145 / 205
第145話「呪われた子」
しおりを挟む
白鳥亭1階食堂、早朝……
俺はアマンダさんと話すべく、彼女と正対している。
何か少し、俺、緊張気味。
冷や汗がたらたら。
何せ、相手は超が付く美人。
その上俺の超が付く好みな、巨乳癒し系。
チラ見すると、ロケットのような胸が迫って来る。
ああ、ちょっとだけ……触ってみたい。
いや、イカン!
しっかりガン見だけしてから、そっと目をそらす。
ああ、……ちゃんと喋れるだろうか?
元々、俺は口下手。
コミュ障気味の高校生だった。
気の利いた会話など、出来るわけがない。
邪神様の改造でも、さすがにディベートの達人にはなれなかった。
ただこの世界に来て仲買人もしくは商人という仕事をしているので、少しは話せるようになったという程度なのだ。
口達者なジュリアを見ると、俺など商人としては到底敵わない――と思う。
それに加えて時間も無い。
少し経てば、ジュリア以下嫁ズが起きて来る。
回りくどく話すとお互いに不幸になる。
だから真っ向勝負だ。
会話は他人に聞かれないように念話である。
『アマンダさんって信心深いのですね』
『はい! 創世神様とスパイラル様の教えは素晴らしいです。私達を天から見守っていらっしゃいます』
ふう!
思ったとおり彼女はやっぱり信心深い。
創世神はともかく、あの性悪な邪神様にもぞっこんだ。
じゃあ、次はこれ。
『神様と真逆の存在ってどう思います?』
『真逆?』
ああ、つい遠回しに聞いてしまった!
俺ってやっぱり度胸が無くて駄目だぁ。
何故、アマンダさんへストレートにズバッと「悪魔は平気ですか」って、聞けないんだ!
『ええと、何というか、人々から忌み嫌われるというか、堕落させるというか……』
『それって……もしかして悪魔ですか?』
ああ、言わせちゃった。
彼女から言わせちゃったよ!
『そ、そう! 悪魔です』
俺はさりげなく同意した。
『悪魔は……』
『はい! 悪魔は?』
何というのだろうか?
運命の一瞬。
『司祭様が仰るように、彼等がアールヴや人間を誘惑し、堕落させるだけの存在なら心から憎むべきです!』
はぁ、やっぱりそうか……
普通はそうだよな。
NG!
結婚もNG!
ここまでだな……と、思ったら?
何と!
続いてアマンダさんが言葉を発しようとしている。
『でも!』
でも?
でもって何?
彼女ったら、何を言うつもりだろう?
『よくよく考えれば彼等も元は天の御使いです。地に堕ちた、しかるべき理由があれば言い分を聞いた上で判断するべきじゃないでしょうか? 片方の意見だけを聞いて決め付けるのは良くない事です』
えええええ、ぱねぇ!
普通、言わないぜ、こんな事!
凄いよ、アマンダさんって、こんなに寛容力のある人、いやアールヴだったのか!?
『あ、あの……トール様の驚きの波動が私に伝わって来ますけど……私ってそんなに変、ですか?』
アマンダさんは俺の反応に驚いたらしい。
戸惑う彼女に俺は思わず言ってしまう。
『だってリョースアールヴって、邪悪な存在を忌み嫌う考えの方が殆どでしょう?』
これって普通は異世界ファンタジーの常識……お約束だよね?
俺はとても丁寧な言い方をしたが、どのような種族にも差別せず、受け入れてしまうオープンマインドなアールヴなど聞いた事がない。
アマンダさんは聡明な娘なのだろう。
俺の考えている事がすぐに分かったらしい。
『ふふふ、はっきり言ってアールヴは排他的って事でしょう?』
『はい! はっきり言って!』
俺がきっぱり言い切ると、アマンダさんは俺の顔を見て、花が咲くように微笑んだ。
『うふふ。トール様って本当に正直ですね。さすが神の使徒です。でも私が……リョースアールヴに見えますか?』
はぁ!?
アマンダさんがリョ-スアールヴ、いわゆるエルフじゃあなかったら、誰がそうなの?
長いさらさらの金髪、すらりとした体型。
鼻筋の通った綺麗な顔立ちに、瞳は深い灰色。
そしてアールヴ特有のやや尖った小振りな耳。
唯一違うのはこぼれんばかりの大きな胸だけ!
ああ、ツンツンしてみたい。
優しく包まれたい。
いやぁ、逆に〇〇〇〇星人の俺にとっては幸運で最高っす!
『そう見えるのは父の血が濃く出ているからですね。でも残念ながら私は純粋なリョースアールヴではないのですよ』
ええええっ!?
そんな、馬鹿な!
『私は呪われた子……なのです』
リョースアールヴではなく、呪われた子……
俺はアマンダさんの言っている意味が理解出来なかった。
呪われた子……
俺は頭の中でもう一回呟いて、アマンダさんの美しい顔をじっと見つめたのであった。
俺はアマンダさんと話すべく、彼女と正対している。
何か少し、俺、緊張気味。
冷や汗がたらたら。
何せ、相手は超が付く美人。
その上俺の超が付く好みな、巨乳癒し系。
チラ見すると、ロケットのような胸が迫って来る。
ああ、ちょっとだけ……触ってみたい。
いや、イカン!
しっかりガン見だけしてから、そっと目をそらす。
ああ、……ちゃんと喋れるだろうか?
元々、俺は口下手。
コミュ障気味の高校生だった。
気の利いた会話など、出来るわけがない。
邪神様の改造でも、さすがにディベートの達人にはなれなかった。
ただこの世界に来て仲買人もしくは商人という仕事をしているので、少しは話せるようになったという程度なのだ。
口達者なジュリアを見ると、俺など商人としては到底敵わない――と思う。
それに加えて時間も無い。
少し経てば、ジュリア以下嫁ズが起きて来る。
回りくどく話すとお互いに不幸になる。
だから真っ向勝負だ。
会話は他人に聞かれないように念話である。
『アマンダさんって信心深いのですね』
『はい! 創世神様とスパイラル様の教えは素晴らしいです。私達を天から見守っていらっしゃいます』
ふう!
思ったとおり彼女はやっぱり信心深い。
創世神はともかく、あの性悪な邪神様にもぞっこんだ。
じゃあ、次はこれ。
『神様と真逆の存在ってどう思います?』
『真逆?』
ああ、つい遠回しに聞いてしまった!
俺ってやっぱり度胸が無くて駄目だぁ。
何故、アマンダさんへストレートにズバッと「悪魔は平気ですか」って、聞けないんだ!
『ええと、何というか、人々から忌み嫌われるというか、堕落させるというか……』
『それって……もしかして悪魔ですか?』
ああ、言わせちゃった。
彼女から言わせちゃったよ!
『そ、そう! 悪魔です』
俺はさりげなく同意した。
『悪魔は……』
『はい! 悪魔は?』
何というのだろうか?
運命の一瞬。
『司祭様が仰るように、彼等がアールヴや人間を誘惑し、堕落させるだけの存在なら心から憎むべきです!』
はぁ、やっぱりそうか……
普通はそうだよな。
NG!
結婚もNG!
ここまでだな……と、思ったら?
何と!
続いてアマンダさんが言葉を発しようとしている。
『でも!』
でも?
でもって何?
彼女ったら、何を言うつもりだろう?
『よくよく考えれば彼等も元は天の御使いです。地に堕ちた、しかるべき理由があれば言い分を聞いた上で判断するべきじゃないでしょうか? 片方の意見だけを聞いて決め付けるのは良くない事です』
えええええ、ぱねぇ!
普通、言わないぜ、こんな事!
凄いよ、アマンダさんって、こんなに寛容力のある人、いやアールヴだったのか!?
『あ、あの……トール様の驚きの波動が私に伝わって来ますけど……私ってそんなに変、ですか?』
アマンダさんは俺の反応に驚いたらしい。
戸惑う彼女に俺は思わず言ってしまう。
『だってリョースアールヴって、邪悪な存在を忌み嫌う考えの方が殆どでしょう?』
これって普通は異世界ファンタジーの常識……お約束だよね?
俺はとても丁寧な言い方をしたが、どのような種族にも差別せず、受け入れてしまうオープンマインドなアールヴなど聞いた事がない。
アマンダさんは聡明な娘なのだろう。
俺の考えている事がすぐに分かったらしい。
『ふふふ、はっきり言ってアールヴは排他的って事でしょう?』
『はい! はっきり言って!』
俺がきっぱり言い切ると、アマンダさんは俺の顔を見て、花が咲くように微笑んだ。
『うふふ。トール様って本当に正直ですね。さすが神の使徒です。でも私が……リョースアールヴに見えますか?』
はぁ!?
アマンダさんがリョ-スアールヴ、いわゆるエルフじゃあなかったら、誰がそうなの?
長いさらさらの金髪、すらりとした体型。
鼻筋の通った綺麗な顔立ちに、瞳は深い灰色。
そしてアールヴ特有のやや尖った小振りな耳。
唯一違うのはこぼれんばかりの大きな胸だけ!
ああ、ツンツンしてみたい。
優しく包まれたい。
いやぁ、逆に〇〇〇〇星人の俺にとっては幸運で最高っす!
『そう見えるのは父の血が濃く出ているからですね。でも残念ながら私は純粋なリョースアールヴではないのですよ』
ええええっ!?
そんな、馬鹿な!
『私は呪われた子……なのです』
リョースアールヴではなく、呪われた子……
俺はアマンダさんの言っている意味が理解出来なかった。
呪われた子……
俺は頭の中でもう一回呟いて、アマンダさんの美しい顔をじっと見つめたのであった。
0
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる