真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

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第69話「戦う商売人」

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 ジュリアが勢いで宣言したクラン『バトルブローカー』……
 嘘のような本当の話で、その名前が俺達の正式なクラン名になってしまった。

 ボキャ不足な俺が、他に良い名前を思いつかなかった事もあるけど……
 
『クラン バトルブローカー』まあ、語感は良いと思う。
 俺はともかく、超絶美少女ふたりと巨漢の戦士という目立つクランメンバー。
 なので、冒険者ギルドに正式登録すると周りの冒険者には早速知られる事になったのである。
 このクラン、正式には俺とジュリアとイザベラの3人構成。
 アモンだけは冒険者ギルドに正式な登録をしていない。
 あくまでも助っ人という形になった。

 無事クラン登録も済んだので、早速準備にかかる。
 冒険者ギルドを出て、コーンウォール遺跡のキャンプに軒を並べている店を覗いてみた。
 迷宮に来る冒険者の為に発展したキャンプだけあって、武器防具に始まり、魔道具、魔法薬など迷宮探索に必要な店は全て揃っていた。

 俺の見立てではジュリアに何か回復系の魔道具を持たせれば、クランバトルブローカーのバランスは良くなると思っている。

 このキャンプの店舗は皆、方形住居もしくは円形住居と言う簡素なもの。
 店はたくさんあるので、どの店が良いとか俺には分からない。
 さすがのジュリアも、このキャンプの内情までは通じていない。
 
 本当はそこらの冒険者数人にでも聞いて、評判の良い店を探すのがベストだろう。
 だけど、今の俺達には時間がない。
 そのような悠長な事はしていられない。

 いくつか店を見た中で、アンソニー魔道具店という看板が目に留まる。
 客も今数人が出て来たところ。
 ここは店構えの雰囲気及び勘で……
 俺達は、何か良い出物があればと入ってみたのである。

「ああ、いらっしゃい。アンソニー魔道具店にようこそ」

 カウンターの奥に居た、店主のアンソニーは30代前半の優男だ。
 背は170cmくらい。
 顔色が異常に白く、不健康なくらい痩せている。

「このは魔法使いではないんだが……そんな女の子でも使えるような回復系の魔道具はあるかな?」

「回復系? じゃあこの魔法杖マジックワンドはどうかな?」

 店主のアンソニーが提示したのは、小ぶりな1本の杖であった。
 何かの金属で作られた細めの杖だが、先端に何か透明な宝石が装着されている。
 
「そのワンドの効能効果、使い方、そして最後に値段を教えてくれないか?」

 アンソニーが示した商品を見て、何となく予想はつく。
 だが、俺は改めて説明を求めた。

 俺の反応を見て、アンソニーは「売れる」と見込んだらしい。
 笑顔を浮かべて、説明を始める。

「効能効果は……回復の小規模魔法である治療キュアを10回使える」

「へぇ、回復魔法をね、良いね」

「ああ、良い商品だぞ。魔法杖自体はミスリル製の単なる魔法杖さ。しかし聞いてくれ、凄く便利なんだ」

「凄く便利?」

「おお、先端に埋め込む魔法水晶を付け替えればいろいろな使用目的の魔法杖になる。現在いまは、回復用の魔法水晶が付いているって事」

 おおっ!
 ミスリルか!
 オリハルコンに続き、中二病御用達金属が来た~っ!

 自分でも笑顔が溢れるのが分かる。
 今の俺はにっこにこしているだろう。

「成る程! ミスリル製の万能魔法杖って事だな。で、使用方法は? ねぇ、教えてくれ、早く!」

 勢い込んで聞く俺に、アンソニーは少し引き気味だ。

「あ、ああ。あんたのリクエスト通り、これは魔法使いじゃなくても使える優れものなんだ。使い方は簡単。発動対象に向けて魔力を僅かに込めるだけさ」

「へ? それだけ」

「ああ、魔法使いじゃない、常人の魔力量で充分に発動出来るから」

 店主アンソニーの言う通り、人間には全て魔力があるというのが、この世界の常識だ。
 魔力とは人間の気力を支える精神の燃料。
 そう言ったら、分かり易いだろうか。
 ちなみに魔法使いは魔力を使って、常識を超えた事象を起こせる者の事。
 ……これって全部、ジュリアからの受け売りだけどね。

「これは買いだ! 魔法使いじゃない者でも使える杖なんて滅多に無いよ!」

 アンソニーは強調した。
 この魔法杖は、便利で稀少な魔道具だと。
 
 確かに俺もそう思う。
 後は金額の問題だろう。
 
「ああ、良い商品だな。じゃあ最後に値段を教えてくれ」

「ふふふ、それなりの価格さ。何たってあらゆる金属の中では魔法伝導が1番良くて高価なミスリルで出来ているんだからさ」

 アンソニーは商品が安くは無い事を匂わせた。

「ずばり幾らなんだ?」

「金貨100枚だな、ずばり100万アウルム! 付け替え用の魔法水晶は杖を買ってくれたらサービスして1つ10万アウルムで譲るよ」

 俺とアンソニーの会話を先程から、じっと聞いていたジュリア。

「ちょっと待って!」

 手を挙げたジュリアはにこりと笑う。
 我が嫁ながら本当に可愛い。

 しかし綺麗な薔薇には棘がある。
 ここから、ジュリアの本領が発揮されたのであった。
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