頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話

東導 号

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第123話「本気の本気」

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 翌日、木曜日午前8時15分……
 
 今日も、シモンとエステルのふたりは元気に出勤。
 ふたりの朝は挨拶から始まる。

「局長、おはようございます!」

「おはよう、エステル、今日も頑張ろう」

「はい、頑張りましょう! 局長。もうお約束ですが、まずはご報告です」

「ああ、聞こうか」

 エステルから知らされたのは、朗報である。

「昨日、アレクサンドラ長官からOKが出たと次官補から連絡がありました。局長の提案は全て承認されました」

「おお、やったな」

「はい、局長のご提案通り、冒険者ギルド、騎士隊他、関係各所へ声をかけ、志願者を募ります。志願者を集合させ、ウチの省で説明会を開き、仕事の趣旨を理解して貰った上で、選抜テストを行う事となります」

「おお! 楽しみだな! 有能な奴が来ると良いな!」

「はい! どのような人材が来るのか、大いに楽しみです。冒険者ギルドはジョゼフ、騎士隊へはジュリエッタ経由で、正式発表より少し前に知らせれば宜しいと思います。それに、長官から新たなご指示が出ました」

 アレクサンドラから?
 新たな指示?
 一体、何だろうか?
 シモンは気になる。

「長官から? 新たな指示?」

「はい! この説明会は、我が支援開発戦略局局員募集にとどまりません。省内の各部を支える一般職員、専門職の募集も行う事となりました」

 何と!
 アレクサンドラは、支援開発戦略局のみでなく、王国復興開拓省全部門における職員の募集をかける事を決めたらしい。

 さすがにシモンは驚いた。
 アレクサンドラの決断力と……かける予算に。

「おいおい、それって、凄い応募者数にならないか? 採用の為の予算だって莫大になるぜ」

「はい! 応募者も多いし、採用数も結構な数となりますし、予算も莫大ですね! ですから当然、長官、次官、次官補の3人、そして人事部も全面的に協力致しますから、冒険者ギルド、騎士隊へも改めて人事部からも正式に通知が行く事となります」

「おお! 上席3人と人事部が? ウチの局員募集だけのはずが、えらく話が大きくなって来たな」

「はい! えらく大きくなりました。ちなみに、3案件の討伐予算組みですが、結局、金貨30万枚のままで、確定致しました」

「はあ? 30万枚って、要らないよ、そんなに」

「まあ、そうおっしゃらずに、長官が最終決定した事ですから、くつがえせません。とりあえず受け取りましょう。ちなみに、この30万枚の予算の使途は、局長の裁量に任せ、特に縛りを設けないそうです」

「はあ? 予算が俺の自由裁量? 特に縛りを設けない?」

「ええ、一応案件ひとつに付き、10万枚の目安ですが、使う際、1案件が5万枚しか費用がかからなかった場合、残りの2件で25万枚予算を使ってもOK。また討伐以外の予算に使用しても全然構わないそうです」

「何だ、それ。本当に俺が自由に使って良いんだ、金貨30万枚を」

「はい! 無駄遣いをしなければ。それと、念の為、話を戻しますと、局員、職員採用の予算は別枠だそうです」

「そうか! いろいろ言いたい事はあるが、俺も宮仕えの身だ、もろもろ了解した。アレクサンドラ長官の意を受け、ウチの省を大幅に強化する陛下とマクシミリアン殿下は本気の本気なんだな」

「はい! 局長と同じく、本気の本気だと私も思います! 王家から、我が王国復興開拓省への大きな期待の表れだと」

 エステルは軽く息を吐き、話を続ける。

「では局長、次は本日の予定です。ええっと、いろいろありますから、本日も午前午後ぶっ通しで会議となりますね」

「うわ! ぶっ通し? また省内でずっと会議か! でも仕込みの時期だからしょうがない。その代わり、一旦、出張に出たら俺達って、省外での業務が長いしな」

「ですね! と、いう事で午前中は今、ご報告した募集の話を局員全員へ伝え、すり合わせ。その後は成り行きで終業時間まで、各支援策補完の詰めと、特産品選定と同ショップオープンの具体的な打ち合わせを。打合せは局員全員でディスカッションする形になると思いますが、ペリーヌ局員からはショップも含め、新たな提案があると思われます」

「成程。じゃあエステルの言う通り、ランチをはさんで、ずっと省内に詰め込まれだな!」

「はい! という事で改めて気合を入れ直し、頑張りましょう!」

「おう!!」

 ティーグル王国は、王国復興開拓省に大いに期待している。
 シモンも近々、マクシミリアン殿下への謁見も控えている。
 仕事への「やりがい」が、どんどん大きくなる!

 シモンとエステルは、こぶしとこぶしを軽く突き合わせるフィストバンプを行い、3階の支援開発戦略局オフィスへ向かったのである。
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