38 / 160
第38話「思いがけぬ再会①」
しおりを挟む
シモンの記念すべき人生のリスタート。
新設された王国復興開拓省の職員としての初出勤日。
あまりにも前向きな為に、やる気を出し過ぎた早すぎる出勤から始まり……
麗しき美人秘書、大学の同級生エステル・ソワイエと二度目の出会い。
初会議において、遅刻しそうになって焦ったアレクサンドラ以下上司とのコミュニケ
ーション。
緊張する中、朝礼で全職員へ紹介された後、リュシーとレナと仕事の再確認。
王国から与えられる予算以外に資金調達の為のビジネススキーム、優秀な人材確保、ワールドワイドで詳細な情報の収集、それらの模索と実施、それらに付随するもろもろ。
結果、仕事への方向性が見え、やる気も大幅ア~ップ!!
そしてエステルと気持ちが通じ合った?楽しい業務処理。
雑談。
彼女にせがまれて、夢ごこちのおふたりランチ。
再びエステルとの楽しいひと時……
今までの不幸な人生が一変。
リア充な?勤務。
まるで大爆発しろと、抗議が殺到しそうな状況。
シモンは幸せを満喫していた。
その後、エステルの素晴らしいフォローもあり、事務作業を手早く終えたシモンは残業ナッシング。
出勤初日は何と! 午後5時30分の定時退勤となった。
定時で帰れる!
大事な事だからもう一度、否、二度でも三度でも言おう。
定時で帰れる!
定時で帰れる!
そう、シモンは社会人になってから、生まれて初めて、定時で帰る事が出来るのだ!!
一生懸命、頑張って来た甲斐があった。
遂に遂に!
報われた!
散々こきつかわれ、やってらんね~よ!と思いながら、諦めず本当に良かった!
素敵な上司達と前向きな会議を行い、美人秘書と楽しくランチをした上で業務処理!
最高にライトサイド! な気分を実感したシモン。
名残惜しそうな表情のエステルに『退勤』の挨拶をし、庁舎を出たのである。
庁舎を出たシモンは警備の騎士の敬礼に応え、万歳するように両腕を挙げた。
思い切り伸びをする。
「ふうう、いろいろあったけど、ようやく初日が終わったぁ! 仕事はこれから大変そうだけど、凄く面白かったなぁ!」
とりあえず、無事に初出勤を終える事が出来た。
安堵したシモンが西の空を見れば、綺麗な夕焼け。
解放感にみちあふれ、足取りも軽くなって来る。
自宅へ帰って、ゆっくり風呂へ入ろう。
そして今夜はぐっすり眠ろう。
そういえば、とシモンは思い出す。
『夕飯』をどうしようかと。
……魔導冷蔵庫には何も入っておらず空っぽ。
途中で何か、露店でテイクアウトの弁当を買い、魔導書を見ながらゆっくり食べるか……
ええっと、弁当は何にしようか……
何を食べたいかとシモンは自問自答する。
串焼き肉? 揚げ肉? 茹で肉? ミートパイ?
それとも魚が良いかな?
川魚? 海の魚?
パンはライムギパン?
サンドイッチでも良いか!
スープはポタージュ? それともコンソメ?
露店をやめて、記念日だから、ぜいたくする?
有名店でテイクアウトするか?
酒は弱いけど、今日くらいはワインで乾杯する?
「つらつら」考えるシモンが王宮の正門へ向かうと、一台の立派な馬車が、ちょうど駐機場へ滑り込んだところである。
馬車からは、まず若い女子騎士が降りた。
更に、ひとりの使用人らしき少女が降りる。
そして最後にどこかの生徒らしき、『制服姿の貴族少女』が続いて降りた。
先に降りた使用人の少女に手を取って貰い、サポートされていた。
常人の数倍あるシモンの聴力により、ふたりの会話が聞こえて来た。
ひとりは、どこかで聞いた事のある声である。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ、リゼット。全然平気よ! それどころか凄く元気! 絶好調よっ! さあ! 早くお父様をお迎えに行きましょう!」
シモンが何気なく、3人の傍らを通り過ぎた。
その瞬間!
「あ~~~!!?? あ、あ、貴方はっ!?」
いきなり、大声が上がった。
さすがにシモンは、はっきりと思い出した。
3人のうちふたりは、金髪の少女に栗毛の少女のコンビ。
先日中央広場で助けた、貴族令嬢&付き従っていた若い侍女であると。
シモンは振り向いた。
侍女らしき栗毛の少女に見覚えがある。
さすがに忘れてはいない。
再び見直して、念の為に記憶をたぐった。
……やはり『あの侍女』である。
さっきの会話で判明した。
侍女はリゼットという名前らしい。
彼女は「びしっ!」と思い切り、シモンを指さしていた。
一方、学生らしき貴族令嬢は、侍女の反応を見て「ポカン」としている。
あの時は、気を失ったままだったから、シモンの事を知らないのだ。
このまま、ふたりを無視するわけにもいかないので、
「あ、ども!」
シモンは柔らかく微笑み、軽く手を挙げたのである。
新設された王国復興開拓省の職員としての初出勤日。
あまりにも前向きな為に、やる気を出し過ぎた早すぎる出勤から始まり……
麗しき美人秘書、大学の同級生エステル・ソワイエと二度目の出会い。
初会議において、遅刻しそうになって焦ったアレクサンドラ以下上司とのコミュニケ
ーション。
緊張する中、朝礼で全職員へ紹介された後、リュシーとレナと仕事の再確認。
王国から与えられる予算以外に資金調達の為のビジネススキーム、優秀な人材確保、ワールドワイドで詳細な情報の収集、それらの模索と実施、それらに付随するもろもろ。
結果、仕事への方向性が見え、やる気も大幅ア~ップ!!
そしてエステルと気持ちが通じ合った?楽しい業務処理。
雑談。
彼女にせがまれて、夢ごこちのおふたりランチ。
再びエステルとの楽しいひと時……
今までの不幸な人生が一変。
リア充な?勤務。
まるで大爆発しろと、抗議が殺到しそうな状況。
シモンは幸せを満喫していた。
その後、エステルの素晴らしいフォローもあり、事務作業を手早く終えたシモンは残業ナッシング。
出勤初日は何と! 午後5時30分の定時退勤となった。
定時で帰れる!
大事な事だからもう一度、否、二度でも三度でも言おう。
定時で帰れる!
定時で帰れる!
そう、シモンは社会人になってから、生まれて初めて、定時で帰る事が出来るのだ!!
一生懸命、頑張って来た甲斐があった。
遂に遂に!
報われた!
散々こきつかわれ、やってらんね~よ!と思いながら、諦めず本当に良かった!
素敵な上司達と前向きな会議を行い、美人秘書と楽しくランチをした上で業務処理!
最高にライトサイド! な気分を実感したシモン。
名残惜しそうな表情のエステルに『退勤』の挨拶をし、庁舎を出たのである。
庁舎を出たシモンは警備の騎士の敬礼に応え、万歳するように両腕を挙げた。
思い切り伸びをする。
「ふうう、いろいろあったけど、ようやく初日が終わったぁ! 仕事はこれから大変そうだけど、凄く面白かったなぁ!」
とりあえず、無事に初出勤を終える事が出来た。
安堵したシモンが西の空を見れば、綺麗な夕焼け。
解放感にみちあふれ、足取りも軽くなって来る。
自宅へ帰って、ゆっくり風呂へ入ろう。
そして今夜はぐっすり眠ろう。
そういえば、とシモンは思い出す。
『夕飯』をどうしようかと。
……魔導冷蔵庫には何も入っておらず空っぽ。
途中で何か、露店でテイクアウトの弁当を買い、魔導書を見ながらゆっくり食べるか……
ええっと、弁当は何にしようか……
何を食べたいかとシモンは自問自答する。
串焼き肉? 揚げ肉? 茹で肉? ミートパイ?
それとも魚が良いかな?
川魚? 海の魚?
パンはライムギパン?
サンドイッチでも良いか!
スープはポタージュ? それともコンソメ?
露店をやめて、記念日だから、ぜいたくする?
有名店でテイクアウトするか?
酒は弱いけど、今日くらいはワインで乾杯する?
「つらつら」考えるシモンが王宮の正門へ向かうと、一台の立派な馬車が、ちょうど駐機場へ滑り込んだところである。
馬車からは、まず若い女子騎士が降りた。
更に、ひとりの使用人らしき少女が降りる。
そして最後にどこかの生徒らしき、『制服姿の貴族少女』が続いて降りた。
先に降りた使用人の少女に手を取って貰い、サポートされていた。
常人の数倍あるシモンの聴力により、ふたりの会話が聞こえて来た。
ひとりは、どこかで聞いた事のある声である。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ、リゼット。全然平気よ! それどころか凄く元気! 絶好調よっ! さあ! 早くお父様をお迎えに行きましょう!」
シモンが何気なく、3人の傍らを通り過ぎた。
その瞬間!
「あ~~~!!?? あ、あ、貴方はっ!?」
いきなり、大声が上がった。
さすがにシモンは、はっきりと思い出した。
3人のうちふたりは、金髪の少女に栗毛の少女のコンビ。
先日中央広場で助けた、貴族令嬢&付き従っていた若い侍女であると。
シモンは振り向いた。
侍女らしき栗毛の少女に見覚えがある。
さすがに忘れてはいない。
再び見直して、念の為に記憶をたぐった。
……やはり『あの侍女』である。
さっきの会話で判明した。
侍女はリゼットという名前らしい。
彼女は「びしっ!」と思い切り、シモンを指さしていた。
一方、学生らしき貴族令嬢は、侍女の反応を見て「ポカン」としている。
あの時は、気を失ったままだったから、シモンの事を知らないのだ。
このまま、ふたりを無視するわけにもいかないので、
「あ、ども!」
シモンは柔らかく微笑み、軽く手を挙げたのである。
0
お気に入りに追加
470
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
主人公ライルはブリケード王国の第一王子である。
しかし、ある日――
「ライル。お前を我がブリケード王家から追放する!」
父であるバリオス・ブリケード国王から、そう宣言されてしまう。
「お、俺のスキルが真の力を発揮すれば、きっとこの国の役に立てます」
ライルは必死にそうすがりつく。
「はっ! ライルが本当に授かったスキルは、【トカゲ化】か何かだろ? いくら隠したいからって、【竜化】だなんて嘘をつくなんてよ」
弟である第二王子のガルドから、そう突き放されてしまう。
失意のまま辺境に逃げたライルは、かつて親しくしていた少女ルーシーに匿われる。
「苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ」
ライルの辺境での慎ましくも幸せな生活が始まる。
だが、それを脅かす者たちが近づきつつあった……。
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!
KeyBow
ファンタジー
日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】
変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。
【アホが見ーる馬のけーつ♪
スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】
はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。
出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!
行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。
悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!
一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる