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第97話「茫然自失」
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山賊どもの襲撃があってから3日間……
シモン達、王国復興開拓省支援開発戦略局局員達は小村の復興支援作業に勤しんだ。
冒険者ギルドサブマスターのジョゼフは防護柵の頑丈さを更に強化、賊や魔物が侵入し難いように徹底的な改良が施された。
シモンのゴーレムと作業員により村道も完全に整備され、通行もしやすくなった。
元農民の冒険者が指揮し、村民達の全面的な協力で開拓地も耕作地として完成。
井戸も数か所造られ、灌漑の心配もない。
農業の専門職員バルテレミーからは、三圃式農法の実践レクチャーが行われ……
新型の魔導農機具、農作業着100名分がモニター贈与された。
そして家畜の飼料にもなるカブなどの種、その他の作物の苗も支給されたのである。
建築の専門職員イネスは、村内の住宅を修繕。
更に試作の一般用新型住宅を数棟建築。
抽選で当たった村民へこれまたモニター贈与。
実際の住み心地を取材する了解を得た。
商業ギルドのサブマスター、ペリーヌは村唯一の商店の商店主と打合せ密にした。
商品の品ぞろえ、仕入れ販売のアドバイスを行い、経営のノウハウを伝授した。
そして……
秘書のエステルはシモンの指示で、魔法鳩便を飛ばした。
あて先は、リュシー次官と、レナ次官補。
ふたりからアレクサンドラ長官へ上げて貰う。
送った内容は、小村の復興支援作業の経過報告。
作業内容と問題点等を簡潔にまとめた。
また、山賊襲撃の顛末も報告書に含める。
捕虜1,000余名を王都へ連行し、彼等が所持していた馬車、馬、財宝等もリスト化した。
これらの『戦利品』も捕虜とした山賊と一緒に、王国の司法省へ引き渡す事となる。
ちなみに、捕虜と戦利品をどう処理するのかは、シモン達の担当する範疇ではない。
ここまでの施策を行ったが、小村への復興支援はまだまだ足りない部分はある。
それらは今後の課題として、行った支援の結果とともに村長から随時報告して貰う事となっている。
この小村の復興支援策はいわばプロトタイプとして、王国の他の町村へ活かされて行くに違いない。
こうして、シモン達は小村における予定の作業を消化……
歓喜に満ちた村民達から大いに感謝され……
王都グラン・シャリオへ無事、帰還したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王都へ帰還したシモン達には……
2日間の特別有給休暇が与えられた。
元々の週末休日2日を加え、合計4日間連続の休暇となる。
シモンは局員達を労い、王国復興開拓省庁舎で解散した。
しかしシモンには『仕事』が残っている。
そう、連行した山賊どもの処理である。
強硬に同行と手伝いを申し出たエステルを連れ……
シモンは司法省へ赴いた。
リュシー、レナ経由で、アレクサンドラから連絡が伝わっていた事もあり……
司法省の対応は円滑でフレンドリーであった。
担当者のみならず、司法省の長官が出て来たのである。
司法省の長官は、やはり上級貴族。
ユーグ・バシュレ伯爵といい、理知的でやや冷たい印象を受ける40代後半の男性である。
「初めまして、伯爵! アレクサンドラ・ブランジェ伯爵麾下、王国復興開拓省支援開発戦略局局長、シモン・アーシュと申します」
「局長専属秘書のエステル・ソワイエでございます」
「うむ、私がユーグ・バシュレだ。君の事は、ブランジェ伯爵だけでなく、ラクルテル公爵閣下からもお聞きしている……ところで君が捕縛した山賊どもはどこに居るのかね?」
「ええっと」
「局長……」
……どうやら、報告書の内容が、バシュレ伯爵には上手く伝わっていないらしい。
シモンが使う規格外すぎる収納の魔法腕輪の存在が、信じられないようだ。
それと、自分の手柄を盛って……つまり誇大に報告する者が多いから、1,000人という人数も『まゆつば』と思っている雰囲気がある。
「あの……伯爵」
「うむ、何だね?」
「とりあえず、1,000名以上の罪人を収監可能な場所をご手配頂けますか?」
「ほう、では君の報告は真実……なのだね?」
「はい、まあ……ご覧になっていただければ、ご理解頂けるかと。それとこちらへ納品する接収物も相当ありますので、そちらも場所のご手配を……生きている馬とか、馬車もいっぱいありますから」
「むむむ……わ、わ、分かった!!」
困惑するシモンとエステルの表情を見て、唸るバジュレはようやく報告書が嘘偽りのないものだと信じたらしい。
バジュレは、シモン達を刑務所へ連れて行った。
そして、シモンが自作の魔法腕輪から、無造作に山賊達1,000名強と接収物を取り出すのを見て……
茫然自失状態となり……ただただ頷き、感嘆していたのである。
シモン達、王国復興開拓省支援開発戦略局局員達は小村の復興支援作業に勤しんだ。
冒険者ギルドサブマスターのジョゼフは防護柵の頑丈さを更に強化、賊や魔物が侵入し難いように徹底的な改良が施された。
シモンのゴーレムと作業員により村道も完全に整備され、通行もしやすくなった。
元農民の冒険者が指揮し、村民達の全面的な協力で開拓地も耕作地として完成。
井戸も数か所造られ、灌漑の心配もない。
農業の専門職員バルテレミーからは、三圃式農法の実践レクチャーが行われ……
新型の魔導農機具、農作業着100名分がモニター贈与された。
そして家畜の飼料にもなるカブなどの種、その他の作物の苗も支給されたのである。
建築の専門職員イネスは、村内の住宅を修繕。
更に試作の一般用新型住宅を数棟建築。
抽選で当たった村民へこれまたモニター贈与。
実際の住み心地を取材する了解を得た。
商業ギルドのサブマスター、ペリーヌは村唯一の商店の商店主と打合せ密にした。
商品の品ぞろえ、仕入れ販売のアドバイスを行い、経営のノウハウを伝授した。
そして……
秘書のエステルはシモンの指示で、魔法鳩便を飛ばした。
あて先は、リュシー次官と、レナ次官補。
ふたりからアレクサンドラ長官へ上げて貰う。
送った内容は、小村の復興支援作業の経過報告。
作業内容と問題点等を簡潔にまとめた。
また、山賊襲撃の顛末も報告書に含める。
捕虜1,000余名を王都へ連行し、彼等が所持していた馬車、馬、財宝等もリスト化した。
これらの『戦利品』も捕虜とした山賊と一緒に、王国の司法省へ引き渡す事となる。
ちなみに、捕虜と戦利品をどう処理するのかは、シモン達の担当する範疇ではない。
ここまでの施策を行ったが、小村への復興支援はまだまだ足りない部分はある。
それらは今後の課題として、行った支援の結果とともに村長から随時報告して貰う事となっている。
この小村の復興支援策はいわばプロトタイプとして、王国の他の町村へ活かされて行くに違いない。
こうして、シモン達は小村における予定の作業を消化……
歓喜に満ちた村民達から大いに感謝され……
王都グラン・シャリオへ無事、帰還したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王都へ帰還したシモン達には……
2日間の特別有給休暇が与えられた。
元々の週末休日2日を加え、合計4日間連続の休暇となる。
シモンは局員達を労い、王国復興開拓省庁舎で解散した。
しかしシモンには『仕事』が残っている。
そう、連行した山賊どもの処理である。
強硬に同行と手伝いを申し出たエステルを連れ……
シモンは司法省へ赴いた。
リュシー、レナ経由で、アレクサンドラから連絡が伝わっていた事もあり……
司法省の対応は円滑でフレンドリーであった。
担当者のみならず、司法省の長官が出て来たのである。
司法省の長官は、やはり上級貴族。
ユーグ・バシュレ伯爵といい、理知的でやや冷たい印象を受ける40代後半の男性である。
「初めまして、伯爵! アレクサンドラ・ブランジェ伯爵麾下、王国復興開拓省支援開発戦略局局長、シモン・アーシュと申します」
「局長専属秘書のエステル・ソワイエでございます」
「うむ、私がユーグ・バシュレだ。君の事は、ブランジェ伯爵だけでなく、ラクルテル公爵閣下からもお聞きしている……ところで君が捕縛した山賊どもはどこに居るのかね?」
「ええっと」
「局長……」
……どうやら、報告書の内容が、バシュレ伯爵には上手く伝わっていないらしい。
シモンが使う規格外すぎる収納の魔法腕輪の存在が、信じられないようだ。
それと、自分の手柄を盛って……つまり誇大に報告する者が多いから、1,000人という人数も『まゆつば』と思っている雰囲気がある。
「あの……伯爵」
「うむ、何だね?」
「とりあえず、1,000名以上の罪人を収監可能な場所をご手配頂けますか?」
「ほう、では君の報告は真実……なのだね?」
「はい、まあ……ご覧になっていただければ、ご理解頂けるかと。それとこちらへ納品する接収物も相当ありますので、そちらも場所のご手配を……生きている馬とか、馬車もいっぱいありますから」
「むむむ……わ、わ、分かった!!」
困惑するシモンとエステルの表情を見て、唸るバジュレはようやく報告書が嘘偽りのないものだと信じたらしい。
バジュレは、シモン達を刑務所へ連れて行った。
そして、シモンが自作の魔法腕輪から、無造作に山賊達1,000名強と接収物を取り出すのを見て……
茫然自失状態となり……ただただ頷き、感嘆していたのである。
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