真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

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第39話「使徒と悪魔はお間抜けコンビ」

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「ああ、そのおっさんの話が本当なら終わったぁ! はああ、良かったぁ……」
 
 イザベラが安堵して、大きく息を吐いた。

「そうだな、解決したな」

 俺も釣られて同意すると、思い切り伸びをした。
 お互いに笑顔で見つめ合う。
 
 何か気持ち良い。
 分かり合えた?
 ああ俺とイザベラったら、間違いなく解放感を共有しているぞ。
 でも神の使徒と悪魔が気持ちを共有するって……微妙。 
  
 そんな俺達を見とがめて、非難の声を出したのはジュリアである。

「ちょっと! 終わった、解決したって、あんた達一体何言ってるの?」

「え、だってこのおっさ……い、いやチェスターさんの言う通りなら探しているオリハルコンが今夜のオークションに出品されるんだろう。それを落札すれば終わりじゃないのか?」

「そうそう」

 もう難題は解決したとばかりに、のんびり構える俺とイザベラ。
 またお互いに、見つめ合って頷いていた。
 そんなふたりを、ジュリアは呆れたように見つめる。

「あのね……良~く考えてごらんよ、もし誰かが、イザベラの所持金以上でオリハルコンを落札したらどうするのさ」

「所持金以上で? あ、ああ~っ!」

「ああ、そうかぁ!」

 確かに……ジュリアの言う通りだ。
 俺達には無尽蔵に、資金があるわけじゃない。
 もしも俺達の所持金より、遥かに高い金で競り落とされてしまったら……
 こちらからは、全く手が出せないじゃないか。
 ホント、馬鹿だな……俺……
 
 片やイザベラも、言葉につまった上で物騒な事を言い出す。

「ううう! で、でもさ……万が一そうなったら落札した奴を暗がりで待ち伏せして無理矢理……あうっ!」

 イザベラが言いかけて、悲鳴をあげた。
 ジュリアがイザベラの足を、思い切り踏んだのである。

「ちょっと! そういうのは駄目って言ったでしょう? チェスターさんもこのをじろじろ見ないでいいの! この娘はほんのすこ~し世間知らずなだけ……冗談なの、ジョークよ、ジャストアジョークだってば」

「す、少し世間知らず? だいぶ世間知らずな気がするけど……わ、分かった!見なかった&聞かなかった事にするよ」

「うふ、サンキュー!」

「ったく、もう……だけど本当に強盗とか物騒なのは……勘弁だぜ」

 チェスターはまだ心配そうに、イザベラを見つめている。
 もし犯罪が起これば、情報提供した自分に害が及ぶのではと心配しているに違いない。
 そんなチェスターの懸念けねんを紛らわせるように、ジュリアが質問する。

「分かってるって! 絶対に大丈夫さ。それでさ、他に情報は無いのかな?」

「情報、う~ん、情報ねぇ……そうだ! さっき言っていたコーンウォールの迷宮には冒険者が殺到していて、少なくともいつもの倍の人数が潜っているそうだよ」

 成る程。
 もうひとつ見つけようと押しかけているんだ。

 2匹目のどじょうを狙うって事ね……
 よ~く分かります。
 一発当たれば、大逆転。
 ドが付くでかさだものなぁ。
 冒険者はある意味、山師みたいなものだから。

 チェスターの話を聞いたジュリアは「ふう」と息を吐いた。

「納得。オリハルコンはいくらの値がつくか、私だって見当がつかないからね。皆、まだあるんじゃないかと探すのも無理はないよ」

 オリハルコン……高いだろうって思っていたけど。
 それほど?
 ジュリアにそこまで言わせる?
 何かその言い方だと、まるでプライスレスのように聞こえるけど。

 オークションに迷宮か……
 両方とも、オリハルコンを手に入れられるかは不確定だ。
 他にまだ、情報はあるのだろうか?
 
 俺がそう考えていたら、ジュリアもやはり突っ込んでいる。

「他に無いのかな、情報。チェスターさん。そもそもオリハルコンって本来貴重な古代人工遺物アーティファクトじゃない。誰かが家宝として持っているとか、そんな話は耳にしないの?」

 ジュリアにそう言われたチェスターは、暫し考え込んでいるようであった。

「う~ん、お宝自慢ばかりするここいらの金持ち連中の顔を思い出してみたが、オリハルコンって話は聞かないな。彼等が手に入れたら自慢しまくるから俺達商業ギルドの耳に入らない筈はない」

「そうか……そうだよね、どうもありがとう!」

 ジュリアはチェスターの答えを聞くと可愛くお辞儀をした。
 そして俺達を振り返ると、チェスターに対して他に何か聞く事がないかどうか確認を求めて来たのである。

 ううむ。
 聞く事ね?
 
 俺は暫し考えてから、質問を考えてチェスターに投げ掛けたのであった。
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