頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

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第129話「緊急ランチの申し入れ」

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 午前8時45分過ぎ……
 局長室内での打ち合わせを終えたシモンとエステルは、定時より少々遅れ、3階の支援開発戦略局オフィスに赴いた。

 いつもの通り、シモンとエステルは鋭く声を張り上げる。

「皆、おはよう!」
「皆さん、おはようございます!」

 対して、局員達も元気良く応える。

「「「「「おはようございます!」」」」

 オフィス内をシモンとエステルが見回しても、本日も欠けている者は居ない。
 全員、ちゃんと出勤していた。
 やる気が伝わって来る。

 まずは、エステルが口を開く。

「本日は大きな発表があります。局長、お願い致します」

 シモンは頷き、一歩前に出た。

「皆も知っての通り、我が王国復興開拓省は大々的な新規職員募集を行うが、遂に発表の日程が決まった。これより人事部から配布された資料を全員へ配布する。当省人事部の公式発表は本日から3日後、時間は午後2時だ。

 王国復興開拓省内を含む、王国各省、当、支援開発戦略局と提携した騎士隊、王国軍、冒険者ギルド、そして商業ギルドには先行して告知を入れる。ジュリエッタ、ジョゼフ、ペリーヌはそれぞれ担当先へ連絡を頼む。但し、告知のみを行い、エントリーだけを認める。採用を即決するわけではない。そして早くエントリーしても優位性はない。その点は念入りに伝え、行き違いのないよう了解を貰って欲しい。採用に関しては、一般枠も含め、同時にスタートとなるからな。エントリー先は人事部となる」

 シモンは一気に告げると、軽く息を吐く。

「ちなみに当、支援開発戦略局が募集するクランメンバー6名、及び応援部隊100名の志願メンバーも同時募集だ……ではエステルから募集概要を記載した資料を渡す。簡単な質問はこの場で受け付けるが、詳細や不明な点も、人事部へ直に問い合わせてくれ」

 シモンの話が終わると同時に、エステルが前に出る。

「では! こちらへどうぞ! 募集概要の資料を配布致します。ジュリエッタ、ジョゼフ、ペリーヌ各局員へは3部ずつ、お渡ししますね」

 局員達がエステルの前に並び、資料を受け取って行く。
 中でもジュリエッタ、ジョゼフ、ペリーヌはすぐ出かける様子である。

「すぐ騎士隊へ報告する。騎士隊幹部から、王国軍へも即座に通達されるはずだ。絶対つわものが集まる!」
「俺もギルドマスターへ報告する! 腕をぶすランカーの猛者達から続々と、エントリーがあると思うぞ」
「商業ギルドからは、遠方の商隊勤務を経験した精鋭の商人達がエントリーするわ、きっと!」

 3人は勇ましいコメントを残し、急ぎ足でオフィスを出て行ったのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 残されたシモン、エステル、イネス、バルテレミーは、小村支援補完作業の最終確認、そして引き続き特産品選定の作業にあたる。

 おおよその打合せ、段取りは組んだので、各自が己のデスクにおいて事務作業をしている。
 でも、時たま不明な点があれば、席を移動し、気楽にやりとりをする。
 というのが、いつもの支援開発戦略局のフレンドリーなチームカラーだ。

 やがて昼が迫り、エステルの机上にある魔導通信機の呼び出し音が鳴った。

「はい、エステルです。あ、長官ですか? はい、了解です。多分、大丈夫だと思います。すぐに伺います」

 エステルは通信機を切り、シモンへ言う。

「局長」

「長官から、急ぎのお呼び出しです。局長と私へ何か大事な話があるようですが……すぐ長官執務室へ行けますか?」

「おう。要件は何だろう?」

「さあ、詳しい事はおっしゃっていません……伺えるのなら、すぐ行きましょう」

「了解!」

 イネス、バルテレミーと一緒に、職員食堂へランチにと思ったが、難しそうだ。

「申しわけない、イネス、バルテレミー、長官から呼ばれた。昼メシは俺とエステルに構わず行ってくれ」

「分かりました」
「適当に行きます。お気遣い頂きありがとうございます」

 シモンはこういう気配りが得意である。
 イネスとバルテレミーも喜び、笑顔で応える。

 という事で、シモンとエステルは5階の長官執務室へと向かう。

 中に、良く知った気配がある。
 今のシモンとエステルにとって、最も近しい気配だといえよう。

 エステルが扉をノックする。

「長官、エステルです。局長と一緒に伺いました」

「どうぞ、入って頂戴」

 エステルが扉を開けると、やはりである。
 まずはアレクサンドラが、笑顔を見せる

「うふふ、大した用事じゃないわ。皆でランチしようと思ったのよ」

 そして、

「うふ、サーシャお姉様からお呼び出しがあったので、今日は学院をお休みしました!」

 同じく満面の笑みを浮かべるクラウディアが……
 シモンとエステルへ、大きく手を振っていたのである。
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