 はぁ!?
 アマンダさんがリョ-スアールヴ、いわゆるエルフじゃあなかったら、誰がそうなの?
 長いさらさらの金髪、すらりとした体型。
 鼻筋の通った綺麗な顔立ちに、瞳は深い灰色。
 そしてアールヴ特有のやや尖った小振りな耳。
 
 唯一違うのはこぼれんばかりの大きな胸だけ!
 ああ、ツンツンしてみたい。
 優しく包まれたい。
 いやぁ、逆に〇〇〇〇星人の俺にとっては幸運で最高っす!

『そう見えるのは父の血が濃く出ているからですね。でも残念ながら私は純粋なリョースアールヴではないのですよ』

 ええええっ!?
 そんな、馬鹿な!

『私は呪われた子……なのです』

 リョースアールヴではなく、呪われた子……
 俺はアマンダさんの言っている意味が理解出来なかった。

 呪われた子……

 俺は頭の中でもう一回呟いて、アマンダさんの美しい顔をじっと見つめたのであった。
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