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第158話「ノープレッシャー」
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居酒屋風車亭における、シモンの婚約内祝いが終わってからまもなくして……
1か月の長期休暇は終了。
シモン、エステル、ジュリエッタは職務へ復帰。
再び、忙しい日々が戻って来た。
シモンが休暇中、アレクサンドラ、リュシー、レナが引き継ぎで事務処理を行っていた。
ちなみに討伐依頼完遂の際、持ち帰ったオーガの死骸等は既に商業ギルドへ納品されており、現金に換えられている。
この現金も支援の活動資金となる。
さてさて!
小村における王国復興開拓省の支援業務、討伐依頼の結果を知った各地の領主や管理官から、様々な支援依頼が殺到。
事務方は取りまとめと付帯する資料の取得に忙しい。
こうなる事がほぼ予想していた為、人員を数多採用していたのが役に立ち、
経験者は早速、投入された。
シモン達、支援戦略局の人材補充も『仮採用されていた者』の多くが採用された。
小村、討伐案件における『現場』を知って自ら辞退した者、
そして小村で狼藉を働き、反省の色が見えなかった者は不採用となったが……
難儀する王国民を救うという志のもと、やる気に燃える大勢の人材が採用されたのである。
シモンは早速、人事部と協力し、人員の割り当てが行われ……
支援戦略局は、契約、嘱託の局員も含めると総勢200人以上、
王国復興開拓省一番の大所帯となった。
またシモンの直属は大幅に増員され、イネス、バルテレミー、ジョゼフ、ジュリエッタにもそれぞれ大勢の部下が付き、組織は大きく再編成された。
さてさて!
次の『出張』が決まるまで、シモン達は王都に出店する『特産品ショップ』のオープンに注力した。
こちらも各地から、我も我もと名乗りを上げ、膨大な数の販売候補商品が集まった。
こうなると選定は大変である。
しかし、シモン達は新たなメンバーとともに選定作業に勤しんだ。
店舗の内装工事も順調で、3か月後にオープンする事も確定した。
そうこうしている中……
遂にシモンへ、王宮から呼び出しがあった。
いよいよ王弟で宰相のマクシミリアン殿下へ、シモンは謁見するのである。
マクシミリアン殿下の懐刀《ふところがたな》と目される元宰相補佐官の『上司』
女傑アレクサンドラ・ブランジェ伯爵が、
王国肝入りの王国復興開拓省長官に就任後……
逸材と見込んで一介のトレジャーハンター、シモン・アーシュをスカウト。
結果、シモンが期待以上の働きをし、素晴らしい成果を出しているので、
たいそうご機嫌なのだと、『父』アンドリュー・ラクラテル公爵は誇らしげに語っていた。
ちなみに謁見の際、アレクサンドラとアンドリューは同行し、シモンと一緒に謁見する事となっている。
内々で伝えられていたので、シモンは認識しているが……
この謁見も、シモンの人生において、大きなターニングポイントとなるのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
謁見の当日……
シモンは『上司』アレクサンドラ、『父』アンドリューとともに、王宮へ赴いた。
謁見の際のしきたりは煩雑ではあるのだが……
シモンの記憶力と順応力は抜群である。
アレクサンドラとアンドリュー、アンドリューの妻『母』ブリジットの懇切丁寧な指導もあり、実践はバッチリ。
万全の態勢で、大イベントを迎えていた。
現在シモンは、控室でアレクサンドラ、アンドリューとともに呼び出しを待っていた。
そして秘書のエステルも控室で待機。
傍らでシモンを見守っている。
エステルは、謁見には同行出来ない。
だが、想い人が戻って来たら、労わろうと決めていた。
ちなみに『実母』マリアンヌはラクルテル公爵邸において、
『母』ブリジットとともに、ひたすら、謁見が無事に終わる事を祈っている。
待機するシモンへ、アレクサンドラが言う。
「どう? シモン君。マクシミリアン殿下にお会いするから、さすがに緊張してる?」
「いや、さほど……」
王族に謁見するのに、シモンは落ち着いていた。
全く動じていない。
「うむ、これくらいのイベントなら、シモンには全然問題なし。ノープロブレムで大楽勝だろ。『あの戦い』に比べればな!」
きっぱりと言い切るアンドリュー。
思わず、アレクサンドラが問う。
「え? アンディ。『あの戦い』って何?」
「ははは、この前、とうとうシモンから教えて貰った」
「え? シモン君から、とうとう教えて貰った? 何それ?」
シモンは上司アレクサンドラに、『例の戦い』は告げてはいない。
今までエステルだけに告げていたのだが……
アンドリューに何度もせがまれ、根負け。
エステルと相談した上で、カミングアウトしたのである。
カミングアウトされたアンドリューは『戦い』を知っていて、
『父』の優越感を見せ、悪戯っぽく笑っていた。
「ふふふ、シモン、サーシャへ教えて構わんか?」
アンドリューから、カミングアウトの許可を求められ、
シモンは深く頭を下げる。
「はい、長官、誠に申し訳ありません。言うと『単なる自慢』になると思い、これまで黙っていました」
「え~? 『単なる自慢』って、何々? 絶対怒らないから、私にも教えて」
シモンがそっと見やれば……
アレクサンドラは、全く怒っておらずに、悪戯っぽく笑っている。
これなら大丈夫と、シモンはエステルをチラ見すれば、
彼女もやはり悪戯っぽく笑っていた。
話してもOKですよの、アイコンタクトである。
「ええっと……実は……」
対して、シモンが告げたのは……
「たったひとりで、巨大なドラゴン10体と戦い、あっさり撃退した」事である。
「えええええええええっっっ!!?? な、な、何それ~~っっっ!!??」
アレクサンドラは、思い切り仰天した後……
「わお! ホント最高に規格外よ! 貴方は! それならアンディの言う通り、緊張なんか絶対しないわねっ!」
と嬉しそうに笑った。
その時。
侍従長から『呼び出し』が来た。
「よし! シモン! さあ、行くか!」
「行きましょう! シモン君!」
「うっす!」
思い切りリラックスした3人は、笑顔のエステルが見守る中、
座っていた椅子から勢いよく、「すっく!」と、立ち上がったのである。
1か月の長期休暇は終了。
シモン、エステル、ジュリエッタは職務へ復帰。
再び、忙しい日々が戻って来た。
シモンが休暇中、アレクサンドラ、リュシー、レナが引き継ぎで事務処理を行っていた。
ちなみに討伐依頼完遂の際、持ち帰ったオーガの死骸等は既に商業ギルドへ納品されており、現金に換えられている。
この現金も支援の活動資金となる。
さてさて!
小村における王国復興開拓省の支援業務、討伐依頼の結果を知った各地の領主や管理官から、様々な支援依頼が殺到。
事務方は取りまとめと付帯する資料の取得に忙しい。
こうなる事がほぼ予想していた為、人員を数多採用していたのが役に立ち、
経験者は早速、投入された。
シモン達、支援戦略局の人材補充も『仮採用されていた者』の多くが採用された。
小村、討伐案件における『現場』を知って自ら辞退した者、
そして小村で狼藉を働き、反省の色が見えなかった者は不採用となったが……
難儀する王国民を救うという志のもと、やる気に燃える大勢の人材が採用されたのである。
シモンは早速、人事部と協力し、人員の割り当てが行われ……
支援戦略局は、契約、嘱託の局員も含めると総勢200人以上、
王国復興開拓省一番の大所帯となった。
またシモンの直属は大幅に増員され、イネス、バルテレミー、ジョゼフ、ジュリエッタにもそれぞれ大勢の部下が付き、組織は大きく再編成された。
さてさて!
次の『出張』が決まるまで、シモン達は王都に出店する『特産品ショップ』のオープンに注力した。
こちらも各地から、我も我もと名乗りを上げ、膨大な数の販売候補商品が集まった。
こうなると選定は大変である。
しかし、シモン達は新たなメンバーとともに選定作業に勤しんだ。
店舗の内装工事も順調で、3か月後にオープンする事も確定した。
そうこうしている中……
遂にシモンへ、王宮から呼び出しがあった。
いよいよ王弟で宰相のマクシミリアン殿下へ、シモンは謁見するのである。
マクシミリアン殿下の懐刀《ふところがたな》と目される元宰相補佐官の『上司』
女傑アレクサンドラ・ブランジェ伯爵が、
王国肝入りの王国復興開拓省長官に就任後……
逸材と見込んで一介のトレジャーハンター、シモン・アーシュをスカウト。
結果、シモンが期待以上の働きをし、素晴らしい成果を出しているので、
たいそうご機嫌なのだと、『父』アンドリュー・ラクラテル公爵は誇らしげに語っていた。
ちなみに謁見の際、アレクサンドラとアンドリューは同行し、シモンと一緒に謁見する事となっている。
内々で伝えられていたので、シモンは認識しているが……
この謁見も、シモンの人生において、大きなターニングポイントとなるのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
謁見の当日……
シモンは『上司』アレクサンドラ、『父』アンドリューとともに、王宮へ赴いた。
謁見の際のしきたりは煩雑ではあるのだが……
シモンの記憶力と順応力は抜群である。
アレクサンドラとアンドリュー、アンドリューの妻『母』ブリジットの懇切丁寧な指導もあり、実践はバッチリ。
万全の態勢で、大イベントを迎えていた。
現在シモンは、控室でアレクサンドラ、アンドリューとともに呼び出しを待っていた。
そして秘書のエステルも控室で待機。
傍らでシモンを見守っている。
エステルは、謁見には同行出来ない。
だが、想い人が戻って来たら、労わろうと決めていた。
ちなみに『実母』マリアンヌはラクルテル公爵邸において、
『母』ブリジットとともに、ひたすら、謁見が無事に終わる事を祈っている。
待機するシモンへ、アレクサンドラが言う。
「どう? シモン君。マクシミリアン殿下にお会いするから、さすがに緊張してる?」
「いや、さほど……」
王族に謁見するのに、シモンは落ち着いていた。
全く動じていない。
「うむ、これくらいのイベントなら、シモンには全然問題なし。ノープロブレムで大楽勝だろ。『あの戦い』に比べればな!」
きっぱりと言い切るアンドリュー。
思わず、アレクサンドラが問う。
「え? アンディ。『あの戦い』って何?」
「ははは、この前、とうとうシモンから教えて貰った」
「え? シモン君から、とうとう教えて貰った? 何それ?」
シモンは上司アレクサンドラに、『例の戦い』は告げてはいない。
今までエステルだけに告げていたのだが……
アンドリューに何度もせがまれ、根負け。
エステルと相談した上で、カミングアウトしたのである。
カミングアウトされたアンドリューは『戦い』を知っていて、
『父』の優越感を見せ、悪戯っぽく笑っていた。
「ふふふ、シモン、サーシャへ教えて構わんか?」
アンドリューから、カミングアウトの許可を求められ、
シモンは深く頭を下げる。
「はい、長官、誠に申し訳ありません。言うと『単なる自慢』になると思い、これまで黙っていました」
「え~? 『単なる自慢』って、何々? 絶対怒らないから、私にも教えて」
シモンがそっと見やれば……
アレクサンドラは、全く怒っておらずに、悪戯っぽく笑っている。
これなら大丈夫と、シモンはエステルをチラ見すれば、
彼女もやはり悪戯っぽく笑っていた。
話してもOKですよの、アイコンタクトである。
「ええっと……実は……」
対して、シモンが告げたのは……
「たったひとりで、巨大なドラゴン10体と戦い、あっさり撃退した」事である。
「えええええええええっっっ!!?? な、な、何それ~~っっっ!!??」
アレクサンドラは、思い切り仰天した後……
「わお! ホント最高に規格外よ! 貴方は! それならアンディの言う通り、緊張なんか絶対しないわねっ!」
と嬉しそうに笑った。
その時。
侍従長から『呼び出し』が来た。
「よし! シモン! さあ、行くか!」
「行きましょう! シモン君!」
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