真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

文字の大きさ
上 下
120 / 205

第120話「悪魔大学」

しおりを挟む
 どんよりした王都ソドムの街中を抜け、やがて馬車はディアボルス悪魔大学へ到着した。

 この大学はソドムの街の外れに位置する広大な敷地の中にある。
 前世で大学に行けなかった俺には、キャンパスというものに少し興味がある。
 
 但しこの悪魔の大学は、キャンパスといっても街の外の砂漠と変わらない。
 岩だらけの荒野に過ぎない。
 前世でのイメージが強い、緑の芝生が青々とした爽やかなキャンパスとは全く違う。
 行き先である校舎は、敷地の一番奥にそびえ立つ建物である。
 石造りのいかめしい城砦のような雰囲気だ。

 おっと!

 言い忘れたが、バルバトスは俺達の為にある手立てを講じてくれていた。
 男性悪魔達の真の姿……本体は俺達人間の精神には、とても有害だと言う。
 ちなみに女性悪魔の本体は人化した時と殆ど変わらない。
 俺はイザベラの真の姿は見せて貰った。
 だが、却って野生的でエキゾチックな感じになった。
 だから全然OK!
 
 逆に刺激になって思わず夜に『頑張った』くらいである。
 
 え?
 どうだったって?
 そりゃ色々と最高でした!
 だってイザベラはあれだけの超絶美少女だよ。
 夢のような夜だった!

 ……え、えっと……
 話を元に戻そうか。

 バルバトスが俺達に支給してくれたのは形状がゴーグルに似た魔道具だ。
 これを顔に装着すると、俺達の目から見た悪魔の姿は全て人化したものに変換される。
 王宮で悪魔全員が各自、人化したのは、アルフレードルの命令があったから。
 人間社会に居る時は目立たない為に人化する。
 普通に考えても分かるが、悪魔は自分の故郷でわざわざ人化したりはしないのだ。

 バルバトスに先導されて校舎への道を歩いていると……
 キャンパスに居る学生悪魔達はあからさまに好奇の眼差しを向けて来る。
 
 それにしても様々な悪魔が居る。
 顔立ちも体格も千差万別だ。
 まあ男性悪魔はどうでも良い。
 ムサイだけだから。

 問題は女性悪魔達である。
 彼女達はは結構な美人、いや美悪魔揃いであった。
 イザベラよりは少々地味だが、凄い美人が一杯居たのだ。

 もしイザベラやジュリアの嫁ズが居なかったら、俺がデートに誘いたいくらいのレベルである。

 彼等、彼女達はひとめで人間と分かる俺達が余程、珍しいのであろう。
 もしかしたら研究材料として人間を課題にしている者もいるかもしれない。

 俺達はそんな中、キャンパスの中に設置された石で敷き詰められた道を歩いて行った。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「おお、イザベラ様! ディアボルス悪魔魔法女子学園首席の貴女様が本校に進学されないのを聞いて何と落胆した事でしょうか!」

 ここは大学の学長室……会っている学長のオロバスは俺が資料本で読んだ通りの風貌だ。
 顔がとても長く、目がくりっとして口が大きい。
 はっきり言って典型的な馬面。
 だけど、全体から受ける印象は穏やかな中年男といった趣きだ。
 
 多分、俺の中二病の知識が影響しているに違いない。
 イザベラがこの大学へ進学しなかった事を、オロバスは大袈裟に残念がっていた。

 それにしても悪魔魔法女子学園なんて学校もあるんだ……
 俺の嫁イザベラは、『首席』という成績トップの生徒だったらしい。

 伝聞されるオロバスは天地創造の秘密を知る為に命を懸けた悪魔だという話は読んだが、実際目の前に居るこの世界の彼はどうなのだろうか?

 バルバトスが頃合を見て、俺を紹介してくれた。

「オロバス様、彼がイザベラ様の夫君であらせられるトール・ユーキ様です」

「おお、これはこれは! オロバスでございます!」

 オロバスが手を差し出して来たので、俺も握る。
 とりあえず、人間に対して敵意はないようだ。 

「トール・ユーキです」

「トール様ですか! ふむふむ、アルフレードル様も剛毅な! イザベラ様と、人間である貴方様との結婚をお認めになるとは! しかしバルバトス殿からの話も全てお聞きしました。であればこのオロバス、全面的に協力させて頂きましょう」

 おお、凄く好意的じゃないか。
 良かった!

 実際、俺達はオロバスに会う前に応接室で少し待たされた。
 なので結構心配だった。
 王宮の侍従長悪魔アガレスのような人間嫌いな悪魔で非協力的だったら、どうしようかと心配していたのだ。
 
 だけど杞憂であった。
 待つ間に、オロバスはアルフレードルからの書簡を読み、バルバトスは俺達がこの世界の為に働く話をきちんと伝えてくれたらしい。

 こうなると話が早い。

「実はいにしえに滅んだ、ガルドルド魔法帝国の手懸かりを追っています。王国きっての貴方の知識に頼ろうと伺った次第です」

 俺は早速、直球を投げ込んだ。

「ふむ、ガルドルド魔法帝国!? これは意外というか、丁度良い……実は私の専門は古代史、それも今、一番興味があるのがガルドルド魔法帝国の歴史と技術なのですよ」

 おおっと!
 渡りに船だ!

 オロバスが嬉しそうに話すのを、俺は期待を込めてじっと聞くのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...