115 / 205
第115話「姉夫婦からのプレゼント」
しおりを挟む
機嫌が良くなったアルフレードルから渡されたものは書面で、どうやらどこぞへの紹介状らしかった。
裏面はしっかりと封蝋が施されている。
ええと……これ、宛名は?
……文字が読めねぇ!
これは、悪魔語?
残念ながら、俺にはこの文字が全く読めない……こんな時は……
「イザベラ」
「了解!」
俺は笑顔のイザベラに書面を渡し、宛名を読んで貰った。
「ええと……ディアボルス悪魔大学学長オロバス殿って……トール、これって王国で有名な学者だよ」
オロバスって、これまた有名な悪魔。
確かバリバリの武力派ではなく、天地創造の秘密を知るインテリ派の悪魔。
その悪魔が、この王国では有名な学者?
するとガルドルド魔法帝国の事を知っている?
どうなんだろうか?
そんな俺の考えを見抜くように、アルフレードルは言う。
「オロバスが、どこまでガルドルドの事を知っているかは正直、余には分からぬ。だがこの王国で最高の知識を持つのが奴だ……何なりと聞いてくるが良い」
有益な情報が得られるかどうかは、悪魔王にも分からないらしい。
でも、この申し出は最高の対応だ。
怖ろしい義理父の愛情?
何かまた裏がある?
いや、ここは素直に喜ぼう。
1年で肉体が崩壊するソフィアの為に少しでも早く手懸かりを掴まなくては!
――更にアルフレードルは悪魔王国内の商会宛にいくつか紹介状を書いてくれた。
これは俺達が王のお墨付きで商売を出来るようにする為だ。
折角、悪魔王国ディアボルスの御用達商人になったのだ。
よ~し、商売、商売!
頑張るぞぉ!
あれ、俺って……完全に商人仕様になっているなぁ。
これって絶対にジュリアの影響だ。
俺は微妙な心持ちでアルフレードルに跪いて深く頭を下げたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アルフレードルに謁見した俺達は『拝謁の間』を出る。
すると、あるカップルに呼び止められた。
見れば……イザベラの姉のレイラ王女と隣国の悪魔王ザインの息子エフィム王子である。
俺にとっては義姉、義兄夫婦にあたる。
結婚式の時に初めて会って挨拶した時に感じたが……
姉のレイラはイザベラに面影が良く似てはいるが、もう少し表情を柔和にしてふくよかにした癒し系的美人。
反対に夫のエフィム王子は細面の苦みばしった二枚目であり、人気若手タレント某に良く似ていた。
はっきり言って美男美女のお似合いカップル。
転生前の俺ならレイラが俺のどストライクでもある事から、「リア充――爆発しろ」と必ずエフィムを呪ったであろう。
「イザベラ、トール、お前達にぜひ話があるのよ」
俺達はとりあえずレイラの部屋に招かれた。
15分後――レイラの部屋
「懐かしい、この部屋! でも姉さんもあと1週間でトルトゥーラ王国に旅立つのだものね」
イザベラとレイラの姉妹を中心に話は盛り上がる。
というか、もう暫く会えないであろうふたりに存分に話して貰うエフィムの配慮らしい。
良い人だ!
いや凄く良い悪魔じゃないか、エフィム。
聞くとエフィム王子のトルトゥーラ王国でも結婚式をやるらしいのだ。
え!?
俺達、出席しなくても良いの?
「良いのよ、トール」
心配するが、イザベラが首を左右に振る。
話を改めて聞けば、俺の心配は全くの杞憂であった。
双方の国でやる結婚式は『当地の身内』だけで執り行うらしい。
だから、今度はエフィム側の親族と一族郎党で行うわけだ。
おかしいとか突っ込みは無しです!
悪魔の結婚式だし、異世界だし……まあ、良いじゃあないですか。
「お前達に3つ贈り物がある。今回俺達の為に頑張ってくれたお礼だ。本当にありがとう!」
エフィム・レイラ夫妻からひとつめの御礼とは……金貨3万枚と、金貨2万枚相当の宝石であった。
おお!
こりゃ、凄い!
「義父様がお前に出した金貨5万枚に合わせたのだ」
こういうのを『悪魔流』と言うらしい。
改めてイザベラに聞いた所、あの金貨5万枚は無利子・無期限という事で俺にくれるのと同義であるそうだ。
「そしてこれは俺個人からプレゼントだ。アモンが仲間から抜けると聞いたものでな」
エフィムはそう言うと、ぱちんと指を鳴らした。
ほぼ無詠唱の召喚魔法をそれも数秒で発動させたらしい。
……恐るべき悪魔王子エフィム。
――何かが来る。
それも冥界からだ。
巨大な魔力波も感じる。
どんな奴が……来るんだ?
俺はついイザベラを庇い、地の底から湧き出る瘴気と魔力波が漏れ出す地をじろりと睨んだのであった。
裏面はしっかりと封蝋が施されている。
ええと……これ、宛名は?
……文字が読めねぇ!
これは、悪魔語?
残念ながら、俺にはこの文字が全く読めない……こんな時は……
「イザベラ」
「了解!」
俺は笑顔のイザベラに書面を渡し、宛名を読んで貰った。
「ええと……ディアボルス悪魔大学学長オロバス殿って……トール、これって王国で有名な学者だよ」
オロバスって、これまた有名な悪魔。
確かバリバリの武力派ではなく、天地創造の秘密を知るインテリ派の悪魔。
その悪魔が、この王国では有名な学者?
するとガルドルド魔法帝国の事を知っている?
どうなんだろうか?
そんな俺の考えを見抜くように、アルフレードルは言う。
「オロバスが、どこまでガルドルドの事を知っているかは正直、余には分からぬ。だがこの王国で最高の知識を持つのが奴だ……何なりと聞いてくるが良い」
有益な情報が得られるかどうかは、悪魔王にも分からないらしい。
でも、この申し出は最高の対応だ。
怖ろしい義理父の愛情?
何かまた裏がある?
いや、ここは素直に喜ぼう。
1年で肉体が崩壊するソフィアの為に少しでも早く手懸かりを掴まなくては!
――更にアルフレードルは悪魔王国内の商会宛にいくつか紹介状を書いてくれた。
これは俺達が王のお墨付きで商売を出来るようにする為だ。
折角、悪魔王国ディアボルスの御用達商人になったのだ。
よ~し、商売、商売!
頑張るぞぉ!
あれ、俺って……完全に商人仕様になっているなぁ。
これって絶対にジュリアの影響だ。
俺は微妙な心持ちでアルフレードルに跪いて深く頭を下げたのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アルフレードルに謁見した俺達は『拝謁の間』を出る。
すると、あるカップルに呼び止められた。
見れば……イザベラの姉のレイラ王女と隣国の悪魔王ザインの息子エフィム王子である。
俺にとっては義姉、義兄夫婦にあたる。
結婚式の時に初めて会って挨拶した時に感じたが……
姉のレイラはイザベラに面影が良く似てはいるが、もう少し表情を柔和にしてふくよかにした癒し系的美人。
反対に夫のエフィム王子は細面の苦みばしった二枚目であり、人気若手タレント某に良く似ていた。
はっきり言って美男美女のお似合いカップル。
転生前の俺ならレイラが俺のどストライクでもある事から、「リア充――爆発しろ」と必ずエフィムを呪ったであろう。
「イザベラ、トール、お前達にぜひ話があるのよ」
俺達はとりあえずレイラの部屋に招かれた。
15分後――レイラの部屋
「懐かしい、この部屋! でも姉さんもあと1週間でトルトゥーラ王国に旅立つのだものね」
イザベラとレイラの姉妹を中心に話は盛り上がる。
というか、もう暫く会えないであろうふたりに存分に話して貰うエフィムの配慮らしい。
良い人だ!
いや凄く良い悪魔じゃないか、エフィム。
聞くとエフィム王子のトルトゥーラ王国でも結婚式をやるらしいのだ。
え!?
俺達、出席しなくても良いの?
「良いのよ、トール」
心配するが、イザベラが首を左右に振る。
話を改めて聞けば、俺の心配は全くの杞憂であった。
双方の国でやる結婚式は『当地の身内』だけで執り行うらしい。
だから、今度はエフィム側の親族と一族郎党で行うわけだ。
おかしいとか突っ込みは無しです!
悪魔の結婚式だし、異世界だし……まあ、良いじゃあないですか。
「お前達に3つ贈り物がある。今回俺達の為に頑張ってくれたお礼だ。本当にありがとう!」
エフィム・レイラ夫妻からひとつめの御礼とは……金貨3万枚と、金貨2万枚相当の宝石であった。
おお!
こりゃ、凄い!
「義父様がお前に出した金貨5万枚に合わせたのだ」
こういうのを『悪魔流』と言うらしい。
改めてイザベラに聞いた所、あの金貨5万枚は無利子・無期限という事で俺にくれるのと同義であるそうだ。
「そしてこれは俺個人からプレゼントだ。アモンが仲間から抜けると聞いたものでな」
エフィムはそう言うと、ぱちんと指を鳴らした。
ほぼ無詠唱の召喚魔法をそれも数秒で発動させたらしい。
……恐るべき悪魔王子エフィム。
――何かが来る。
それも冥界からだ。
巨大な魔力波も感じる。
どんな奴が……来るんだ?
俺はついイザベラを庇い、地の底から湧き出る瘴気と魔力波が漏れ出す地をじろりと睨んだのであった。
0
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる