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第137話「選考会②」

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 闘技場の広いフィールドを歴戦の強者達数多が埋めた。

 不敵な面構えの冒険者達、凛々しく勇ましい騎士達、そして清廉で気合に満ち溢れた治癒士達……いずれもシモン率いるクランメンバー、及び応援部隊に志願して来た者達だ。
 そして、革鎧、法衣ローブ等々、様々ないでたちの者達……
 こちらは組織に属さない一般部門の志願者達である。

 対して、審査役のシモンと王国復興開拓省人事部の面々。
 観客席では支援開発戦略局の面々が見守っている。

 そして、志願者の誰もが気にしたのが、片隅にある白布をかけたモノである。
 輪郭からして『人型の何か』らしいが……
 ぴくりとも動かず、生ける者ではないと、すぐに認識された。

 頃合いと見たのか、人事部のチーフスタッフが声を張り上げる。

「1次選考ご通過の皆様、王国復興開拓省人事部です。本日はお忙しい中、お越し頂きありがとうございます。これから2次選考を開始致します。選考は実戦形式で行い、シモン・アーシュ局長と人事部が審査の上、合格者を決め、次回の3次選考に進んで頂きます。今回は局長率いるクランメンバーが6名、後続の応援部隊のメンバーが100名余りという募集です。何卒宜しくお願い致します」

 チーフスタッフは一気に話し、軽く息を吐いた。
 更に話を続ける。

「選考結果は後日、ご連絡致します。ではシモン・アーシュ局長からご挨拶と選考の方法についてご説明があります。局長、宜しくお願い致します」

「はい!」

 と返事をし、進み出たシモンは深々とお辞儀をした。
 顔見知りのランカー冒険者達、騎士達は「本人だ」と言うかのように頷いただけであったが……初めてシモンを見る者も多い。

 オーク100体を撃破! 山賊1,000名を生きたまま捕縛! 
 更に英雄アンドリュー・ラクルテル公爵と引き分けた猛者!! 
 ……とは思えない穏やかさと丁寧な物腰に、初見の者達は驚き戸惑った。

 そんな中、シモンは挨拶する。

「王国復興開拓省支援開発戦略局、局長のシモン・アーシュです。今回は多数のご応募ありがとうございます。そして1次選考ご通過おめでとうございます」

 シモンはそう言うと、更に話を続ける。

「さて! 本日は実戦形式で、2次選考に臨んで頂きます。そして実戦の方法ですが、私が召喚したゴーレムと3分間のみ戦って頂きます」

 ここで、人事部スタッフがパッと白布を取った。
 そこには体長2m弱の人型の戦士が微動だにせず、立っていたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 戦士は白銀、装着している鎧、盾も白銀である。
 武器は……装着していない。

 白布の下から現れたゴーレムを応募者へ見て貰いながら、シモンの説明は続いている。

「これが俺のゴーレムです。まだ魔力を込めてないから、起動していませんが、私の能力をある程度反映したもので、性能は中々です。ちなみに魔法で強化したミスリル製です。装着している鎧と盾も同じくミスリル製です。

皆様には、危険防止の為、闘技場備え付けの物理魔法兼用の魔法障壁で囲まれた中、1対1で3分間、このゴーレムと戦って頂きます。

基本ルールとして、ゴーレムの方からは攻撃しません。ご覧の通り、武器も装着しておりませし、退避と防御のみに徹します。但し、目に余る反則及び迷惑行為をした場合、速やかに鎮圧させて頂きます。

皆様はゴーレムに対し、いかなる方法でも構いませんので、攻撃を加えてください。ゴーレムにどれくらいダメージを与えたかで、皆様の合否を判断致します。

また、故意に攻撃せず防御のみという行為も、戦意ナシという判断で失格とさせて頂きます。
それは治癒士の方も同じです。但し治癒士の方に関しては、別途治癒魔法の試験をさせて頂きます。

本来は、私が個々に応募者の皆様と戦うべきかとも思いましたが、いろいろ諸事情もあり、このような試験形式となりました。何卒宜しくお願い致します」

 シモンは、再び一礼すると、

「念の為、俺のゴーレムは通常のタイプと全く違い、結構な俊敏さを持っております。それを認識した上で、戦いに臨んでください。という事で、長くなりましたが俺の話は以上です。では早速、ゴーレムを起動させて頂きます」

 シモンはゴーレムへ視線を向け、軽く手を挙げた。
 瞬間!

「ま!!!!!」

 ゴーレムの全身に魔力が行き渡り、大きな声で咆哮した。

 ここで、人事部スタッフが声を張り上げる。

「では1番の方、フィールド中央にお進みください。対戦者の方以外は、大きく白線の外側へお下がりください。さあ、どうぞ!」

「はい!」

 対戦順は所属組織とは違い、ランダムのようだ。
 最初の番号を呼ばれ、進み出たのは……騎士隊の精悍な若手男子である。

 若手男子騎士が戦闘フィールドへ入ると、外界とは強固な魔法障壁で囲まれ、遮断された。

「宜しくお願い致します!」

 若い男子騎士は、人外のゴーレムに対しても、礼儀正しくお辞儀をし、幅広の剣を抜き放ったのである。
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