真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

文字の大きさ
上 下
65 / 205

第65話「オークの群れを倒せ!」

しおりを挟む
 俺達は、コーンウォール迷宮を目指して進む。
 敵の気配を感じたので、注意しながら。

 20分くらい歩いただろうか。
 ジュリアとイザベラがいきなり敵の襲来予告を告げた。

「近いわ! この先、10分くらい歩くと奴等に遭遇する。もう襲われている人が居るよ」

「ジュリアの言う通りね。確かに血の臭いがするよ……相手はオーク辺りかな。大群で人間を襲っている」

 やっと相手が分かった!
 オーク?
 う~ん、ゴブとの比較が出来ない。
 でも絶対にゴブよりは強い。
 間違いない。
 
 畜生、アモンめぇ!
 全然、雑魚じゃないじゃん。

 でも、血の臭いか……ああ、これか!
 確かに俺のチートな鼻腔びこうにも、甘酸っぱく生臭い嫌な香りが漂って来る。

 だが……
 可哀想な人が襲われている!
 よっしゃ、助けるぞ!
 などと、俺は絶対にそんな事は言わない。

 前にも言ったが、俺は清廉潔白な正義の味方ではないのだ。
 それに今の俺は、ひとりではない。
 戦鬼アモンは置いといても、愛する可愛い嫁がふたりも居る。
 
 ジュリアは戦えるタイプではないし、イザベラだって戦闘経験はさほど無さそうだ。
 ふたりとも俺が抱いた責任を取らねばならない。
 守る義務がある。

 そのような状況で自分から危険を呼び込むような愚かな行動などありえない。
 しかし、アモンは違うようだ。
 何かを期待するように俺を見る。

「トール、どっちにしてもこのまま行けば奴等と遭遇する。俺に楽勝したお前の実力、じっくりと見せて貰おう」

 俺に楽勝した実力って……あのね。
 単なる腕相撲なのよ、分かってる?
 でもアモンは「楽勝だ」という。
 
 オークはファンタジーの世界ではゴブリンと並んで、お馴染みの連中だ。
 実力的にはゴブの3倍から4倍増しだと考えておけば良いのだろうか?
 資料本で読んだ限りでは、そこそこの膂力のみで戦うだけで、利口でも俊敏な魔物でもない。
 特殊な奴でなければ魔法も使わなかった筈。

 俺が考え込んでいたら、アモンの奴が煽りやがる。

「トール、俺が援護してやる。行くぞ!」 

 う~、くそ!
 俺はもう戦う覚悟を決めるしかないのか。

 よっし、決めた。
 戦う、覚悟を。
 
「イザベラ! 俺とアモンで敵を殲滅する。ジュリアを守りながら後方から魔法を撃てるか?」

「まっかせといて! ふたり共頼りにしてるよ」

 イザベラがジュリアの腰に手を回して、庇《かば》うような仕草を見せる。
 俺はジュリアへイザベラを抱いた事を伝えた。
 しかし、イザベラはイザベラで昨夜の出来事を自らジュリアに伝えたらしい。
 
 その為だろうか……
 俺の嫁同士という立ち位置で、ジュリアとイザベラの間には絆と言うか連帯感が生まれて来たようだ。

 敵に遭遇した時の作戦をどうするか、俺は改めてアモンと相談した。
 素人の俺が出した指示にアモンは吃驚《びっくり》しながらも「言われた通りにする」と約束してくれたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 やがて……

 注意深く進んだ俺達は、ジュリアとイザベラが察知したオークの群れに遭遇していた。
 凄い!
 ざっと見て、ジュリアの予想を遥かに超えた50匹以上は居る!
 
 こりゃ……結構な数だよ。
 
 オーク共は先日の山賊同様、商人を襲ったらしく馬車が倒れていた。
 獰猛な肉食のオークは哀れな犠牲者は勿論、馬車を引っ張っていた馬までも喰らっていたのである。
 奴等は離れた場所に現れた俺達を認めたようで、新たな獲物の出現によだれをたらして喜んでいた。
 
 俺は基本……ヘタレだ。
 口の周りを真っ赤にして人肉を喰らうオークを目の当たりに見て、身体が震えている。
 俺の心の中では再び葛藤が生まれていた。

 この凶暴なオーク達に対して、俺の剣の腕は果たして通用するのか?
 邪神様に改造された能力は、どこまで奴等に通用するのだろうか?

 だが、ここまで来たらやるしかない。
 
 この世界で、これから生き抜いて行く為に!
 ジュリアとイザベラという嫁達。
 そう、俺の新しい家族を守る為に!

 ……俺の立てた作戦はこうだ。
 並びは前衛に俺、中段にアモン、そして後衛にイザベラとジュリアという布陣である。
 俺が前衛で戦い、前衛の俺が討ち洩らした敵を盾役のアモンが掃討しならがイザベラ&ジュリアの盾となる。
 最後方では、イザベラがジュリアを守りながら攻撃魔法で俺を援護する。

 50匹を超えるオークは、さすがに多い。
 俺は深呼吸をして武者震いを止める。
 気合を入れる。

 そして、

「おおおおおおおおおおっ!」

 大声で叫びながら、オークの群れの居る方角へ走り出した。

「トール! 死なないで!」

 ジュリアが小さく叫んだ。
 傍らのイザベラは、オークの群れに突っ込んで行く俺を見ながら魔法発動のタイミングをじっと計っている。

爆炎エクスプロシヴフレイム!』

 俺が群れに突っ込む少し前に、イザベラの念話による言霊が俺聞えるように発せられた。
 悪魔族は無詠唱で容易に魔法を発動する事が出来る。
 しかし敢えて声を出すのは魔法の発動を全員が知り、味方の攻撃魔法を受けないようにする、つまり誤爆しない為の措置である。
 
 イザベラの言霊と同時に爆炎の魔法が発動。
 大きな火球がオークの群れの中に着弾して、炸裂した。
 魔法の威力はもっと上げられるらしいが、今回は俺が連携して戦うので意図的に威力を下げてある。

 威力を下げたというが、それでも大きな爆音と共に赤黒い炎が高く立ち昇り、オークの叫び声と悲鳴があがった
 奴等は少なくとも10匹以上は斃れ、残りは大混乱に陥っている。

 いっけ~!

 俺は邪神スパイラルから授かった魔剣を振りかざすと奴等の群れに飛び込んで行ったのだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...