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第96話「破滅への道」
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俺が叫んだ通り、いきなり話し掛けて来たのはこの世界の管理神、スパイラル様であった。
ああ、邪神様って言わないで良かった……
『ほ~い、おっひさ~、これもまた巡り合わせだよ』
『ど、どうしたんですか? いきなり』
『いきなりも何もないよ~ん。それより君はソフィアというこのガルドルド王女の人生を、無理矢理に切り開いてしまったじゃあないか。本来は死ぬところだった、この娘の人生をさ』
それって……俺のせいって事?
何だ、それ。
『ソフィアが野望を持ったのが俺の責任だというのですか?』
『そうさ! 僕から見ればガルドルドなんて歯牙にも掛けないけど、今の世界の人間や悪魔からしたら、とんだ迷惑を蒙《こうむ》るんじゃないかなぁ……』
くっそ~。
すっげぇ面白がってる。
でもさ、使徒=子供。子供の責任は親の責任って言葉を知らないの?
『あの……他人事みたいに言わないで欲しいのですが、戦乱が起きればスパイラル様、貴方だって管理責任を問われるんじゃあないのですか?』
『あはっ、成長したね! 管理責任なんて上手い事を言うじゃないの! 君も元から考えればだいぶ知恵をつけたねぇ。感心、感心』
邪神様は俺が斬り込んでも全然動じていない。
それに「知恵をつけた」って、そんな褒め方全然嬉しくない!
しかめっ面の俺に邪神様は、「ぽろっ」と怖ろしい事を告げる。
『心配は無用! 父の創世神には再生の為の破壊をすると言えば簡単に通っちゃうから』
って、待て!
今、何て仰いました!?
『さ、さ、さ、再生の為の破壊って何ですか!?』
『お~、良い質問だね! 君の前世でも大洪水や神々同士の戦争、そして大予言が告げる人の世の終わりなど、色々な終末モノが伝わっていただろう? 人間が堕落すれば神が大きな罰をくだす。これが再生の為の破壊さ』
な、何だってぇ!
『うふふ、世界を破壊して一旦、人間を殆ど滅ぼすのさ。その後に神が手助けして出来た新たな人間の世に復興の機運が起こり、やがて素晴らしい再生に至るのだよ』
『でも神様が起こす破壊という事は……』
『そう! 神の使徒である君もさすがに死は免れない。破壊の原因を作ったこの旧魔法帝国の小娘や、何の罪もない君の妻達も含めてね。そして、この世は一旦浄化され、作り直されるのさ。ふふ、面白いだろう?』
はぁ!?
何となくイメージしていたけど……浄化って……
改めて分かった。
神様って非情で怖ろしいよ。
『何か、この世の浄化とか、それって冷酷非情というか、簡単に言い切りますね!』
『だって仕方無いじゃない、僕が神様なんだからね』
『…………』
『この世界の事は好きなようにやらせて貰うさ。あ、そうそう誰かに口外したら、君を即消滅させるよ、絶対に内緒だからね~』
『え、えええっ!』
『まあ僕の気が変わるような素晴らしい行いをして、この世界が滅びないように頑張るんだね。ばっはは~い』
『あ、ま、待て!』
いつもの通りだ。
邪神様め、言いたい事だけ言って会話を切りやがった。
しかし今回は世界滅亡!?
その事を今、俺だけが知っている。
口外したら……俺を待つのは消滅。
すっげぇ!
重過ぎる!
ただ……世界の破滅をもたらさない方法はひとつはある。
それはこの場でか、もしくは外界に出たら間を置かずにソフィアを殺す事だ。
彼女さえ居なければ、世界の破滅へのきっかけは起きないのだから……
でもと……俺は自問自答する。
このような場合、もしソフィアが死んでも、邪神様の『調整』がかかる場合がある。
知らない他の誰かが、同じような世界滅亡のきっかけを作ったり、他の原因が生まれるかもしれない。
出した結論は……俺が傍に居てソフィアを止める!
そうすれば運命は変えられる。
という結論=確信だったのだ。
いきなり―――俺は誰かに肩を揺すられる。
小さな手を掛けて、心配そうに俺の顔を覗き込んでいたのは……ジュリアであった。
「トール、大丈夫? またぼうっとしていたから」
「ああ、大丈夫さ。それでソフィアの件は?」
「うん、あたし達はトールに一任する事に決めたから」
ちらっと聞いたら、俺が邪神様と話している間はじっくりと考え込んでいるように見えたそうだ。
「アモンが言うには、ソフィアはクランバトルブローカーの即戦力として使えるだろうって」
確かにアモンの言う通り、ソフィアが類稀なる魔法の才を持つ創世神の巫女だとしたら凄い逸材だ。
しかしそれは諸刃の剣かもしれないが。
「了解したぞ、ソフィア。お前を新たな仲間として迎え入れよう。但し俺の指示には逆らわず全て従う事が条件だ、良いな?」
「わ、分かった! お前の言う通りにしよう」
だが……俺には見える。
ソフィアがほくそえむ魔力波が……
今の彼女の台詞はこの場しのぎの嘘なのだ。
しかし……
俺はそんな事をおくびにも出さず笑顔で頷いていたのであった。
ああ、邪神様って言わないで良かった……
『ほ~い、おっひさ~、これもまた巡り合わせだよ』
『ど、どうしたんですか? いきなり』
『いきなりも何もないよ~ん。それより君はソフィアというこのガルドルド王女の人生を、無理矢理に切り開いてしまったじゃあないか。本来は死ぬところだった、この娘の人生をさ』
それって……俺のせいって事?
何だ、それ。
『ソフィアが野望を持ったのが俺の責任だというのですか?』
『そうさ! 僕から見ればガルドルドなんて歯牙にも掛けないけど、今の世界の人間や悪魔からしたら、とんだ迷惑を蒙《こうむ》るんじゃないかなぁ……』
くっそ~。
すっげぇ面白がってる。
でもさ、使徒=子供。子供の責任は親の責任って言葉を知らないの?
『あの……他人事みたいに言わないで欲しいのですが、戦乱が起きればスパイラル様、貴方だって管理責任を問われるんじゃあないのですか?』
『あはっ、成長したね! 管理責任なんて上手い事を言うじゃないの! 君も元から考えればだいぶ知恵をつけたねぇ。感心、感心』
邪神様は俺が斬り込んでも全然動じていない。
それに「知恵をつけた」って、そんな褒め方全然嬉しくない!
しかめっ面の俺に邪神様は、「ぽろっ」と怖ろしい事を告げる。
『心配は無用! 父の創世神には再生の為の破壊をすると言えば簡単に通っちゃうから』
って、待て!
今、何て仰いました!?
『さ、さ、さ、再生の為の破壊って何ですか!?』
『お~、良い質問だね! 君の前世でも大洪水や神々同士の戦争、そして大予言が告げる人の世の終わりなど、色々な終末モノが伝わっていただろう? 人間が堕落すれば神が大きな罰をくだす。これが再生の為の破壊さ』
な、何だってぇ!
『うふふ、世界を破壊して一旦、人間を殆ど滅ぼすのさ。その後に神が手助けして出来た新たな人間の世に復興の機運が起こり、やがて素晴らしい再生に至るのだよ』
『でも神様が起こす破壊という事は……』
『そう! 神の使徒である君もさすがに死は免れない。破壊の原因を作ったこの旧魔法帝国の小娘や、何の罪もない君の妻達も含めてね。そして、この世は一旦浄化され、作り直されるのさ。ふふ、面白いだろう?』
はぁ!?
何となくイメージしていたけど……浄化って……
改めて分かった。
神様って非情で怖ろしいよ。
『何か、この世の浄化とか、それって冷酷非情というか、簡単に言い切りますね!』
『だって仕方無いじゃない、僕が神様なんだからね』
『…………』
『この世界の事は好きなようにやらせて貰うさ。あ、そうそう誰かに口外したら、君を即消滅させるよ、絶対に内緒だからね~』
『え、えええっ!』
『まあ僕の気が変わるような素晴らしい行いをして、この世界が滅びないように頑張るんだね。ばっはは~い』
『あ、ま、待て!』
いつもの通りだ。
邪神様め、言いたい事だけ言って会話を切りやがった。
しかし今回は世界滅亡!?
その事を今、俺だけが知っている。
口外したら……俺を待つのは消滅。
すっげぇ!
重過ぎる!
ただ……世界の破滅をもたらさない方法はひとつはある。
それはこの場でか、もしくは外界に出たら間を置かずにソフィアを殺す事だ。
彼女さえ居なければ、世界の破滅へのきっかけは起きないのだから……
でもと……俺は自問自答する。
このような場合、もしソフィアが死んでも、邪神様の『調整』がかかる場合がある。
知らない他の誰かが、同じような世界滅亡のきっかけを作ったり、他の原因が生まれるかもしれない。
出した結論は……俺が傍に居てソフィアを止める!
そうすれば運命は変えられる。
という結論=確信だったのだ。
いきなり―――俺は誰かに肩を揺すられる。
小さな手を掛けて、心配そうに俺の顔を覗き込んでいたのは……ジュリアであった。
「トール、大丈夫? またぼうっとしていたから」
「ああ、大丈夫さ。それでソフィアの件は?」
「うん、あたし達はトールに一任する事に決めたから」
ちらっと聞いたら、俺が邪神様と話している間はじっくりと考え込んでいるように見えたそうだ。
「アモンが言うには、ソフィアはクランバトルブローカーの即戦力として使えるだろうって」
確かにアモンの言う通り、ソフィアが類稀なる魔法の才を持つ創世神の巫女だとしたら凄い逸材だ。
しかしそれは諸刃の剣かもしれないが。
「了解したぞ、ソフィア。お前を新たな仲間として迎え入れよう。但し俺の指示には逆らわず全て従う事が条件だ、良いな?」
「わ、分かった! お前の言う通りにしよう」
だが……俺には見える。
ソフィアがほくそえむ魔力波が……
今の彼女の台詞はこの場しのぎの嘘なのだ。
しかし……
俺はそんな事をおくびにも出さず笑顔で頷いていたのであった。
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