頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

文字の大きさ
上 下
151 / 160

第151話「一番のベストタイミング」

しおりを挟む
小村への支援業務をひと通り行い、シモン達は王都へ戻った。

村民のやる気、自主性を重んじながら、これからも連絡を取り合い、支援は続けて行く。
今後の王国復興開拓省、支援開発戦略局が行う仕事の『ひな形』となるだろう。
そう、現在、数多来ている支援要請に対して、『ひとつの答え』となるに違いない。

一行は、王都へ入り、……王宮前で解団式を行い、一旦解散した。
仮採用の身分である、採用候補者達へは……
今後は仮採用から、本採用の最終選考が行われ、各自へ通知がいくはずだ。

人事考課は、今回同行したスタッフの中に居た王国復興開拓省人事部の担当者数人で行う。
この担当者達は、候補者達の小村での勤務ぶりをチェックし、ひとりは後方部隊に帯同した。
事務方でも、このような仕事があり、王国復興開拓省の仕事は相当厳しい。
ちなみに、クラン候補者の人事考課はシモンが行う事となっている。

シモン以下、支援開発戦略局局員は、王国復興開拓省3回のオフィスへ……
全員で今後の仕事等について、打ち合わせをした後、解散。
休日返上で働いた為、5日の有給休暇が与えられ、週末の土日と合わせ、
計1週間の連休となる。

シモンとエステルは、4階の局長室へ……
エステルが秘書ルームへ、アレクサンドラ、リュシー、レナのスケジュールを確認した。
小村への支援業務の『報告』を行う為である。
幸い、3人とも庁舎の各執務室に在室していた。
30分後に、長官室で一緒に報告出来る段取りもついた。
テキパキと話を進めるエステル……
やはり秘書として有能な人材である。

しかし今回の出張では、エステルの違う面も多く見られた。
秘書以外の仕事の適性も見いだせたし、部屋は別々であったが……
寝食をともにし、これから新生活を送るイメージもわずかながら出来た。

約30分後……
シモンはエステルとともに、アレクサンドラ、リュシー、レナへ報告を行った。
基本的にシモンが話し、随時エステルが補足する。

報告を聞き、上司3人は満足したようである。
今後の打合せを行い、これで業務は終了。
……かと思われたが、アレクサンドラはまだ話があるらしい。
何故か、悪戯っぽく笑っている。

「シモン君」

「はい、長官」

「アンディ……いえ、アンドリュー・ラクルテル公爵閣下が、貴方とクレア……クラウディアとの結婚話を騎士達へしたのが結構、広まっていてねえ。相当噂になっているのよ」

「はあ……そうなんですか」

「うん! 公爵閣下ご本人に悪気は全くないし、ブリジット奥様……ビディもシモン君を大のお気に入りだから……それは良いんだけど、何せあのラクルテル公爵家の婿という話でしょ」

「成る程」

「噂が大きくなって来たから、今後の事もあるし……リュシーとレナにも詳しい話をしたの」

「詳しい話?」

「うん! エステルの生い立ちを含めた素性と、クラウディアを含めた君とふたりのお嫁さんの結婚話をね。……事後報告でごめんね~」

「いや、俺は全然構わないですけど、エステルは?」

シモンが尋ねれば、エステルもきっぱりと言い放つ。

「はい! 私も全然構いません!」

ふたりの了解を聞き、アレクサンドラは柔らかく微笑む。
いよいよ話が核心へと入るらしい。

「了解! で、ここからが本題。お疲れのところ申し訳ないけど、ふたりでこれから公爵閣下の下へ行って頂戴。ラクルテル公爵邸へね」

「え? これからですか?」
「公爵閣下にお会いして、何をどうすれば?」

「今、私達へ話したように、小村の支援業務の結果を報告して頂戴」

「え? でもそれって王国復興開拓省の業務範疇ですし、公爵閣下にお話ししても良いんですか?」

「うふふ、大丈夫。今回は閣下配下の騎士達も大勢参加しているし、公爵閣下ご自身にも、当省の特別顧問になって頂いているから、道義上も全然問題ナッシングよ」

「成る程」

「小村の支援業務は勿論だけど、大きな討伐案件を3件も一度にクリアしたこのタイミングが最もベストだと思う」

「このタイミングが最もベスト?」

「そうよ。エステルが王国軍統括を担うラクルテル公爵家の養子となり、シモン君がエステル、クラウディア両名との正式な婚約発表をする一番のベストタイミングなのよ」

「えええっ!? 正式な婚約発表!!」
「きょ、局長と! わ、私と! クラウディアのぉ!?」

「ええ、そういう流れになると思うわ、だから頑張ってね」

さすがのシモンも人生のターニングポイントを目前にし、動揺してしている。
エステルも同じだ。

「りょ、了解です。長官!」
「が、が、頑張ります!」

「うふふ、もう公爵閣下ご夫妻は君達の来訪を、今か今かと待っていらっしゃると思うわ。急いで支度して、公爵邸へ向かいなさい」

「わっかりましたあ!」
「すぐに向かいます!」

「うふふ、私達とはまた1か月後に会いましょう」

「え? 1か月後!? ……ですか?」

「ええ、シモン君とエステルには1か月の休暇を与えるわ。たった1週間じゃ、全然足りないもの」

「???」

「うふふ、これからふたりとも、もっともっと忙しくなるわ。そもそも君はずっと働きづめで、故郷へ帰っていないんだから、そろそろ帰郷しなさい」

「え? き、帰郷?」

「そうよ! シモン君は故郷のお母様に、休暇中にお会いしてくれば良いわ。エステルは勿論、クラウディアも連れて3人でね」

「3人で……」

「ええ、3人でお母様を説得して、この王都に連れて来るのよ。一緒に暮らして、存分に親孝行しなさいね」

「は、はい!」

「その間、私とリュシーとレナで君の仕事はケアしておくわ」

アレクサンドラは、コルボー商会が倒産し、失業した自分を拾い上げてくれた大恩人であり、最高の上司だとシモンは思う。
加えて、血縁のエステルが妻になれば、
プライベートでもアレクサンドラは身内となる。

それが本当に嬉しい! とシモンは強く強く感じるのだ。

傍らのエステルをシモンが見やれば……
彼女も同じ気持ちらしく、目を輝かせ感謝の笑顔となっていた。

リュシーとレナも祝福の言葉を告げて来る。

「シモン君、おめでとう! 素敵な女子ふたりと3人で幸せになってね!」
「おめでとう、シモン君。留守の間は任せておけ! 私達上司3人も君を大いにバックアップするからな!」

そして最後にアレクサンドラは……

「シモン君に本日から、王国復興開拓省の専属馬車使用の権限を与えるわ。まずラクルテル公爵邸へ行くのに使って。御者付きよ」

と、さわやかな笑顔で送り出してくれたのである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...