真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

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第103話「リーダーの自覚」

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 俺達はダッシュで雑木林に飛び込む。
 すると、尾行していた奴等も一気に速度を上げて追いかけて来た。
 
 追いついて、背後から攻撃しようとしているのだろう。
 そして俺達を殺して何かを奪う。
 殺気が伝わって来る。
 容赦ない殺気だ。

 しかし移動の迅速さは、俺達の方が数段上だ。
 奴等が来る前に雑木林で態勢を整えると、俺はメンバーへ改めて指示の再確認をして行く。
 
 驚く程にスムーズに指示の言葉が出て来る。
 気持ちが前向きになっている。
 我ながらクランのリーダーとして、さまになって来たみたいだ。

「もう一度作戦を言うぞ! まず正面にアモンが盾役で立つ! イザベラはアモンが立ったら威嚇の意味も込めて一発、火弾ファイアブリッツを相手の中にぶっ放してくれ! ソフィアはイザベラの魔法発動後に魔法障壁を頼むぞ! アモンを中心にして左右を囲むように発動するんだ」

「心得た!」

「了解!」

「分かっておる! わらわに任せておけ!」

「アモンはイザベラの魔法が着弾したら突出して敵を迎撃してくれ。相手のクランの戦士とシーフを引き付けて貰っている間に俺が回り込んで背後から魔法使いと僧侶を叩く! ジュリアは相手の動きを見て3人のフォローを頼む。もしダメージを食らったら即座に魔法杖マジックワンドで回復だ!」

「トール、妾も回復魔法は得意中の得意じゃ!」

 俺がジュリアに回復の指示をしたのに対抗したいのか、ソフィアが自分も魔法を使えると主張する。

「よし、機会があったら頼むぞ!」

「任せておくのじゃあ!」

 ソフィアが自信たっぷりに言い返す中、ジュリアは覚醒後の初戦闘という事で少し『硬い』ようだ。

「トール! あ、あたし緊張しているかも……」

 俺は不安を訴えるジュリアをリラックスさせる事にした。

「ははは、大丈夫さ。それより今度一緒に戦おうぜ! 練習を兼ねて仕返ししてやろう、奴等に!」

「え!? 仕返し? 奴等って?」

 俺の、敢えて主語をとっぱらった問い掛けがジュリアにはピンと来ないらしい。
 可愛く首を傾げた。
 もう、それは俺を瞬殺するポーズなんだってば。

「ゴブだよ、ゴブ! 今度は奴等を木の上に追い立てて脅かしてやろう」

 俺が『宿敵』の名を告げると、ジュリアの目が輝く。
 表情が「ぱああっつ」と、明るくなった。 

「あ、ゴブ? そうだよね! あたし殺されそうになったけど、今なら勝てるよね! 仕返し、ぜひやっちゃおう!」

 ジュリアは心の底から面白そうに笑った。
 
 俺がリラックスさせた気遣いを、すぐに理解したらしい。
 笑顔から一転、真剣な眼差しで俺を見つめる。

「トール、本当にありがとう! 愛してる! あたし一生、トールから離れないからね」

「おう! 俺だって!」

 ジュリアと俺の掛け合いを聞いて、今度はイザベラが言い放つ。
 同じ嫁として、ライバルに負けてはいられないという波動がビンビン伝わって来る。

「私も同じさ、トール! 貴方に嫌われたって絶対に離れないから!」

「馬鹿! 嫌うわけないだろう、お前が大好きなんだから!」

 ジュリアとイザベラに対抗したかったんだろうか、ソフィアももごもご言っている、
 
 俺に何か言われたいようだ。
 なので、俺は先手を打ってやる。

「頼りにしているぞ、ソフィア。お前の事もしっかり守ってやるからな!」

「お、お、お前が! そ、そう言うなら頑張らんでもないぞ、トール」

「来るぞ!」

 重々しい声が響く――アモンだ。
 俺と嫁達+@の甘い会話をぶった切るのは、やはりこいつであった。
 
 お約束野郎め!
 ニヤリと笑った俺は合図を出す。

「アモン、前へ! イザベラ発動頼む!」

「おう!」
「火弾!」

 雑木林が上手く俺達の姿を隠してくれたようだ。
 アモンが大剣を振り上げ、敵を威嚇するとイザベラがすかさず火弾を発動する。
 大きなアモンの身体に威圧されて躊躇した戦士とシーフの周囲に火弾が着弾した。
 彼等は暫く動けない。

 よっし、今だ。
 俺は続いて指示を出す。

「イザベラ、火弾連発だ。時間差で行け! その直後にソフィア、魔法障壁を頼む!」

「了解! 火弾……火弾!」

 イザベラの火弾発動の直後にソフィアの魔法の言霊が詠唱される。

「ビナー・ゲブラー――ケト!」

 ソフィアが自信たっぷりに言うだけの事はある。
 強固な魔法障壁が間を置かずに目の前に張り巡らされた。
 魔法障壁は普通肉眼では見えないが、魔法発動の際に放出される魔力波オーラを変換したものだ。
 チート能力で魔力波読みが与えられた俺には、はっきりと見えるのである。
 
 さあ、今度は俺の番だぜ。

 ダッシュした俺は、大きく回り込み敵の背後へと向かったのであった。 
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