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第140話「ハイタッチ!」

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 朝の打合せを終え……
 シモンとエステルは、3階の支援開発戦略局のオフィスへ。
 オフィスへ入り、気合を入れて挨拶する。

「おはよう!」
「おはようございます!」

「「「「「おはようございます!」」」」」

 局員達も負けじと、元気に挨拶を返した。
 と、同時に全員がダッシュ。
 シモンとエステルへ詰め寄った。

「局長!」
「あれから、どうなりました?」
「そうそう! 人事部との打ち合わせはあ?」

 予想はしていたが、凄い勢いである。
 局員の誰もがシモンと人事部の打合せ結果を知りたがっている。
 特に『身内』が数多志願しているジョゼフとジュリエッタは食いつかんばかりの勢いだ。
 応募者から、いろいろ聞かれているに違いない。

 しかし……

「いや、全然方針が決まっていないし、最終確定するのもまだまだ先だって……」
「局長のおっしゃる通りです。申しわけありませんが、人事部絡みなので、打合せ内容は厳秘です。それに選考経過は局員といえど、明かせませんので」

 シモンとエステルが苦笑し、言葉を戻せば、さすがに局員達は追及をやめた。
 但し、ガス抜きも必要である。
 なので、現状ではこれしか言えないと前置きし、シモンは短いコメントを述べる。

「見込みのある者は結構居る。俺の見立ては人事部へ伝えたよ」

 わずかなコメントでも、シモンの心遣いを感じた局員達。
 早速、打合せに入る。

「まずは、話の流れで昨日のゴーレム絡みの話からしよう。先の小村の戦いでもそうだったが、あのゴーレムが盾役タンク戦闘役アタッカーとなる。昨日は、ほぼ防御のみに徹していたが、応募者にけがをさせない為だ。本番はケルベロスも加わる。ジョゼフ、ジュリエッタ、先に告げたクラン編成に問題はないな?」

「はい!」
「はいっ!」

 『クラン』の役割分担を決める際、若干不平不満が出た。
 しかし、あの模擬戦闘を見ているから、誰もが納得する。

「来週から、冒険者ギルドの出向組もオフィスへ来て勤務する。彼らは小村では居残りの護衛役だが、当然一緒に訓練は行う。まずはギルドにて、次に騎士隊の訓練施設も使用してな……ジョゼフ、ジュリエッタ、ともに話を通しておいてくれ」

 シモンの『お願い』は、冒険者ギルドサブマスターのジョゼフと王都騎士ジュリエッタ双方の『立場』を考えたものだ。
 
 この場に居る者は、すぐに分かった。

「はい! 分かりました!」
「了解です!」

 当然、ジョゼフ、ジュリエッタの当人達も快諾していたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 その後、打合せは続き……
 ランチはいつもの職員食堂全員ランチで盛り上がる。

 午後は商業ギルドサブマスター、ペリーヌの案内で、決定した特産品ショップの店舗へ全員視察へ赴く。

 まだ内装準備中の店舗の場所は、商業ギルドの最寄りであり、中央広場からも遠くない。
 大きな通りに面しており、人通りも多かった。
 当然『路面店』であり、店内の面積も広い。

 とりあえず、レイアウトは『仮』である。
 但し、テイクアウト可能な厨房付きのカフェスペース。
 イベントが可能なステージは場所が決められ、完成していた。
 王国労働省と提携した、ユーターン用の相談窓口も……

 それ以外のレイアウトは移動が簡単な陳列棚や什器を動かし、随時配置を換える。
 たまに模様替えをして、来店する客を飽きさせないようにするという、
 ペリーヌの出したアイディアである。

 そのペリーヌが胸を張り、言う。

「局長! 商業ギルドの仕切りにより、この店で販売する王国各地の特産品の仕入れ、販売の手配は順調です」

「本当に良くやってくれているな。ありがとう、ペリーヌ」

「いいええ、私の役目、主戦場は商いです! まだまだ……これからですよ! この店で働く人の手配、資材の手配、スケジュール管理等、仕事はもろもろ山積みですから!」

「そうか! この店のオープン目標は、討伐から戻ってまもなくというところだが、どうだ? 行けそうかな?」

「全然大丈夫です! 冒険者ギルド同様、来週から商業ギルドの出向者も、支援開発戦略局へ出勤します。彼らにもフル回転でバリバリ働いて貰いますからっ!」

 続いてシモンは、建築の専門家イネスも労わる。

「イネスにも感謝だ! ここは誰もが来たいと思う素敵な店だ。そして使い勝手の良い素晴らしい店舗にしてくれたよ」

「いえいえ! ペリーヌさんのアドバイスなくては全然無理でしたから!」

「いえ、こちらこそ! イネスさんのお力なくして、ここまではこれませんでしたから!」

 今や大の仲良しとなったペリーヌとイネスは嬉しそうにハイタッチ。
 
 今まで会った事のないスペシャリストな女子が……
 シモンをきっかけに巡り合い、存分に力を合わせる。

 そんなふたりを、シモン達他の局員もほほえましく見守っていたのである。
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