真☆中二病ハーレムブローカー、俺は異世界を駆け巡る

東導 号

文字の大きさ
上 下
14 / 205

第14話「冒険者禁止?」

しおりを挟む
 大空亭1階食堂、午前9時……
 めでたくジュリアとカップルになった俺。
 邪神様の信仰心も上がったし、出だしとしては好調。
 いや、こんな可愛い彼女が出来たから絶好調だ。

 とりあえず今後の事を話しましょうと、ジュリアから申し入れがあった。
 なので、ふたりして大空亭のテーブルに座っている。

「と、いうことで……トールはこれからどうするの?」

 どうするのって……
 情けないが、俺にはこの先のアテなどない。
 ジュリアという彼女が出来たのだって、凄いイレギュラー。
 嬉しさ一杯で、他の事を考える余裕ナッシング。
 お前なんか、爆発しろ?
 はい、逆の立場だったら、絶対に俺もそう叫びます。

 俺が「ぼうっ」としていたら、ジュリアからはっぱをかけられてしまう。

「あたしは、これからトールと一緒に暮らすんだよ。……ちゃんと考えてくれなきゃダメ!」

 はぁ……そうですか?
 俺は叱られ、ポカンとしてしまった。

 ジュリアの話を聞けば、この世界で彼と彼女の間柄になるという事は、たとえ結婚はしなくてもふたりで生計を立てて暮らして行くという事らしい。

 急に生活感が立ち込めて来た。
 彼女が出来るってこんな感じ?
 何か、前世と違~う。
 でもちゃんと考えなくてはならない。
 これからの、俺達の将来かぁ……
 
 ジュリアは今後の人生設計を、俺と一緒に考えたいようだ。
 女性はどの世界、いつの時代でも現実的という事だろうか?
 そこで俺はこの世界に来て、やってみたい職業のイメージを彼女へ伝えてみる。

「俺、最初に言ったように冒険者になろうかと思っている……つまりトレジャーハンターだな」

 トレジャーハンターとはありとあらゆる未知の場所におもむき、宝を探す冒険者の事だ。
 ……例えば廃墟や遺跡の奥深く隠された古代文明の遺産、険しい山の中に隠された財宝、海なら沈没船の探索など、一般世間から隠されたお宝を探し出すのである。
 昔の映画や小説の冒険者のイメージを思い浮かべた俺はその格好良さに興奮してずっと憧れていた。
 これぞまさに、俺が中二病の証拠でもある。

「冒険者? でもさ、トール。凄いお宝なんて中々見つからないよ」

 夢よ叶えと、入れ込む俺に対してジュリアは冷静だ。
 生と死が隣り合わせの、この異世界で生きている女性だけの事はある。

「冒険者の前に立ちふさがるのは、厳しい自然に無慈悲な魔物。迷宮なら怖ろしい罠。そんな大きい危険があるのに対して、大きな見返りは滅多にないから……信頼性の凄く高い情報を掴んで確証を得た時は、人生を賭けてみるのも『あり』だけどね」

 俺の危険な夢を、頭から否定しないのがジュリアの良い所だ。
 加えて、彼女には提案したい職業があるらしい。 

「ならさ、……ものは相談なんだけど……あたしが宿屋の仕事の傍らにやっていた仲買人ブローカーの方が全然美味しい仕事だと思うよ。こっちだって度胸と物を見る目がないと勤まらないけど」

 仲買人?

 俺がそう思っていろいろ話を聞くと、ジュリアは借金返済のお金を貯める為にいろいろな人から不用品を仕入れて転売し、利益を出していたそうだ。

 いわゆるブローカーという奴か、はたまたジャンク屋の事か?
 確かにそれだと冒険者に比べて危険はまだ少ないが……
 この世界に来て憧れの冒険者になろうと思っていた俺の願望はどうなる?

「じゃあ……冒険者は諦めた方が良いのかな?」

 俺が男の子らしい気持ちをほんの少し話した時である。
 ジュリアは顔を歪め、泣きそうな表情になってしまったのだ。

「だ、だってトールに万が一の事があったら……あたし……」

「え?」

「何でこんな気持ちになっちゃったんだろう……あたし、あんたの事……やっぱり凄く好きなんだもん」

 あれ!?
 あれれれれ!
 俺の事、そんなに心配してくれるんだ!?
 好きだって言ってくれるんだ、俺の事。
 それも凄く好きだなんて!
 今迄の人生で、一番感動したよ!
 可愛いな、俺のジュリア!

 ジュリアに心配された俺は彼女に対して急に愛しさが込み上げて来た。
 真っ赤になったジュリアは、ばつが悪そうに無理矢理話題を変える。

「と、ところでさ、仲買人でも冒険者でもしっかりと稼ぐには大きな街に行った方が良いよ、例えば冒険者の街と呼ばれるバートランドとかね」

「え!? ぼ、冒険者の街!? そ、それ、どこ? どこにある?」
 
 勢い込んで聞く俺にジュリアは若干引き気味だ。

「凄い食いつきようだね。 で、でもトールがこの前言った通り、暫くはこの村の近辺で生活して慣れてから旅立った方が良いよ。それにゆくゆくは大きな街で仲買人をやるとしてもあたし、まずはこのタトラ村の為に貢献したいんだ」

 タトラ村に貢献?
 ふ~ん……偉いなジュリア。
 お前はこんなに若いのに凄くしっかりした娘だ。
 ……今更だけど……この子っていくつなんだろう?

 俺が何か聞きたそうにしているのでジュリアも反応する。

「何?」

「お前の年齢って?」

「もう! あたしだって15歳だからもう完全に大人だよ!」

 うは~!
 たった15歳でもう大人なのか!

 片や俺は17歳……
 2つも歳上の俺は……この体たらく……
 もっともっと、しっかりしなければ。
 邪神様から命じられた使徒としての務めだってある。
 
 俺は頑張ろうと、改めて決心していたのであった。 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

処理中です...